アベノミクス効果に対する期待感で、株式市況が活況を呈しています。景気好転のムードが出てきたことは、大いに歓迎すべきですし、実体経済の浮揚につながることを切に願います。
しかし、行き過ぎた金融緩和と行き過ぎた財政出動が、その後の反動で大きな弊害を引き起こすことは、日本のみならず、先進各国で幾度も経験してきたことでしょう。経済を安定的なものにするためには、金融・財政に頼るばかりでなく、冷静な先見性を持って、たゆまない構造改革に取り組む必要があるのではないでしょうか。
「明鏡止水」という言葉があります。「曇りのない鏡や、澄み切った静かな水面のように、雑念のない澄み切った心境にこそ、真実が正しく映し出される」といった意味です。
人は根拠の曖昧な熱狂の渦の中にいると、真実を見る目を奪われてしまいがちですが、経営者は事業の判断を下す際には、市況のムードに流されるのでなく、「明鏡止水」の心境で、真に必要な製品・サービスを、真に必要な所に、真に必要なタイミングで供給できるよう、冷静に意思決定ができなければならず、そのことを積み重ねることが、企業を持続可能なものにするのではないでしょうか。