私的音楽用語辞典

ヘビーメタル Heavy Metal:広い意味で言えば、ギターがソロ弾いて、ベース、ドラムがあって、ちょっとキーボードがなっているもの。じゃ、UKロックとかとどこが違うんだって話になるなぁ。ギターのバッキングがリフなんだよ。だいたい8ビートか16ビート。狭い意味で言えば、Judas Priestこそヘビーメタルなんですね。Black Sabbathはどうなんだって話になるか。Black Sabbathは元祖です。ともかく、ハードロックからよりソリッドに、無駄な情感などを外したもの。ハードロックの場合、元曲が5分位の曲でも、ライブでは15分くらい演奏してしまうんですよね。それではなくて、あくまで原曲に忠実にライブではやります。海外のレコード屋ではなんでもかんでもヘビーメタルのコーナーにあったりする。まだ、私も若かかれし頃(今でも若いと自負していますが。)、Bon JoviとDef Leppardをメタルとして認定しなかったものです。人それぞれなのかも。今じゃ入れてますが。それと、Punk Movementに対抗してに登場しているのがミソです。ゆえに攻撃的なのです。一時は(80年代)、青少年に良くない音楽として攻撃されました。単なるいちゃもんでしたね、今考えると。KingCrimsonのロバート・フリップが使ったこの言葉は、音的なもので、ジャンルとしては別物です。

ハードロック HardRock:はじめはでっかい音量で演奏しているものを70年代にそう言われていたようです。FreeとかCreamとかも入ってました。60年代末に、Art Rockなどといわれ、ともかくロックをもっとすごい領域に近づけようと実験的な時期があったようです。そこからプログレとハードロックなどは生まれました。ですので、プログレの面子とハードロックの面子とでセッションとかも頻繁に行われていたようです。ともかく、ライブでは、それぞれの楽器が戦っているのかと思うくらいにバトルしてます。でも、だいたいDeep Purple的な音楽を指す言葉に変わっているようですね。Led Zeppelinもハードロックといわれていますが、実際、アルバムを聴けばゴッタ煮であることはわかります。Deep Purpleの子供達もたくさん生まれましたが、それに影響されたバンドもたくさん生まれましたし。後々、プログレッシブロックとともにPunkに攻撃され、70年代後半には衰退していきます。それはあまりに大きなステージでのツアーと、高度な演奏テクニックを必要として、普通の人がすっと入っていく世界ではなかったためです。一応、そこまでがハードロックの歴史ですが、今だってなくなったわけではないですから。

N.W.O.B.H.M.(New Wave Of British Heavy Metal):パンクによってOLD WAVEとこき下ろされ、ハードロックは衰退していきます。つまり、冬の時代を迎えたわけです。でも、全ての人がパンクを好きになったわけではなく、ハードロックも愛好する人たちがいました。パンク・ムーブメントも下降線をたどり出した頃、イギリスではハードロック愛好者達がのろしをあげます。そこで、もうOLD WAVEではないという意味で、NEW WAVEと名付けられました。一斉にたくさんのバンドがデビューしましたが、結局、IronMaidenとDef Leppardぐらいしか残りませんでした。ですが、この火がアメリカに飛び火し、Thrash Metalの勃興や80年代のMetal黄金期を迎えることになるわけです。ただ、N.W.O.B.H.Mの便乗商品が一時たくさん出回り、非常に顰蹙を買いました。俺も騙された口ですが。

ジャーマン・メタル German Metal:メタルはメタルなのですが、出身がドイツのバンドをだいたい指します。で、特徴は、攻撃的な音楽性はあるのですが、国民性か、マイナースケールを多用し、悲しげな情感を与えます。我が日本人に受けが良いのはこの辺にあるようです。代表格は、Helloweenでしょう。彼らなくてジャーマンは語れません。クラシカルなフレーズ(ここも国民性か)を多用しています。歌い方が演歌っぽいですね。お大袈裟な曲調も要。アルバムの一発目がインストならグッドです。

ジャパ・メタ Japanese Metal:LoudnessやEarth Shakerなどの先人のころには、チェーン&黒の皮の服装であったのが、80年代には髪を立てて、色を付け、服はアニマル柄のコスチュームになりました。今じゃ普通の子がやってます(髪は立てませんが)。時代が早かったのか。髪おっ立ては、たぶん、LAメタルの影響だと思いますが。どうも、歌い方が歌謡曲していたような気がします。演歌的でもありました。British系やAmerican系などあり、一概に音楽的にはどうとも言えませんでした。で、あのボーカルのビブラートがどうも、私には苦手でした。かわいそうなことにメタルファンは海外のものを好み、日本のものにはなかなか手を出そうとしない状態が続き、衰退していきました。そこにX(後にX JAPAN)が登場しました。音楽的には(あくまで個人的意見)ジャーマン・メタルに影響されたもので、歌謡曲的なエッセンスをまぶし、ヒットさせ、日本人に認知させ、一般的な人まで裾のを広げました。その甲斐あってか、今日のビジュアル系の全盛があるわけです。初めてXが紅白に出場するときは、年寄りに聞かせて大丈夫か心配したものです。いまでも、「髪とか立ててるの?」などと年寄りに言われ、困っています。良い意味でも、悪い意味でも、Xの功績は大きかったのでしょう。

