ある寿司屋での会話






2000年の10月のこと。

ミルキー戦隊長官のワラビ氏とナイトビジネスに所属するダイスケ君との間で、とあるテーマに関してメールの交換が行われた。

その内容は非常に『濃い』モノであったとのことなのだが、気になって仕方のない僕は近所に住むダイスケ君のウチへ遊びに行くとともにアウトルックエキスプレスを立ち上げてその交換されたメールを確認し、そしてホームページ上で公開してやろうと思ったのである。

しかし、その数十通に及ぶ交換されたメールはどう考えても一般に公開することはためらわれた。

ダイスケ君が日記上で書いていたとおりである。

これをそのまま公開してしまったらもはやインターネット上では、いや、人間として存在することが許されなくなるのではないだろうか。

僕が単なる読者であれば、『この変態野郎!!』と罵るのは間違いなかった。

正直、僕は弟子であるにもかかわらず、ダイスケ君には敵わない、と思ってしまった。

危険度から言えば、賞味期限がひと月ほど過ぎたくらいの生卵に匹敵していたのだ。

かといってすべてを見聞きした僕が沈黙を守るのも読者の皆さんに申し訳ない。

そこで、今回はホントは過激だったメールの内容をソフトな内容に変換したイメージ会話でお楽しみください。

*****

とある寿司屋ののれんをくぐるワラビさんとダイスケ君。

きっと二人の間にはつもる話もあるのだろう、なんだかあたりをキョロキョロと見回していた。

なんかうしろめたい会話でもするのだろうか。

奥まった座敷に座り、日本茶が出された後、ワラビさんが先に口を開いた。

ワラビ「・・・さて、何から食べようかな〜。ところでダイスケ君は何が好きなの?」

ダイスケ「僕っスカトロが大好きなんですよ

ワラビ「ふ〜ん。でもアレってあんまり他人に言うとひかれるよね(苦笑)。ワタシも大好きなんだけど」

ダイスケ「あ、あと、ウニも好きです。ワラビさん、おいしい食べ方知ってますか?」

ワラビ「どんなの?」

ダイスケ「殻に入ったままのウニを食べるんですけどね、ほら、後ろのほうに『すぼまり』があるでしょ? それに舌をこれでもかっていうくらい差し込むんですよ。舌先にねっとりしたものがついたらやったぁ〜ってカンジで

ワラビあ〜、なるほど。なかなか『通』の食べ方だね。」

ダイスケ「ちょっと苦味が効いてるところが最高っス」

お茶を少し口に含んだワラビさんが渋い顔をした。

ワラビ「・・・なんかこのお茶、いつものお茶じゃないなあ。」

ダイスケ「ワラビさんもお茶にウルサイ人なんですか?」

ワラビ「ああ。ワタシはお茶にはうるさいぞ。ワタシが飲むのは『金の烏龍茶』だけだ」

ダイスケ「僕も『金の烏龍茶』、たまに飲みますよ

ワラビ「ひとつ教えてやろう。アレは、まず、風呂場の浴槽に寝転がって、上から注いでもらうのが『通』なのだ」

ダイスケ「へ〜。いわゆる『浴茶』ってヤツですね。」

ワラビ「そうだ。そして、飲む!

ダイスケ「『飲茶』ですね」

ワラビ「これは『ヤムチャ』と読んではいけない。『インチャ』だ」

ダイスケ「もちろん分かってますとも。やっぱり健康にはいいんですかね・・・?」

ワラビ「ところでダイスケ君、キミの彼女のねえさんはクモコは好きかい? タラの精巣のことなんだが」

ダイスケ「クモコ・・・ですか? なんかキライみたいです。いつも口までは入れるんですが、どうも飲み込めないみたいで(泣)。苦い、とかって言ってます」

ワラビ「人生とはかくもほろ苦いものなのだな・・・」

ダイスケ「そうそう、ワラビさん、このあいだウチの玄関のカギが壊れちゃったんですよ」

ワラビ「それは大変だったね。それでどうしたの?」

ダイスケ裏口から入りました。滅多に使ってなかったから開かなくてだいぶ苦労しましたけど。それはそれでなかなかヨカッタです」

ワラビ「ふ〜ん」

ダイスケ「裏口使ったのはあのときが初めてだったのかな。エヘヘ(照)。ウチのマンション、前にも誰か住んでたみたいですけど」

ワラビ「どれくらい人が住んでたの?」

ダイスケ「このあいだウチの支社長が遊びにきて、そのときに話題になったんですけど、どうやら結構いろんな人が住んでたみたいです。10人前後とかいう話です」

ワラビ「でもダイスケ君はマンション借りて一人暮らしするのって初めてなんだろ?」

ダイスケ「ハイ、ここが初めてです」

ワラビ「ふ〜ん」

ダイスケ「あ、このカッパ巻きおいしいですね・・・」

ワラビ「今度そこのマンション借りてもいい?」

ダイスケ「ダメです!」

ワラビ「じゃあ、たまにでもいいから使わせて・・・」

ダイスケ「ダメですってば」

ワラビ「ねえ、ホント、先っちょだけでもいいから・・・」

ダイスケ「何言ってるんだかわかりません!」

フェードアウト

秋の日はつるべ落とし。

夕暮れはすぐに迫り、夕焼けは夜空に変わっていった。

他には客のいないとある寿司屋。

おバカな二人の、何気ない会話だった。



【解説】

もはや教訓だのというものを書く気力もないのだが、あえてひとこと言わせてもらえるのだとすれば、

この変態野郎!

という一言に尽きるだろう。

ダイスケ君。今日からキミはナイトビジネスでは、ホテルをクビにしてSMクラブのマスターに転職決定。





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