関西アミーゴオフ会レポート
≪コンパ前≫ 姫路。正直にいって、『姫路城』しか知らない。 そのまえに、姫路自体が神戸よりもあんなに遠くにあるとは思わなかった。 京都駅から片道2000円以上とはどういうことなのだ。しかしまあこれも『ヒメ』に会うためだ。しかたあるまい。 僕は夕方3時半くらいに姫路入りした。 集合が5時なので結構早めの到着となった。そこでMickさんからの電話に甘えて少しの間、Mickさんの塾にお邪魔することにした。そこで『ヒメ』と対面したのである。 僕「うぉっ!!めっちゃかわいい」 僕は手にもっていたペットボトルを思わず握りつぶしそうになってしまった。 もし僕が姫路に住んでいたら、婚姻届をすっとばして結婚式に挑んでしまいそうなカワイさであった。 おろしたてのパンツを履いてきて正解だった。 こういう日のために通信販売で買ったシルクの蛍光グリーンのブーメランパンツだ。 しかし、その直後、無情なMickさんの言葉が僕の熱くなったハートに一気に冷たい水を注ぐ。 Mick「あ、女性参加者がいなくなったからヒメも来ないんやと」 な、なにィィィィィィィィィ!!!!!!(ちょっとジョジョ風) 女性参加者ゼロ。つまりヤロウのみのコンパということですか? それはアミーゴ友の会ではなくホモの会、ということですか? 勝負パンツはどうしろと? 僕の真っ白になった頭ではもうその先は考えられなかった。 《コンパ中》 結局、今回最初に集合した参加者は22歳から4○歳まで年齢には幅のある男6人となった。 やはり何度見回しても男のみである。たしかに女性が一人でもいれば場の雰囲気の暴走に多少は歯止めがかかったのかもしれないが、それはそれで皆の素顔が見れてよかったのかもしれない。 食事が運ばれてきて、そしてビールが空き、飲み物が減っていく。 それにつれ、皆の緊張が密かに高まっていく。 なぜなら呉師匠が登場するとされていた6時に刻一刻と近づいてきていたからであった。 呉エイジ登場までの緊張を隠すように、みんないきなり饒舌になり、場の雰囲気が少しでも和むように努力している感さえあった。 誰かが言った。 「呉さんって、ハゲてるらしいよ」 それはこれまで誰もツッコまなかったところだ。かなり以前に静炉巌さんがそれらしいというウワサはあったが。 別の誰かも言う。 「呉さんってもういい歳してるんでしょ? 30歳の割にはもういいオヤジになってるんでしょ?」 家庭に入ったとたん、男は夫、そして父になるという。 「中年太りがきついっていうのはどうなんだろ?」 家庭に入ったとたん、男は戦士ではなく、ただの子供になるともいう。 「密かに北斗神拳の伝承者らしいよ」 いや、それは、ありえない。 「30歳になったときにちょっとだけ脱皮したらしい」 ・・・。 そのなかのうわさのどれが真実でどれが嘘なのか。 それは会ってみるまでわからないが、しかしその時まではあとわずかであった。 take「あ、はい、はい、ど、どうも」 携帯電話をとって声がうわずるtake氏。 相手は呉師匠だったようだ。どうやらもうすぐ到着の様子。 皆の緊張が一気に高まる。そして出迎えにMickさんが下に降りる。 あともう少しで謎のカリスマHPクリエイター、呉エイジに会える。 そこの席に残った男5人すべてがその期待に胸を高鳴らせ、しかしその一方で緊張の面持ちを隠せずにいた。 そうなのだ。やはり師匠は偉大なのだ。 Mickさんが階段を上がってくるのが見えた。 そしてその後ろには一人の男の影が。 目立たないような地味のセーターの上に、めっちゃ目立つ青いジャケットを着ていた。 もしその地味なセーターが目立たないようにするためのものであるとしても、まったく無意味である。 登場するなり、男は小さな声で少しどもりながら、 呉「は、はじめまして、呉エイジです」と言った。声は震えていた。 カワイらしい女の子が小さく震えているのは守ってあげたくなるが、さて、30歳のオッサンの場合はどうだろう? その男性こそが呉エイジであった。 そして座るように示された席は僕の隣の席であり、いわばテーブルの中央席であった。この席は話の中心になるべき席でもある。 その風体に度肝を抜かれた我々5人はとりあえず高ぶった感情を静め、現実を受け入れる努力で精一杯だった。 そうなのだ。この方が呉エイジなのだ。 そう思い込む努力をすることが我々には必要だった。そしてそのためには5分くらいの時間は必要だったのだ。 Mick「それでは呉さんのほうから乾杯の音頭を・・・」 呉さんは立ち上がってグラスを掲げようとした。そのときのことである。 僕は他人の体型のことについてはあまり触れたくないのだ。 しかしそのときこぼれた飲み物で僕のシャツが汚れたことは一生忘れないだろう。 衝撃でテーブルが揺れ、全員の飲み物が少しずつこぼれたのだった。 しかし立ち上がってから、 呉「あ、あうう、」 なんとも歯切れの悪い音がもれるだけでその厚めのクチビルからは声らしい声はでなかった。 場の重圧が臨界に達したようだった。 呉さんは突然泣き出した。 Takeさんが背中をさすり、気分を落ち着かせようとする。 僕は目の前の現実を受け入れられずに、おろおろするばかりであった。 呉「ゴメンな。酒の場に馴れてなくて・・・」 なんなのだ? このチワワ野郎!! とりあえず、泣き出した子供をあやすにはオモチャを与えるのが一番であることを思い出し、香港で買ってきた『Nin1』ソフトを差し出した。 僕「呉さん、これあげますから、もう泣かなくてもいいですよ」 それを手にとった呉師匠は泣き止み、そしてちょっとだけはにかんだ。 きっとかなりうれしかったのだろう、大粒の鼻水が長い鼻の下を伝わっていた。僕の手を握り締める呉師匠の手も汗ばんでいた。 呉師匠はもう30過ぎのオッサンであった。 時計を見た。オフ会が終わるまで、まだまだ時間はタップリと残っていた。 |