イタリア流、“Biglietto 切符”の買い方。
あれはどの町だったか忘れましたが、駅の切符売り場で順番を待っていました。どの売場も長蛇の列。日本でも見かける、カウンターのガラスの窓越しに係員が端末を操作して切符を売ってくれます。ところがここはイターリア。待っても待っても列はなかなか前に進みません。あ、そうだ。列の最後尾に並ぶ前に少々注意を・・・。
窓口毎に売っている種類の切符が違うのです。特急券、普通乗車券、目的地別、などなど。それをちゃんと確かめてから並ばないと、やっとの思いで順番が回ってきたのに、その切符はここじゃないよ、と冷たく追い返される(!?)羽目に。そう言えば、私の後ろにいたナポリへ行くと言っていたアメリカ人のおじさん。私のすぐ前で、並んでいた窓口が空港行きの切符しか売らなくなってしまい(!)激怒していました。私が無事に空港行きの切符を入手して振り返ってみると、ぶつぶつ言いながら別の列の最後尾に並び直していました。なんて不幸な・・・。でもここはイターリア、ですからね。

話を戻して、私たちは切符を買うために並んでいました。20分近く待って、ようやく私たちの番が。と、その時、私たちの並んでいた窓口のおじちゃんが席を立ってしまいました。次の番の私たちには何も告げずに。奥のドアからは別のおじさんが入ってきたので、「あ、彼は早番だったので交代するのね」なんて都合よく解釈して辛抱強く待つ私たち。しかし、さっきの彼も新しい彼も仕事を始めるわけでなく、何度となく私たちの前を横切るばかり。「おーい」と窓をトントンと叩いてみても、反応はなし。隣の列はすいすい進んでいるのに、私たちの列は、次は私たちの番だというのに職員がいないの。後ろに並んでいる人は列を並び替えたりしているけど、私たちはね・・・、だって次の番なんですもの。「締切」の札でも出されたらあきらめもつきますけど。その時、私は見てしまいました。さっきまでこの窓口で切符を売っていたおじさんが、同僚とにこやかにコーヒーを飲んでいる姿を。しばらくの談笑の後、彼は何事もなかったかのように窓口に座りようやく私たちに切符を売ってくれたのでした。
教訓。イタリアでは切符を買うのに時間がかかるので、乗りたい時間の次の電車にしか乗ることが出来ない。

そんな状態で、イタリア人はどうしているのかというと・・・。

モンテプルチアーノに行くため、ローマのテルミニ駅で電車を待っていました。時間通りにやって来ないことで有名なイタリアの列車。塩野七生さんのエッセイで「職員が全員、ナポリターノでは?と思うくらい・・・」と書いてあったのには思わず納得、で大笑いしちゃいましたけど。この時も列車は時間を過ぎてもやって来ませんでした。なんの前触れもなく(放送があるんでしょうが、私には聞き取れない)到着ホームが変わってしまうことがよくあるらしいのでこの時もそうなのかと思い、サルヴァトーレに聞きに行ってもらいました。彼が誰なのかというと、暇(?)なイタリアーノなんだろうとしか・・・。駅員室にまで押し掛けて、電車はどこへ行ったのかと尋ねても、駅員は分からないの連発。どうして駅員なのに、電車がどうして来ないのか、ただ遅れているのか、ホームが変わって既に出発しちゃったのか、分からないんだろうと、私には不思議だったんですけど。
何分の電車だ?とどこやらかに電話までかけてくれたけど、答えはモンテプルチアーノに行くなら次の○分の列車に乗れ、の一点張り。ま、それに乗らなきゃモンテプルチアーノに行くことが出来ないのは分かっていたから構わないのだけど、その列車に乗るには特急券が必要だって言うんです。押し問答にかなりの時間を費やしていたので、次の列車まであまり時間が残っていませんでした。特急券を買おうにも、窓口は相変わらずの長蛇の列。これを並んでいたら間に合わないよな・・・と困っていると、こんな時頼り(!?)になるのがサルヴァトーレ。並んでいる人たちに文句を言われながらも、なにやら言い訳をしつつ、順番抜かし。「まぁまぁ・・・」って感じで、ものの1分ほどで無事に切符を買うことが出来ました。さすがはイタリアーノ。あっぱれでした。そういえば彼、私を見送りにホームまでついてきたのですが、入り口で切符を見せろと駅員に言われても、なにやら言い訳して勝手に入っていたような・・・。