華です。 久しぶりです。 失踪した編集長がまた戻ってきました。 業務再開です。 ***** 華: 「編集長、ニュースです!」 編集長(イギリス紳士)はデスクでヌイグルミに向かって話しかけていた。 編集長: 「僕ちゃんさびちいんでちゅ〜」 編集長: 「そんなことはないさ、いつかきっとキミにもいい人が現れるさ」 華: 「(一人二役・・・?)」 編集長: 「ほんとでちゅか〜」 編集長: 「ほんとうさ、ただ、キミみたいにカッコよくて頭がイイ人だと周りが敬遠しちゃうだけなのさ」 編集長: 「やったでちゅ〜、ハッ!華ちゃん!!いつからそこに!!」 前々から疑ってはいたが、やはりコイツは本物だ。カワイソウな人という意味で。 華: 「さびちいんでちゅ〜、のあたりから・・・」 編集長: 「久しぶりに会ったと思ったら、ヘンなとこ見られてしまったな、これは失敬、失敬」 失敬なのは存在そのものかもしれない。 華: 「いなくなってからもう半年近くになりますが、一体どこで何をしてたんですか〜?」 編集長: 「人生の儚さを憂いて詩を詠んでいたよ、各地をまわりながら・・・。それはそうと、キミのほうはどうなんだね?相変わらず彼氏いないのかね?本当の恋にはまだ巡り合っていないのかね?」 華: 「大きなお世話だ、いかれポンチ」 編集長: 「恋の悩みを酒で満たしても、酒は愛じゃない、満たされないぞ」 華: 「わかってます!」 編集長: 「聞く限りじゃあ、アル中らしいじゃないか」 華: 「アル中じゃないです。ただ、しばらくお酒飲まなかったら手が震えたりするだけです!軽く依存症なだけです!」 編集長: 「キミ、それパーフェクトだよ・・・」 華: 「・・・。」 編集長: 「で、何かね?」 華: 「えっと、今日のニュース、これでいいですか?」
華: 「この白づくめの集団曰く、スカラー波とかいう電磁波の一種が兵器として使用されて、それがマインドコントロールに使われているとか。以前に地下鉄サリン事件などを起こしたカルト宗教団体に近似している点から周辺住民が怯えているそうです。」 編集長: 「心不全、各種ガン、脳内出血・・・? もう死んでるじゃん!」 華: 「集団側の主張ではかろうじて生きているみたいです」 編集長: 「この病気って電磁波が原因なの?」 華: 「集団側の主張ではそうらしいです」 編集長: 「電磁波って、パソコンとか電子レンジからも出てるんだよね・・・」 華: 「ハイ・・???」 編集長: 「最近九九が言えなくなったんだが・・・」 華: 「アンタ元からだろ」 編集長: 「最近オンナ運が悪いんだが・・・」 華: 「日頃の行いが問題なんですよ、きっと。それよりもこの白づくめの集団がどのような社会的背景から生まれたのか、そのことを書きたいんです。ジャーナリストとしての血が騒ぎます」 編集長: 「最近痔がひどいんだが・・・」 華: 「他人の話聞けよサル」 編集長: 「ハイ・・・」 編集長は私の剣幕に少しビビったようだった。 うつむいて小さくなっている。 編集長: 「ねえ、華ちゃん・・・」 華: 「何ですか?編集長」 編集長: 「もらしちゃった・・・」 華: 「知らねーよ」 編集長: 「ママには言わないで・・・」 絶対に精神が汚染されている。 窓の向こうでは春の心地よい風が吹いていた。 快晴の空の下でピクニックなんてしたらきっと気持ちいいに違いない。 この男が世の中に存在していなければ。 華: 「明日からオムツつけておいてください」 |