Pompei ヴェスーヴィオ山の麓、ポンペイは1900年前と変わらない姿で眠っています。
子どもの頃、図書館が友達でした。シャーロック・ホームズからヘレン・ケラー。その中に“古代遺跡の謎”みたいな本も混じっていました。エジプトのピラミッドに、マヤ文明、インカ帝国、空中都市マチュピチュ。しかし、なにより私が怖かったのは、ポンペイで発見された人。人といっても、人じゃないんです。本の注釈を読んで、さらに怖くなった記憶があります。だって、想像してみて下さいよ・・・。火山が噴火して溶岩が流れ出し、あまりの熱さに人間が蒸発してしまい、あとには、人間がいた空間だけが残ったって。写真は、その空間にコンクリートを流し込んだもの。私の頭の中には、ポンペイは怖い、としっかり刻まれたのでした。それから何年も過ぎ、図書館にも行かなくなり。ポンペイといえばイタリア、なのに、イタリアといえば、おいしいご飯とルネッサンスと・・・と、すっかりポンペイなんて忘れてしまっていた頃、再会することになってしまいました。
ポンペイへは、“Ferrovia Circumvesuviana ヴェスーヴィオ周遊鉄道”に乗って“Villa di Misteri”駅下車。約40分の道のりです。この列車はナポリチェントラーレ駅の地下から出ています(ローマからナポリまでは、2時間くらい)。往復で5,400リラ、約370円(1997年)でした。この列車は私鉄なので、ツーリストパス、他のパスは使えません。他にも行き方はあるみたいですが、私は2度ともこの方法をとりました。
車内販売がある列車を降り、おみやげ物の並ぶバールの前を通り過ぎて右手にしばらく歩くと、入口が見えてきます。入口でチケットを買って(12,000リラ、約800円)、いざ、紀元1世紀へ出発です。闇雲に歩いても、ただ疲れるだけなので、ガイドブックの地図を片手に・・・なのですが、方向音痴の私。今どこにいるのやら、どこを曲がればいいのやら。ヴィーナスの神殿に、アポロン神殿。それから、ジュピター神殿。とにかく、右を見ても、左を見ても、遺跡・遺跡・遺跡!!。町全体が灰の下に埋もれちゃったんだから、当たり前と言えば当たり前なんですけど・・・。
そして、ついに、やっと、彼(?)に再会!!。実は、あんまり会いたくはなかったのですが・・・。申し訳ないんですけど。
ホントに、怖かったんですから。単なるコンクリートの固まりだ、といってしまえば、それまでなんだけど。やっぱり、製造方法(!?)を考えるとね。
Pompei
悲劇詩人の家
Casa di Paqui Proculo
悲劇詩人の家 “入り口の鎖につながれた犬”
犬の下には「猛犬注意」の文字が!
悲劇詩人の家は、玄関にある鎖に繋がれた犬のモザイクで有名です。2年前に初めてここを訪れた時は、すご〜い!!細かい〜!!イヌ〜!!と、感激していたのですが、今回ポンペイに来る前に、ナポリにある国立考古学博物館へ行くと、“イヌ”、ちゃんと展示されていました。確かに、こんな貴重な物、ひどい砂ぼこりと直射日光の当たるところにほってはおけませんよね。ちょ〜っと頭を使えば分かることだったのに。なぁんだ。2年前は、感動して損(!?)しちゃった。皆さぁん、ここにあるのはレプリカですからねぇ〜(そんなこと、分かってるって!?)。
ポンペイは、とにかく砂ぼこりがひどいので、サングラスを持って行くといいと思います。コンタクトレンズの私たちは、角を曲がる毎に泣いていました。大劇場を見て、ぐるっとひと周りしたら、おなかも空いてきたのでリストランテへ。学校の食堂みたいなリストランテなんですけど、ここしかないのでとりあえずそこへ。あ、そうだ。余談ですけど、イタリアは(南の方だけなのかな?ちょっと、自信ないですけど)、ココーメロ(スイカ)が、おいしいです。ここも然り、でした。
2年前に来たときは、とにかく暑くて暑くて。おまけに、前夜、夜行列車でシチリア島を出発。朝の5時頃にナポリに着き、時間を潰すためにポンペイにやって来たので、すっかりダウンしてしまい、このリストランテで熟睡してしまいました。というわけで、前回は、あんまり見て回っていないのです。私の記憶はイヌだけ。さてさて、気を取り直して、今年はちょっぴり涼しいし、再度、見学に出発だ!。
浴場を覗いたり(公衆浴場だったのかな?)、運良くガイド付きの団体の後ろになって聞き耳を立ててみたり。暑くて、広くてしんどいので(全部見て回るには、丸々1日はかかっちゃいそう。入口に時間別のコースが表示されているんだけど、それを回るのも結構、しんどい。まだまだ発掘されてなかったり、未公開の部分も多いんだって)、ざぁっと歩いて、おもしろそうなところを覗いて・・・。
円形劇場

Villa dei Misteri
秘技荘
そろそろ、帰ろうかなって思って、最後に見逃せないのが、“Villa dei Misteri 秘技荘”であります。1度、ポンペイの出口を出て、坂道をひたすらずーっと、トコトコ、トコトコ歩いていきます。ホントにこんなところにあるのだろうか・・・もしかして道を間違えた??と不安になり始めた頃、到着。ちなみに、秘技荘に行くために1度、外へ出てしまうともう中へは入れないので、気を付けましょう。でも、暑い中、もう十分見たからいいよね。
秘技荘とは、60もの(ひえぇーでかい!お金持ちだったんだろうね)部屋からなる大邸宅。大広間の真っ赤な壁がとても神秘的。怖いくらいの“ポンペイの赤”でした。今、この赤色は再現できないとか。ここは、一見の価値あり!ですよ。もちろん、ナポリの考古学博物館に、展示されています。お間違えなく。

1997.07

 

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