Business Forum Kobe 21
トップページ >月刊コラム

【バブルの歴史】
1年前に表面化したアメリカ住宅バブル崩壊が引き金となった世界的な金融危機の終息は未だに見えないようです。
バブルの歴史でまず挙げられるのは17世紀オランダチューリップ投機事件でしょう。チューリップの球根に一般市民の年収25年分くらいの値が付いたという話もあります。18世紀イギリスでは、植民地事業会社の南海会社の株価が半年で10倍につり上げられ、2ヶ月で5分の1になった南海泡沫事件が起こりました。20世紀に入ってからは、1920年代アメリカにおいて、モータリゼーション等を原動力に永遠の繁栄と謳われた好景気に支えられた投機的株式相場が崩壊して、世界恐慌の引き金となりました。そして1990年代日本のバブル崩壊は、未だに日本経済に大きな傷跡を残しています。株式バブル・土地バブルの崩壊により経済が低迷し、不良債権処理に十数年の歳月と数十兆円のコストを要したのは、未だ記憶に鮮明です。そして21世紀に入ってからは、アメリカにおいても日本においてもITバブルの崩壊がありました。日本ではライブドア・ソフトバンク・光通信・楽天等々のIT企業に投機マネーが集中してつり上がった株価が瞬く間に暴落しました。そして今回のアメリカの住宅バブルの崩壊です。
なぜ、かくもバブルの歴史は繰り返されるのでしょうか。経済的な背景は各々の要因があるのでしょうが、根本には人間心理が大きく影響しているのではないのでしょうか。人は希望という色眼鏡を通して、自分が見たいものを見ようとし、自分が見たくないものから目をそらそうとします。それが、バブルの発生を招き、崩壊後の対応を遅らせる原因になっているような気がしてなりません。いい時こそ慎重に本質を見つめ、悪い時こそ前向きにチャンスをつかもうとする、そんな姿勢が経営者に求められるのではないでしょうか。

(2008.10.01)

Copyright (c) 2006 Business Forum Kobe21 All Rights Reserved.