マリーナ・グランデ
『Travelar』という旅行専門の雑誌があります。タイミングよく、私の見つけた号はナポリ特集でした。南へ向かう列車の中で読むことにします。まず目に留まったのは、ナポリにあるカーポディモンテ博物館の記事。よし、ナポリに着いたらここに行こう。そして、私の目をひいたのは1枚の写真。どうも島のようです。そのページを隅々まで見ると、小さく『Procida』という文字がありました。さて、巻頭に乗っている地図とにらめっこです。おぉ!イスキア島とナポリの間に『Procida』という文字を発見しました。イスキア島に滞在する予定なので、足を伸ばしてみることにしましょう。アクセス方法は載っていないけれど、地名さえ分かってれば、行けばなんとかなるでしょう。

イスキア島からプロチーダ島までは、船で約20分、18,000リラ(2001年)でした。あの写真の景色が見られる!期待に胸を膨らませ、プロチーダ島へ上陸です。
私たちの船が着いた港はどうやら、グランデ・マリーナ(大きな港)というようです。近くに大きな教会があったので写真を撮ろうと、友人に声をかけひとりで教会の方へ歩いていく私。写真を撮り終え友人たちのところに戻ろうとすると、どうも様子がおかしい?。
ん?記念撮影か?で、誰と?
私が近づくと、妙にご陽気な兄さんが近づいてきて私の肩を抱き、友人のカメラに向かってポーズ。仕方がないので、私もにっこり。で、君は誰やねん?。友人によると、自分たちが写真を撮っていたら、、「僕たちと一緒に撮れ!」と、強引に写りに来たのだとか。うん、遠くから見ていてもきっとそんなことなんだろうと思っていたよ。彼らは私たちの写真に写るだけ写ると、満足そうに笑顔で去っていきました。カメラが珍しい地域かなんかで、写真を撮って送ってくれ、というのならわかるけど、人の写真に写りこんで何が楽しいのか、イタリア人?
さて、プロチーダに上陸したところで、まずは腹ごなしです。港のすぐ前にあるバールで昼食をとることにします。ケースの中に美味しそうに並ぶピッツァを選んで、さて飲み物は・・・。冷蔵庫の中に変わったものを発見です。その名も『Cava Cava Drink』。名前にひかれて、こいつを注文。由来はさっぱり分かりませんが、青りんごジュースの味がしました。食べ終えて、お店のお姉さんにチェントロ(中心街)への行き方を尋ねると、ご親切に島の地図をくれました。尋ねておきながら、この小さな島にチェントロが存在するのか、少し不安だったりしていたのですが、どうやらチェントロは存在するようです(笑)

お姉さんは、チェントロはここ、と島のちょうど港と反対側を指してくれました。とりあえず、そこを目指すことにしたのだけれども、島の反対側ということは、山を越えろということを意味しているような気が・・・。ま、『Travelar』のあの写真は高台から撮られているようなので、どっちにせよ山に登らなければいけなんですけどね。いざ、出発。頂上を目指して、坂道を登り始めます。どこまで行っても続く石畳の細い路地。黄色やピンクのパステル調の壁に原色の鎧戸。はためく洗濯物。午後の早い時間ということもあり、人気も少なく、島は本当に静かです。歩いていると、ステキなお庭を発見。覗き込むとどうやらホテルのようです。ホテルがあるということは、ここは観光地だったのか?(プロチーダに対する予備知識ゼロの私たちです)。フロントに人がいたので、お願いしてパンフレットを頂きました。次回、来る時は、ここに泊まることにしましょう。のんびりとした時間が過ごせそう。
地図をもらったけれど、目的地がいまいちハッキリしていないので(私たちの目標は、あの写真と同じ景色が見たい!ということ)、結局のところ地図は役立たず。ま、とにかく、上へ上へ行けばいいでしょとばかりに、歩く歩く。

で、ついに!!!到着しました。『こっちのような気がする』これだけでよく辿りつけましたね、私たち。あの写真が撮られたと思しきところは(写真と同じ景色が目の前に広がっているんですもの。ここに違いありません!)、展望台のようになっていました。ここから見下ろすと町並みはマッチ箱を並べたママゴトみたい。家の壁がパステル調なら、紺碧の海に浮かぶボートもカラフル。
長かった坂道の疲れも吹き飛ぶほどの眺めです。ふーう。

これが見たかった景色