“Tassi タクシー”に乗らなきゃいけない・・・。

関西国際空港を出発してアムステルダム経由でローマへ。どうしてもオランダ航空を利用したかったため、ローマに到着するのが夜の10時すぎに。そこから入国審査を済ませて、スーツケースを引き取って・・・と考えると、ローマ市内へ向かう電車の終電に間に合いそうにありません。仮に電車に乗れたとしても、テルミニ駅に着くのは深夜近く。そこから女の子ひとりでホテルへ向かうのはあまりにも危険では・・・。スーツケースを引きずったどう見ても観光客だし。テルミニ駅からタクシーを拾うくらいなら、空港からタクシーでホテルへ直接向かうほうがよさそうです。

が、しかし、いろいろ(悪い)噂を聞くイタリアのタクシー。事前にガイドブックで入念にお勉強です。悪徳タクシーに捕まって正規の10倍もの金額を払わされたとか、インフォメーションの名札を付けた男とぐるだったとか・・・。仕入れた情報によると、認可されたタクシーは黄色い色。「白タク」には乗らないこと。流しのタクシーには絶対に乗らず、列に並んでちゃんとしたタクシー乗り場から乗車すること。ふむふむ。

3週間のイタリア滞在のうち、一番の難関がこの初日の移動では・・・とドキドキしながらフィウチミーノ空港に到着。無事に入国審査を済ませて“Tassi”乗り場へと急ぐと・・・。早くホテルに着きたいあまり急いで歩いて来たので、タクシー乗り場に着いたのは私が一番乗り。『正規のタクシー乗り場で乗ること』だったのに、これじゃどこが『正規のタクシー乗り場』なんだかわかりやしない。うっ、と困って立ちつくす私の前に職員らしきおじさんが。「タクシーか?ローマ市内か?」と、無線らしきものでタクシーを誘導。このおじさんは、本当に空港の職員なんだろうか?。身分証明書を持っていても油断ならないのがイタリア人(失礼な・・・)。そして、目の前に止まったのは白い色のタクシー。しかし、まわりをキョロキョロ見回しても、『白』以外のタクシーは目に入らない(あぁ、私の予習が全く役に立っていない)。運転手は若いお兄ちゃん。ホテルの住所を見せて、念のため料金を尋ねると(私のイタリア語はちゃんと通じました。ホッ)、7万リラ(5,000円弱)ですって。ほぼ、前もって調べておいた相場通りでした。“色”が気にかかるけれど、まわりの人も白いタクシーに乗り込んでいることだし、私も乗せてもらうことにしましょう。そんな危ない目にあう確率なんて少ないよね。大丈夫だよね。だよね・・・。あぁ、連れがいれば心強いのに・・・。

空港からローマ市内までは約30キロの距離。運転手のお兄ちゃんは、「イタリアに何しに来たの?ひとりで来たの?」と不思議そう。私が、イタリア語を勉強していてトスカーナの語学学校に行くためにやって来たと伝えると、それじゃイタリア語の勉強をしよう、と。イタリア語でいろいろ問いかけてくるのだけれど、私にはさっぱり何のことやら。意味が分からないと言うと、同じことを英語で繰り返してくれます。が、ここで私はものすごい事実に気がつきました。私はイタリア語は全くのカタコト、日常会話もおぼつかないくらいしか話せないのですが、私の英語力はそれ以下かも・・・ということに。お兄ちゃんはご親切(!?)にも、イタリア語で質問をした後、同じことを英語で繰り返してくれます。が、私はどちらもほとんど理解できない・・・(泣)。ハッ、でも何か返事をしなければいけない。無視するわけにいかないし。少し、黙っていてくれればいいのに・・・。でも実は、まだドキドキしていたんですよ。無事、ホテルに着くまでは安心できないや、って。だから、本当のところお話なんてしないでとっとと目的地へ行きたかったんです。
え?U2を聞くかって?自分はこの歌を好きだけど、私はどう思うかって?。どうだっていいよ。U2は知っているけど、この曲は知らないし。とにかく早くホテルに着きたいなぁ。とりあえず、U2は好きだ、って答えとこっと。ん!?どうしてこの車CDがついてるの?。本当にタクシー!?・・・だよね。

最初に疲れてるからとか言って話さなければ良かったと、少し後悔しつつも(だって、私も『お勉強だ』と思ったし・・・)一方的に会話の弾む中(笑)、ホテルに到着。別れ際の運転手の兄ちゃんの言葉は、「What do you think about me?」。キスしてもいい?だって。そんなこと言われてもねぇ・・・。どう思うと言われても、You are driverだとしか私には・・・。なぁんだ、ホントに気のいい普通の兄ちゃんだったんだ。ようやく安心できました。デートのお誘いを丁寧に(なつもり)お断りすると、「ローマに戻って来たら電話をしてね。どこへでも迎えに行ってあげるから」ってAndreaと名前の書かれたタクシー会社のカードをくれました。って、おいおい、それは君の『仕事』じゃないのかい?と、心の中で(小心者)つっこみながら、チップ込みの7万5千リラを払って、GrazieそしてBuona notte(お休みなさい)。

あぁ、無事に着いて良かった。騙されなかったし、ぼられなかったし。
それにしても、イタリアーノってみんなこう、なのだろうか・・・。そういえば、前の旅行ではホテルのお兄ちゃんにさんざん口説かれました。趣味と実益を兼ねる、というか、職権乱用(?)、というか、一石二鳥(??)というか・・・。でもまぁ、騙したり、ぼったくったり、もの盗んだりするんじゃなければいいんですけどね。あぁでも、こんな調子じゃ前途多難というか・・・。ま、だからItaliaはおもしろい、ということにしておきましょう。