輸入代替工業化


または輸入代替開発とも呼ばれる。そもそも、なーんもない途上国が産業を興そうとしたときどうするか。まずは何が必要なのかもわからないから、ちょっとだけ外国からモノを輸入してみる。でも全部輸入に頼っちゃったら、産業化は期待できない。っていうか、高くて買ってられん。そういうわけで、ちょっとだけ輸入した後は、輸入をやめて自国内でそれに代わるものを作っていけばいい。たとえば東南アジアの諸国では小型バイクがたくさん走っているが、これはほとんどそれぞれの国で作っている。もともとは修理から始まった国内バイク産業が、部品製造を経て、製造工程のマスターに至り、国産化を成し遂げた例である。


でもこれにも問題点があって、まず、技術の導入が簡単なものならまだしも、難しいものについては国産化までの道程が非常に長く、そのあいだは結局外国の技術・投資に依存してしまう、という点だ。極端な例だけど宇宙技術について考えてみると、そんなものまず途上国が導入しようとおもってもまず無理。導入速度よりも先進国の技術発展のほうが速いはずで、結局はアメリカや日本に依存することになる。自動車産業についても、国内の産業が国際的競争力を持つ以上に、先進国の技術革新が速ければ、いつまでたっても国際的競争力は持ち得ない。つまり、輸入代替産業化によって成功する産業は、チープで普遍的なものに限られる、という点だ。したがって、輸入代替では国際的競争力は身につかないことになる。



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