怪獣無法地帯
〜失踪〜






女のコ3人の名前はたしか、アヤコ(?)、ミサコ(?)、リョウコ(?)とかそんなような名前だったような気がするのだが、

もうこの際、ガマ、ギャンゴ、ザラブで構わないだろう。

なんせ何年も前の話なので名前に関してはまったく自信がないのだ。

テーブルについてもう一度3人の顔をよく見てみた。

都合よく、お見合い席のように男3人と女3人が対面に座っていたのだ。

ハウッ!!

僕はある発見に驚き、あやうく飲んでいたコーヒーを鼻から垂れ流すところだった。

もし僕が医者ならこう説明するだろう。

まず、男女問わず人間は男性ホルモン、女性ホルモンの両方を脳下垂体から分泌している。

これが男性の場合は多量の男性ホルモン+少量の女性ホルモンという組み合わせであり、女性の場合は逆の組み合わせになっているだけなのだ。

つまり、男性でも少量の女性ホルモンは持ってるし、女性でも少量の男性ホルモンは分泌している。

そして、成長期にある子供の場合、このホルモン量のバランスが崩れることがある。

一定の割合でそれぞれのホルモン分泌量が増加すればよいのだが、しばしば片方のホルモンの分泌量が増加してしまうのだ。

しかし、こんな知識は当時の僕のあたまにはなかったのだ。

ギャンゴ、口ヒゲ生えてるがな。

ヒゲ部所属なのですか?(すごいよ!マサルさん参照)

きっと僕がそれをツッコんでも、彼女はきっと「うぶげ」だとしか言わないに違いなかったが。

「ところでこれからどこに行くの?」

ジュンペイ「ん〜、どこにしよっか?」

タカシ君。高校生にもなればわかるだろう?

こういう状態になってしまっても、とりあえず形式だけは整えるものなのだ。

小声で「帰ろうか・・・」とボソッとつぶやくのはやめようよ。

宇宙からやってきた怪獣たちに失礼だよ。

ヒゲ生えてるし。

「じゃあ、とりあえず東口会館に行ってから決めようか。ボーリングにしてもビリヤードにしてもどれだけ待たなきゃいけないかわかんないし」

東口会館は、渋谷駅周辺のエリアのなかでは結構外れにある。

センター街からはJRの高架下をくぐって、明治通りを原宿方面に歩くことになる。

渋滞してる歩道なので徒歩にして約20分くらいか。

確かに、僕だって、そしてきっとジュンペイ君だって、今日は早く家に帰りたいと思ってるに違いない。

過剰な期待を背負って家をでてきたはずであるが、残念ながら彼女ら女のコ3人はどう見ても、僕らの期待には応えられそうもなかったのだ。

頼むよウルトラマン。

人ごみをかき分けて東口会館に着いたとき、僕はまた、驚くべき発見をしなくてはならなかった。

センター街から徒歩で20分。

そのあいだ、確かに僕がザラブと、ジュンペイ君はギャンゴとガマを相手にしゃべって、ここまで歩いてきた。

しかしここでマークが甘かったとして誰を責めることができようか。

タカシ君、失踪。

怪獣退治は僕とジュンペイ君の2人の仕事になってしまった。

当時は携帯はおろか、ポケットベルすらも一般には普及してなかった時代で、一度見失ったら家に帰宅する時間までつかまえようがないのであった。

しかたがないので、その場をとりもつために少しウソをつく。

「タカシ君? あ、さっきね、ちょっと前まで付き合ってた女のコに見つかって、逃げた(笑)。」

残りの4人が「?」という表情を浮かべて、僕を見る。

僕だって「?」なのであってあまり僕を見ないで欲しかった。

その後、最上階にあるカラオケに行き、数時間、そこにいることになる。

ビリヤードをしたことがない、という女のコの意見は「教えてあげるときにカラダが密着する」ということを踏まえれば、却下せざるを得なかったし、ボーリングはだだ混みだったのだ。

しかも、歌を歌ってるときは自分の世界に入ることができる。

僕は熱唱していた。

歌はウルトラマンの主題歌だった。


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