商品番号  T-1024  お問合せ・ご注文 露蘭堂
 フランソワ・カロン 日本大王国誌
ロンドン 1935年刊(1663年英語版の復刻版) 東洋史家C.R.ボクサーによる序文、注釈、補遺。
全197頁、折り込み地図、全頁大図版。475部限定印刷、特装版の一(半べラム革装・リボン、26.5x20cm)
   ¥
68,000. (税込み) 
Caron, Francois.
A True Description of the Mighth Kingdom of Japan and Siam.
by Francois Caron & Joost Schouten: reprinted from the English edition of 1663
with introduction, notes and appendixes by C.R. Boxer.
London, The Argonaut Press. 1935. cxxix, 197p. Including facsimile plates.
2 maps. including reproduction of title-page of the English edition of 1663.
Translated from the Dutch by Sir Roger Manley. bound in half Japon vellum
over carmine cloth. 4to. Multi-colored armorial crest embossed on fron board. 

若くしてオランダ東インド会社に入り、来日後平戸の第8代オランダ商館長(1639-41を務めた
フランソワ・カロン
(1600-1673)の著名な日本誌。 17世紀初頭の日本事情をヨーロッパに伝えた
貴重な記録。日本の国土、統治形態、刑罰、
宗教、教育、風習、言語など、封建制下の日本
社会の実態を描く。折込地図、「日本における
ローマカトリック教徒の拷問・殉教」、「切腹の儀式」、
「将軍への謁見」など全頁大図版を含む。

 日本滞在二十余年、その間に日本婦人を姿って6子をもうけ、日本語も巧みであって、当代随一の
日本通ともいえるオランダ商館長(第八代)フランソア・カロン 『日本大王国志』は、鎖国直後1645年に
初めて『オランダ東インド会社の創建並に発展誌』の巻末に入れて出版されてから、 一般読書界の歓迎
を受け、早くも翌年その再版が出て、その後彼自身の手になる増訂版が単行本として上梓され、引続いて
オランダにおいて版を重ねること十余に上っている。 この間に、イギリスを初め、ドイツ、フランス、イタリヤや
スェーデソなどヨーロッパ諸国においても、その自国語に訳出されて版を重ねている。恐らく同書は当時の
ヨーロッパ人にとって、後年モンタヌスやケンペル、の日本紹介書が出版されるまで、極東進かな謎の国
日本を知るための唯一の手がかりとなったと思われる。

しかも、筆者カロンの永年に亘る豊富な体験と実地見聞に基いた記述は、江戸時代初期の厳しい封建体制下
における日本の政治、経済、社会や文化など極めて多方面に亘って鋭い観察を下してその実相をついたもので、これを三一項に分けて巧みに分析し、要領よく描写していて、ョーロッパ人の好奇心と探求心を十分充たしている。そしてとれを今日縄いて見ても、興味深い読み物であるばかりでなく、この紅毛異国人の筆の中には、わが文献にも全く伝わらない多くの遺聞もあって、その中にはかえって封建制下の日本の社会の実態を明かにした点も数々見出され、まことに貴重にして価値高い研究資料をも提供している。
 
岩生成一「日本大王国志」について(幸田成友訳 平凡社東洋文庫より)

   
背表紙・表紙 (半べラム革装) タイトルページ 口絵
日本およびシャム図 大名の将軍謁見 切腹の儀式
カトリック教徒の拷問・殉教 平戸・長崎図 (寛文12年) バタヴィア航路