ドラッグは犯罪か?
ドラッグについての是非は、性悪説にたつか性善説にたつかで評価がまっぷたつにわかれると思われる。 そもそもドラッグのドラッグたる性質は、その常習性と毒性にある。 どちらか一方を欠いてもドラッグとはいえない。
ひとりの個人がそのドラッグの性質を知った上で、あえて 常習者になる場合、(ディーラーのことではない) 彼は他人に害を及ぼしてないわけだから、 悪とはいえないだろう。 ただし、これは確固とした個人の判断力の存在が前提になる。 一個人の判断力を常に信じる点では性善説にたっているともいえる。
しかし、その個人が「これってべつにやっても平気だよ。いつでもやめられる」 という甘い認識であった場合は、話は異なる。彼は被害者だからだ。 そして、“一般人を害悪から守る”という「社会機能」がそこに登場する。 社会はそういう、過った認識による被害者を少なくしなければいけないからだ。 一方で、こういった過った考えの持ち主はカンタンにディーラーに転じて、被害者を増やす恐れがある。 したがって、社会はこの個人に対して、制裁措置を取らざるをえない。 これが現在、社会システムが摂っている姿勢だろう。別のいい方をすれば、 「人間ひとりの価値観は揺らぎやすく、根が悪に転じやすいから、社会によって“守られなければ”ならない」 という性悪説にたっているともいえるだろう。 |