【35歳・彼女いない歴35年の男性】 どうも、はじめまして。 聞いてください。ボクはこのあいだ、初めて、「恋」というものをしたんです。 でも、ぜんぜんダメなんです。 ボクはこれまで一度も彼女がいたことがありません。 小学生のときには好きになった女の子もいましたが、ボクはチビでデブで、暗かったので、みんなから「クサイ」と嫌われていましたから、告白なんてできるはずもなかったんです。 中学、高校に入ってからは、ボクはアニメに夢中になりました。 高値で買ったセル画にはキスマークがべったりです。 あとはアイドルがボクの心の彼女で、いつも夢の中でデートしてました。 「自由な夢を見れるトレーニング」の通信講座もやりました。 大学に入ってから、初めてヘルス・ソープに行きました。 そのとき以来、ボクの彼女は、二次元から三次元になったんです。 彼女たちは、チビでデブで若ハゲのボクでも時間内はしっかり「愛して」くれたんです。 就職してからは、もっとディープな風俗にはまりました。 池袋周辺の道に「立って」いる外国人がボクの彼女になったんです。 ついこのあいだまで、ボクの愛はそこにあるんだと思ってました。 他の人は普通に恋愛ができるけど、チビでデブでワキガでネクラのボクには彼女なんて作れないから、ボクの恋愛は、そういうところにあるんだって思ってたんです。 でも、このあいだ、ボクは天使を見つけました。 ボクの会社の入ってるビルの一階にある喫茶店に、久しぶりに入ってみたら、そこにキレイな髪の女の子が働いてたんです。 ボクはカプチーノを注文するのも忘れて、しばらく見とれてしまいました。 ボクはそれ以来、ランチは必ずそこに行くことにしました。 いえ、それでも一言も口は聞かなかったのです。 ボクは臆病だから、カウンターでマスターとばかり会話して、テーブルをまわる彼女とはあえて距離をとってしまっていたんです。 マスターの話では、彼女は24歳。 大学を卒業して、来年アメリカに留学するまでのあいだ、ここでアルバイトをしているとのことでした。 ある日、ボクは意を決して思いを伝えようと思いました。 その日いちにち、仕事は全然手につきませんでした。 夕方、ボクはひっそりとした喫茶店におもむき、カウンターではなく、テーブルにつきました。 注文を取りにくるのは彼女です。 彼女が来ました。 ボクはいいました。少しどもっていたかもしれません。 「3万円でどうですか?」 それ以来、なぜか彼女はボクを無視しています。 どうしたらよいでしょうか? |