1月にローマに行こう。そんな話題が出た時、航空券の手配よりも、パスポートの申請よりも、まっさきに、セリエAのスケジュールを調べちゃいました(笑)。
結果、ローマで楽しめそうなのは、1月15日の第19節、ASローマ対ACミラン戦かな・・・。

イタリアでサッカーを見るのは、初めての経験なので、出発前に情報を集めることにします。だって、ロマニスタ(ローマファン)が暴れてるニュースを頻繁に聞くし・・・。

ということで、まず、必要なのは、チケットの入手方法。
日本の代理店を通してチケットを購入できるらしけど、手数料が高いのでこの方法はパスします。インターネットで直接、予約とか購入が出来ないかを調べてみましたが、どうもASローマというチームはそういうシステムを持っていないようです。ってことは、手っ取り早く現地調達ですね。だって、当日ものすごーーーく寒かったり、自分のお腹が痛かったり、前節でティフォージ(ファン達)が暴れまくってスタジアムがエライことになってたり、とかなんとかで、行きたくなくなる可能性もあるので、やはり現地調達が無難です。
次に必要なのは、そして、スタジアムまでの交通手段。
ローマの北側、やや郊外にあるスタジオ・オリンピコ。トラム、バス、タクシーという交通手段があるようです。と、いろいろと調べていたのですが、だいたいさぁ、当日、私達はどこからスタジアムに向かって出発するのか分からないじゃない。って訳で、これも到着後に考える。

以上。
って、ん?ん?前もって準備することはこれだけ?。結局、出たとこ勝負になっちゃいましたね(笑)。

さぁて、ローマへとやって来ました。何ら問題も無く、試合は開催されそうです。じゃ、チケットを手に入れなくてはね。当日券も買えるそうなのですが、スタジアムで並ばないとならないらしいので、ASローマの公式ショップで前売り券をゲットすることにします。ローマ中にいくつか公式ショップはありますが、私達は、コロンナ広場にあるASローマストアで購入しました。ASローマグッズを扱うこのお店の2階でチケットを売っています。試合の前々日、どうみても観光客ばかりの列に並び、待つこと30分以上。やっと順番が回ってきました。
なんだか、昨年だか一昨年からだか、セキュリティ強化のためだか何だかで、チケットに購入者の名前を入れるようになったんです。それに時間がかかるせいもあり、なかなか列が進まない。導入当時、このシステムのせいで入場者が減った、って聞いたような記憶があるけど、その気持ち非常に!よく分かります。で、私、このことを知っていたにも関わらず、ドキュメント(パスポート)を持ってくるの忘れました。名前と生年月日をメモ書きして、オッケー。これで、本当にセキュリティ対策だか、テロ対策だかに、効果があるのか??。ま、連れの友人が自身のパスポートを見せましたけど。

さて、チケットを買う前に座席を決めなければ行けません。一番安いのは、CURVA・クルヴァと呼ばれる(英語の“カーブ”です)ゴール裏。ティフォージ共が、発炎筒を焚いたり、爆竹を鳴らしたり、ゴールに向けてペットボトルを投げつけたりしている席ですね。この中で楽しむのも面白そうではありますが、今回はパス。いつの日か、ローマ人でロマニスタの友人でも出来たら、挑戦してみましょう。というわ
けで、TRIBUNA・トゥリブーナと呼ばれるメインスタンドの席を買うことにしました。80ユーロと55ユーロの席があったので、55ユーロを選択。
さて、試合前日の朝。フォーメーションが知りたいので、新聞を買いに行きます。比較的大きな広場などにある新聞・雑誌スタンド、EDICOLA・エディーコラへ行って、「ウーナ・ガゼッタ・デッロ・スポルト」。ガゼッタ・デッロ・スポルト、街角の至る所でイタリア人が読んでるのをよく見かける、ピンク色の紙のスポーツ新聞です。1部、1ユーロです。お土産にぴったり。

まずは、ACミランのフォーメーションを確認。えーっと、ツートップが、ジラルディーノとシェフチェンコ。・・・っと、これは良いとして、あぁん、私の愛しのマルディーニは出ないのね。怪我は治ってないのね・・・。で、ASローマの方といえば、うわっ、モンテッラは出ないのか。これじゃ、私、何のためにローマ戦を見に行くのか分からんやん・・・。というより、このメンバーでASローマはどうやって戦うつもりなのか・・・!?。
えっと、実は、私は、この時点、2005−2006シーズン開幕より、首位をひた走りに走っているチームのファンなので、追いかけるACミランには、勝ち点を取ってもらわないほうが有難い。でも、私は超!ミーハーなので、スター選手のシュートも見たい!!。うーん。3対2でASローマの勝ち、とか、3−3で引き分け、ってのはどうだろう??。ガンバレー!トッティ王子ぃ!!と、小さくエールを送ってみることにします。

さて、試合当日。試合開始は20時30分。滞在しているトラステヴェレのアパルタメントで、ここからどうやってスタジアムに向かおうか、あれこれ思案していたのですが、バス路線図とにらめっこするのも面倒くさくなり、タクシーでスタジアムへ行くことになりました。渋滞に巻き込まれることもなく、無事にスタジオ・オリンピコへ到着。「このまままっすぐ行けばいいから」という運転手の言葉に車を降り、歩いていると、ズオーンという腹の底に響くような音と、歓声が聞こえてきました。あぁ、選手が入場したのね。急がなくっちゃ。観客はみんなスタジアムに入った後だったので、周りはガランと人気もほとんど無くて。この時間に来て正解やん・・・などと思いながら、門へ向かったのですが・・・、あぁ!もうっ!今、思い出しても腹が立つ!。

