Vence



ニースのバスターミナルから、山道を揺られること、約1時間。St.Paulを経由し、“Vence ヴァンス”へ到着です。お目当ては、“Chapelle du Rosaire ロザリオ礼拝堂”。画家アンリ・マチスによってつくられた礼拝堂です。

右写真のような岩山を超え、ついに到着です。海岸沿いではなく、やや内陸に位置しているので、Ezeの町ほど断崖絶壁!ひやぁ高い!怖い!という感じはありませんでしたが、それにしてもスゴイところにある町です。
お店に囲まれた町の中心らしい広場でバスを降り、チャペル・マチスまでは、歩いて15分ほど。広場に前にあった、インフォメーションで地図をもらい、道順を教えてもらいます。町の中心から外れ、山の方へ坂道を上っていきます。インフォメーションのお姉さんは、バスが出ていると言っていましたが、たったの15分くらい、歩いちゃいましょう。

Venceの町より、さらに高い山を。


礼拝堂側面。
私が、マチス・チャペルの存在を聞いたとき、最初は冗談だと思ってしまいました。マチスの絵といえば、色とりどりの原色で描かれた花や葉っぱ。???。これで礼拝堂をねぇ・・・。どんなにポップなものに出来上がっているのでしょうか!?。あまり、神聖さが感じられない気がするのですが・・・。
いつか、必ず訪れてみたいと思っていたので、ニース行きの計画を立てたとき、迷わずチャペル行きを決定しました。さて、いよいよ本物を目にするときが。礼拝堂は思っていたより小さく(礼拝堂だからこんなものかも?教会をイメージしていたもので)、入り口からマチスがお迎えしてくれました。

10分ほど登り、あとは真っ直ぐ進むだけで到着というころ、前方から来たお爺さんが「マチス・チャペルは、この道を真っ直ぐ行って・・・」と、説明をしてくれました。別に尋ねた訳じゃないんですけどね。そして、なおも進むと、別のお爺さんも「マチス・チャペルは、このまま真っ直ぐ・・・」。この辺りをウロウロしている外国人は、全員『マチス・チャペル』へ向かっているんでしょうね(笑)。でも、道を尋ねた訳でもなく、目があった訳ではないのに、道案内を。この辺りの人は、親切ですね。



入り口の上には、ブルーで縁取られた白いタイルに黒い線で、イエス・キリストと十字架、聖母マリアと幼子イエス。建物の外壁は白亜で、屋根のブルーがとても印象的。白と黒のコントラスト、地中海を思わせるウルトラ・マリンブルー。シンプルすぎるくらいシンプルなデザインが、私の予想とは反対に、神聖な雰囲気を醸し出していました。ただただ、黒の線が引かれただけなのに、イエス・キリストと聖母マリアに見えてしまうのに驚愕です。

「陽気さのあふれた教会。人々をしあわせにする空間」。マチス自ら、こう評したのだとか。さっそく、内部に入ってみることにしましょう。
建物に入り階段を下りたところで、入場料(?)を払います(13フラン)。そして、この扉の向こうがマチスの空間・・・
入り口に描かれた絵。


礼拝堂内部。 黒い線だけで描かれた、『十字架の道行き』と『聖ドミニク』。さほど広くない部屋を飾るステンドグラスには、鮮やかなウルトラ・マリンブルー、レモン・イエロー、そして、何と表現して良いか分からないほどの美しいグリーン。エメラルド・グリーンというだけでは物足りない、エメラルドより格段に美しいグリーン。白いタイルにステンドグラスを通った陽光が反射し、「しあわせな空間」が形成されています。
白亜の床に、壁に写りこんだステンドグラスの光がとても印象的。午前中の、しかもとてもお天気のいい日だったので、本当にきれいでした。

南仏を訪れる機会があれば、ぜひ、マチス・チャペルへ。チャペルを見るためだけに南仏へ行くことを、オススメしてしまいたいくらいです。ただ、見学出来る曜日と時間が限られていますので(なんといっても、礼拝堂ですから)、訪れる際には、必ず調べてからにしてくださいね。


マチス・チャペルの写真


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