今回の旅は、リヴィエラ海岸を東から西へ。日本ではコート・ダジュールと呼んだ方が通りがよい、フレンチ・リヴィエラを後に、国境を越えて再びイタリアン・リヴィエラへと戻って参りました。本日の宿泊地は、西リヴィエラ(リヴィエラ・ディ・ポネンテ)の“Alassio アラッシオ”という町です。
前日の宿泊地である、フランスは“Nice ニース”より、海岸沿いを走る列車で国境の駅“Ventimiglia”で乗り換えです。ニースからこの国境の駅までの列車は、冷房も効いていて真新しいきれいな列車だったのですが、イタリアに入り乗り換えたのは、ぼろっちい(笑)冷房も付いていない列車。これも、ご愛敬(!?)ってところでしょうね。とにかく、帰ってきたぞ!という気分に浸るには最適です。
友人に、フランスから国境を越えてイタリアに入った瞬間に町並みがぼろっちくなる、と聞かされていたので、注意して車窓を眺めていたのですが、確かにその通り。汚ならしいという訳ではないのですが、なんとなくフランス側の方が、洗練されているというか・・・。
国境の駅
国境の駅、“Ventimiglia”
ホテルの目の前がビーチ しばらく窓の外を眺めて、私たちの出した結論とは、その1、フランス側は建物の手入れが行き届いている。外壁や窓枠のペンキが塗りたてというような気がします。イタリア側はしばらく塗り直していないよな・・・といった感。それから、イタリアの方が建物も色が派手ですね。フランスでは、壁も窓も淡い色が目立つのに、イタリアへ入ると窓枠がいきなり原色!。薄いピンク色の壁に、真緑の窓枠。フランスではあの濃い緑色はあまり見かけなかったような気がします。そして、その2として、フランス側は街路樹の手入れが行き届いている。それによって、整然とした雰囲気が漂っているのかな?。それに引き替え、イタリアの樹木は伸び放題(笑)。
恐らくこういった理由から、なんとなく野暮ったく(?)感じるのだろうと、私たちは結論づけました。おまけに、列車は暑いしね。国境を越えたといっても、ほんの数分の距離で、ここらあたりに住んでいる人はきっと民族も一緒だろうに・・・。『イタリア』っていうだけで、電車に乗ってる私たちも、思わずダラッとしちゃうのはどうして!?
今回、私たちが宿泊したホテルは、海の真ん前。地球の歩き方に、「波の音を聞きながら眠れるホテル」と紹介されていたところです。実は、この日はどの町へ行くかさえ前もって決めていなかったのです。翌日はリヴィエラ海岸の東の端に位置する“La Spezzia”というところへ行くため、出来る限り東へ行っておこうということで、前日に電話をかけてホテルを予約しました。アラッシオは高級リゾート地と聞いていましたが、シーズンなのに、空いているものですね。「海に面した部屋じゃないけど・・・」ということでしたが、宿があるだけ感謝!。ところが、着いてみると私たちの部屋は、海に面した部屋。なんだかよく分からないけれど、ラッキー。でも、私のヒアリングが悪いんだったら、ちょっぴり悲しい!?
部屋に入るなり、目の前に開けた海に、思わず歓声をあげてしまいました。荷物を放り出して、急いで海岸へ。遠浅のものすごくきれいな砂浜です。今までに、イタリアのリゾート地はいくつか訪れましたが、この浜は格別です。とってもおもしろい波。
寝転がってゴキゲンです
ホテルの部屋のバルコニーより 誰かがきっと、水平線の先で人工的に波を起こしているのに違いない、と疑ってしまうくらい、規則的に(しかも早い間隔で)波がやって来ます。そして、3分に一度くらいの割合で、頭を越えちゃうような大きな波がザッブーンと。周りを見回してみると、老若男女(笑)みんな沖の方を向いて、波がやって来ると、ポーンと飛び上がるの。
子どもを連れたパパさんの『Attenzione!(気をつけろよ!)』という声、ボーイフレンドに向けられた『Aiuto!(助けて!)』という叫び声が聞こえたら、デッカイ波が来る合図。思いっきり飛び上がらないと、耳の中も鼻の中にも海水が入っちゃいます。60歳くらいなのじゃないかな・・・っていうおじいちゃんだって、私たちを同じタイミングで飛び上がって遊んでるから、微笑ましい。それにしても、こんなにおもしろい海は初めて。
リヴィエラへ行くことがありましたら、ここアラッシオは、一番のオススメです。ぜひぜひ、予定に組み入れてみてくださいね。
日も陰ってきたし、泳ぎ疲れたことだし(砂浜で眠っちゃいました)、そろそろ夕食のお時間です。部屋のバルコニーから見える海がきれいなので、ピッツァをテイクアウトしてそこで食べることにしました。ボンゴレのピッツァを買って、ホテルのエレベーターに乗っていると、乗り合わせたお姉さんが、私の持っているピッツァの箱を指さして、しっかりとした口調で、『さめたPIZZA!』って。えぇ!?さっき、買ってきたばかりでまだ温かいんですけど・・・(笑)。そ・その前にそれは何語?イタリア語なの??どういう意味? でも、はっきりと『冷めたピッツァ』って言ったよ。笑いをこらえきれなくて、大笑いしちゃいました。きっと、「わぁ、ピッツァ。美味しそう!」とか、「いいわねぇ。」なんていう感じのことを言ったんでしょうけどね。お姉さんも笑っていたし。でも、私たちの笑い方は尋常じゃなかったよね。お姉さんもビックリ?。だって、「冷めたピッツァ」なんだもの。
バルコニーに腰掛けて、ピッツァを頬張りながら、海岸を見ているとおもしろいことに気が付きました。海岸にずっと、パラソルとチェアが並べられているのですが、その色使いがとってもイタリア的。
夕食前にお散歩を
なぜだかアールヌーヴォー調の駅
Alassioの駅
赤のチェアには、赤と白のシマシマのパラソル。この配色は普通ですよね。きっと、フランスなら全部がこの調子だと思います。でも、ここはイタリア。赤のチェアには、グリーンに赤のラインが入ったパラソル。グリーンのチェアには、黄色のパラソル。それから、ブルーの地に真ん中に赤のラインが入ったもの、これはチェアとパラソルとお揃い。ね、とってもイタリア的でしょ。ワザとなのかなぁ・・・?? うん。きっと、狙ってるよね。
「波の音を聞きながら眠れる」ホテルだったんだけど、この町の波は・・・うるさいッ!眠れないじゃないの・・・。普通の波って、『ザバーン・・・・ザバーン・・・・』と、思わず眠気を誘うようなものでしょ。アラッシオの場合は、『ザバザバザバザバ』(笑)。特に、風が強いとは感じなかったけれど・・・。部屋に冷房はなかったけど、窓を閉めてやりました。これで、安眠できますね。ヤレヤレ(笑)。

1997.07