緑色の大きな門の前で、チケットを見せると、ゲートが違うから、あっちへ行けとの返事。あら、そんなこと考えもせずに歩いてきたわ・・・と、自分のチケットを両手で持ってジッと眺めていると、若い黒い髪の男の子が突然私の目の前に・・・、現れたなと思ったら、私の手からチケットをひったくって逃げた!。
あのね、『呆然』って言葉は、こんな時のためにあるんですね。何が起こったのか、さっぱり分からなくて、しばらくポカンとしていました。で、次の瞬間、追いかけなきゃ!と思ったものの、さすがにそれは止めた方がいいやろ〜と思い直し、友人に「チケットを盗られた・・・」。私は見てなかったのですが、彼女曰く、さっき、スゴイ勢いでスタジアムの中に入って行ったアイツか?。なんで私達はゲートが違うと追い返されたのに、アイツは入れてるねん!!。あーーー!もう!訳わからん!。

近くに居て一部始終を見てた男性が、彼に言って来いと、門の中の警備員を指差すので、「男の子にチケットを盗まれた」。当初、彼も話が分からないらしく、盗難なら警察に行けと。そうじゃなくて、「今、ここで、盗まれた」と伝えたところ、理解はしてもらえたんだけど、チケットが無いと中に入れることは出来ないとのこと。

友人2人のチケットは無事。チケットがあるのに中に入らない私達を見て、「そのチケット、売りに来たのか?」と声をかけてくるゲート前にいる人。売りません・・・。というより、ここで他人の余ったチケットを買って中に入れるのなら、パスポート見せて名前を入れてもらう為にあんなに並ばされた意味ないやん。

ま、とにかく、違うゲートの前に居ても埒があかないので、とりあえず、指定されたゲートに向かいます。友人のチケットによると、41番ゲート、41Hセクションの44列27番。ちぇっ、せっかく高いチケットを買ったのに、私達が今、居たのって、いっちばん柄が悪い所のゲートやん。

で、41番ゲートに着いたけど、鍵が掛かっていて入れない。隣のゲートが開いてたから行くと、「君達は41番」と追い返される。だって、誰もおらへんし、鍵かかってるやんけぇ!!

「ゲートが違うからここからは入れることは出来ない」
「そのゲートは、鍵が掛かっていた」
「ドアを叩いて中の人を呼べ」
「叩いた。呼んだ。覗いたけど、誰ひとりいない!!」
何度も繰り返して、しつこくしつこく訴えかけて、何とか入れることになったものの、「チケットを見せろ」。
「ウン・ラガッツォ・ミ・ア・ルバート・イル・ミオ・ビリエット!!!男の子が私のチケットを盗んだ!!」
「チケットが無いなら、入れない」
「今、盗まれたの!」
でも、「チケットが無いなら、入れない」の一点張り。あぁ!もうっ!どないせいっちゅうねんっ!!
「彼女達と一緒にチケットを買って、彼女達の席が、44と45で、私のが46だ!チケットには私の名前も書いてある!」

イタリア語で、「責任者を呼べ!」とは何て言うんだろ。それから「コンピュータに私の名前が登録されてるやろ!それを調べろ!」、ええとそれから、他に言うべきことは・・・と、頭の中で文法を組み立てていると、やる気のなさそうな男性係員が目に入った。彼ならいけるかも、と、まず友人2人がチケットを差し出すと、違うゲートだけど彼はチケットを千切った。チケットをもう千切っちゃったんだから、私ひとりだけは追い返さないだろうと、「チケットを買ったけど盗まれた」と訴えると、さっきから見てたんだろうね、あっさりと入れてくれました。よっしゃ!。
ここで、ひとつ教訓。こういう係員って、絶対に女性はキツイ。男性係員に訴えるべし。

前半開始後20分頃に、ようやく席に着くことが出来ました。やれやれ・・・。長い道のりだった。でも良かった、試合は進んでない。ゼロ対ゼロのままでした。

中に入れただけで、ひと仕事終えた気分です。もう満足!!試合なんかどうでも良いって感じですが(笑)、ピッチに目を向けると、あぁ!!ジーダ!!。緑のジーダが居る!。生ジーダに感激。おぉう!ガットゥーゾが、テレビで見るのと同じ走り方で、走ってる!!。と、初のセリエA観戦を満喫することが出来ました。
結果は、ASミラン不発。前節までも、その次の試合も、大量得点だったのにな。カカーとかシェヴァのシュートが見たかったな。残念。後半のマンシーニの得点が決勝点でした。
翌日のガゼッタ・デッロ・スポルトには、「マンシーニがミランを引き離し、カペッロを助けた」「さらば、スクデット」となっていました。ま、私にとっては、ユヴェントスのキャプテンの大活躍で、ユーヴェ勝利のニュースに大満足の第19節です。

さて、帰国して、通っている大阪のイタリア語学校の授業で、チケットを盗まれた話をしたところ、先生が「そんな話、聞いたことが無い!」と。へーえ、イタリアではよくあることなのかと思ってましたよ、ちょっと驚き(だって、そうだったとしても何の不思議も感じない国なんですものぅ!!)。

ま、「珍しいこと」らしいですが、みなさんもサッカー観戦に行かれる時は、チケットに注意してくださいね。それと、もうひとつ。ウン・ラガッツォ・ミ・ア・ルバート・イル・ミオ・ビリエット!!!を覚えて行くこと!。