2月12日のニュース





〜業務日誌より〜

皆さんこんにちは。イギリス紳士さんの第3報道局でアルバイトしている華小娘です。

なんで第3なのかって?

詳しいことはわかりませんが、第1も第2も存在しません。

編集長が適当につけた名前です。

では、今日の業務内容に移ります。

*****

華: 「編集長!ニュースです!!」

編集長(イギリス紳士)はデスクで、硬い表情で考えごとをしているようだった。

普通だと、不思議だ。

しかし私はあることに気がつき、そして安心した。

上半身はスーツだが、下半身はモモヒキ一つだったのである。

相変わらず脳ミソは発酵中のようだ。

編集長: 「ああ、華くん。おはよう。すまんね、ちょっと考えごとをしていたものだったから」

華: 「どうしたのですか?そんなに眉間にシワを寄せて考えごとなんて・・・」

編集長は窓から射す夕陽の光を受けながら、さながらダンテ作・地獄の門にある彫像のように硬く深く思考に没頭していたようだった。

編集長: 「なんでもない、プライベートのことなんだ」

華: 「はあ・・・」

編集長: 「なあ、華ちゃん。キミは同時に2人の人を好きになったことはあるかい? っていうか今好きな人もいないのかい?」

華: 「余計なお世話だ、うすらトンカチ

編集長: 「実はね、僕はどうやら今、2人の女のコを同時に好きになってしまったようなんだ。世間でいう、『フタマタ』っていうのかな。」

華: 「・・・」

編集長: 「自分の心に正直になれば、おのずと本当に好きなコがどちらなのか、わかると思ったんだ。それにもうすぐバレンタインだしね。それまでにははっきりさせておかないと、って」

華: 「そうですね。相手の方にも失礼になりますから」

編集長: 「でも、考えれば考えるほど、心にそれぞれの顔を思い出すたびにどんどんわからなくなっていってしまうんだ」

華: 「自分の感情を理解するのが一番難しいのかもしれませんね」

編集長: 「関係が深くなる前に決めなければいけなかったんだ」

華: 「もうどちらとも正式に付き合っちゃってるんですか?」

編集長: 「ん・・・、そうだな、ほとんどの夜はどちらかと過ごしている」

華: 「うわ、サイアク・・・」

編集長: 「ひどいっていうのはよくわかってる。けど・・・」

華: 「どちらかに決めるべきです」

編集長: 「じゃあ華ちゃんならどちらを選ぶ?僕の代わりに決めてくれ。内山理名と深田恭子、どっちを選ぶべき?

華: 「は?」

編集長: 「確かに僕がはっきりした態度をとらなければ、彼女たちのうちどちらかを深く傷つけてしまうことはわかっている。毎晩一緒に寝てるポスターのクチビル部分ももうふやけて破れそうだよ!

アンタ何言ってんだ?

っていうか内山理名も深田恭子も編集長のことコレっぽっちも知らないし。

華: 「・・・。その場合はフタマタOKです」

編集長: 「そうかーーー!!よかったよかった。ん、そうだ!よし、今夜は2人同時に相手しようかな。いやあ、ケンカするかと思ってこれまではしたことなかったんだが」

ポスターはケンカしません。

っていうか脳ミソも一緒に生ゴミ回収に出したのですか?

華: 「・・・。えっと、今日のニュース、いいですか?」




【新宿中央公園の女子トイレで爆発、けが人なし】

11日午後5時40分ごろ、東京都新宿区西新宿2の新宿中央公園で「爆発音がし、白い煙が上がった」との110番通報があった。警視庁新宿署員が駆け付けたところ、公園北側にある女子トイレの個室内でドリンク剤の小瓶が割れ、破片が散乱していた。けが人はなかった。

トイレから30メートルほど離れた芝生で寝ていた路上生活者の男性は「『ドーン』という車のぶつかるような音が1回した。驚いてトイレの方に行くと、中から約2メートルの高さまで白煙が立ち上っていた」と話した。

トイレ周辺には発生時、公園内で寝泊まりする5,6人が集まり、遠巻きになりながらトイレ内の様子を心配そうに眺めていたという。



華: 「昨年末より都内各所で爆発物が発見されていて、これもそれらに類する犯行ではないか、との可能性も指摘されています。問題なのは、犯人が特定の人物を狙ったのではなくておそらく愉快犯の犯行ではないかという点なのです。人が犯罪を犯すのは従来何らかの理由があるケースがほとんどで、金銭あるいは怨恨といったものが犯罪へのエネルギーとなっていたのです。ですが今回のケースでは犯人を犯行に及ぼした理由がおそらくは単純なストレス解消に近い衝動によって起きていると考えられ、犯人の目星はつけにくくなっています。これはいわゆる『普通の人』が実はその裏で凶悪事件を起こしうるという恐ろしい事実を示しており、犯罪事情が従来の枠には収まらなくなってきていることを意味しています。このことは社会の成長というものを背景にして考える限りにおいては一種の文化病としてとらえることも可能なのではないでしょうか」

編集長: 「フム・・・。で、公園内に寝泊りする5,6人というのはキャンプでもしてたのかい?いいなあ楽しそうで。もしよかったら今度2人でキャンプとかしに行く?」

華: 「行きません。っていうか、聞けよハゲ

編集長: 「ハイ・・・」

華: 「で、ニュースの内容は理解していただけましたか?」

編集長: 「うむ。もちろんだ。しかも犯人もわかったぞ!」

華: 「え?このニュースだけで犯人までわかったのですか?」

編集長: 「もちろんだ。私をあまり甘く見るな。いいかい、女子トイレの個室内のドリンク剤の小瓶というのが最大のヒントだ」

華: 「はあ・・・」

編集長: 「女子トイレの個室にドリンク剤を持ち込む人なんてあの人以外には考えられない」

華: 「誰ですか?」

編集長: 「都内すべての公衆トイレの清掃を一人で請け負っている、田中フサエさん(54歳・乙女座)だ。都内に数千あると言われている公衆トイレを二日に1回はすっかりキレイにしてしまうという凄腕の、まるで妖怪のような掃除のオバサンだ」

華: 「はあ・・・」

編集長: 「まあ、一日に千以上ものトイレ掃除をするんだ、ユンケルの一本や二本、必要になるだろう。で、半分だけ飲んだユンケルを個室に放置、そしてドカン!、さ」

帝銀事件で被告とされた人は本当に犯人なのだろうか。

3億円事件ではとある青年が犯人ではないか、とされていたが本当に彼なのだろうか。

アメリカのケネディ大統領暗殺事件の犯人はオズワルドという青年だったが、本当に彼の単独による犯行だったのだろうか。

世の中には真相が分からないことのほうが多いのかもしれない。

真実は常に人の目をあざむく。

しかし、分かることもある。

間違いなく言えるのは、田中さんは犯人ではないし、編集長はオタンコナスだということだ。

華: 「えっと、編集長」

編集長: 「なんだね?」

華: 「モモヒキが後ろ前です

葵さん、どうやってこんなのと一緒に仕事していたのですか?











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