栽培技術も年々向上する中、我が家でも、美味しくて大きい実をたくさん実らすため、いろいろ試行錯誤しながら栽培に取り組んでいます。
特徴のひとつとしては、パッションフルーツの葉や新芽、花や実に至るまで、そのひとつひとつを出来るだけ目にとまりやすくし、丁寧に手をかけてやれるように工夫した「支柱」の仕立て方です。トンネルのような棚は目線が全体に行きやすくなりました。
パッションフルーツはつる性の植物で、野菜のように毎年植え替えて育てますが、栽培には殆ど1年間かかるため、苗から無事に収穫を迎えるまでの長い間にはさまざまなアクシデントに出合うこともあります。
支柱の工夫によって、いつでもそばで顔を近づけて果実たちの声を聞くことが出来る、というわけです。
〔パッションフルーツの実が出来るまで〕
7月中、収穫も終わりに近づくと、1年後の収穫に向けた「苗」づくりに取りかかります。2〜3ヶ月間育苗し、10月には耕うんを済ませた畑にこの苗を植え付けます。
そして冬の間ツルを伸ばし支柱全体に這わせます。春になると蕾がついて4月〜5月に花が咲きます。
そして徐々に実が大きくなり、約2ヶ月後の6〜7月頃にようやく収穫を迎えます。
〔作業あれこれ〕
ひとつの花が咲いているのは1日だけ。
その日咲く花達は決まって朝10時頃になると一斉に目覚めるかのように揃って咲き始め、翌日にはしぼんでしまいます。しぼむまでの間に指先でそのめしべに花粉をつけてやります。こうすることで実の”着き”が良くなるからです。
受粉作業を始める10時頃になると、花粉目当てに何処からかミツバチ達も集まって来ます。毎日ミツバチたちと競争しながら、花数を数えて受粉していきます。
こうしてこの実が日に日に大きくなる間には、綺麗な真紅に色づかせるため、葉っぱなどに覆われないように手入れします。色づき始めたら、一果ごとに袋をかけて、完熟するまで待ちます。
〔野瀬農園のパッションフルーツ〕
パッションフルーツは、亜熱帯性である小笠原の気候によくあった作物で順調に成育する等の理由から、小笠原の代表的な農産物のひとつとなっています。
小笠原のパッションフルーツは「台農1号」という品種が主で、この品種は酸っぱすぎず、酸味と甘味のバランスがほどよいさっぱりとした味わいが特徴です。また、島では暖房などを一切使わず天然の明るい太陽で栽培しているためかこの味わいは格別で、島内でも人気の高い果物となっています。