パンク PunkRock:ジャパメタが髪の毛を立てているのが象徴のように言われていますが、実際はパンクがしていたものです。あまりに高度に、庶民的でなくなったハードロックなどのアンチテーゼ的に登場したのでした。でも、聞いてみると普通のロックです。つまり先祖帰りしたようなものだと思います。The WhoとSex Pistols,Clashを聞き比べて、あまりかわりがないように聞こえるのは、私の耳のせいでしょうか。当時、イギリスは深刻な不況で、何かしたいけど何をして良いのかわからない人たちが、ともかくロックしたくてはじめたような気がします。PUNKって、チンピラとか、不良って意味ですよね。だから、姿勢とか、ライフスタイルとか、発言とかのようなものがついて、はじめてパンクになると思います。Movementはすごく短い期間で終わってしまいますが、永遠に消えることのないものだと思います。後に、アメリカが不況になったとき、グランジが一斉を風靡しましたが、アメリカの子達はグランジを「パンク」っていってました。最近はパンクを聞いて、心やすらぐ日々です。ようするに、職場に不満がいっぱいなのだ。

ハードコア HardCore:ハードロックがヘビーメタルに進化したように、パンクもスピードを兼ね備え、ハードコアに進化しました。ですので、あまり転調とかはありません。一方、甘いメロディーなどは無縁です。8ビートが16ビートに変わっています。ひたすらに音楽性は単調です。ただ、重要なことはこのあと、もっと進化していったことです。FastCore、メロコア、グラインドコアなどが生まれました。しかも、ヘビーメタルにも影響を与えて、Thrash Metalが登場するのです。

スラッシュメタル Thrash Metal:ハードコアの攻撃性とスピードに、メタルの展開、テクニック。代表格として、四天王といわれた、Metallica、Anthrax、Megadeth、Slayerがあります。でも、それぞれに違いがありました。メロディアスでスピードのMetallica。縦ノリのAnthrax。展開とテクニック見せつけのMegadeth。超スピードと攻撃のSlayer。初期は大まかにこんな感じでした。今はSlayer以外、全然変わってしまいましたが。特にMetallica。勘弁してくれ〜。俺を狂わしたあのサウンドをもう1度!ともかく、N.W.O.B.H.Mの影響を多大に受けています。一番好きだったんですがね。今じゃ影も形もありゃしない。

LA メタル:ロス近郊から、ともかくド派手なバンドが80年代に突如たくさん出てきます。メタルっていうよりもハードロックンロール(ヘビーロックンロール)って感じ。イギリスよりも、アメリカンなハードロックに影響されています。代表格としてMotley ClueやRattなどがあげられます。MTVのヘビーローテーションのおかげもあって、ビジュアル的でありました。退廃(DECADANCE)のにおいがぷんぷんです。あの時代のロスのにおいがそうであったからでしょうけど。ジャパメタの、あのファッションの源流はここにあると思いますよ。でも、一番ここで生き残ったのは、何を隠そう、AEROSMITH。一度落ち目になっていたのですが、LAの連中が影響を受けたバンドと公言したため、復活。今でもトップアーティストとして君臨しています。Motley、もう1度パーティーを!完全復活を期待してます。

メタルとパンクの関係:80年代のはじめ、異常に険悪でした。新宿あたりでは結構喧嘩などあった模様。上の文を読んでもらえるとわかるけど、ハードロックはパンクに潰されたしね。その後継者たるメタルが仲良い訳もないし。で、パンクもメタルをバカに(彼等は他のジャンルもそうだったし)していたし。もともとパンクのライブって暴れ出すものだった。一度見に行って俺も恐い目にあったし。今でも、一部では仲が相変わらず悪いです。スラッシュ系は結構どちらも好きですけど。最近はもっとジャンルが細分化していて、内部でも仲が悪かったりします。例えば、同じハードコアでも、ストレートエッジ系はほかのハードコアを攻撃します。ハードコアもメロコアのような和やかな人たちもいるしね。インディーズでは、メタルもパンクも一緒にライブやったりするし。いろいろと良い意味で刺激しあえればいいです。

オルタナティヴ Alternative:メタルとかパンクとかとジャンル分けできそうもないバンドが、80年代後半からアメリカから登場します。彼等は、どんなジャンルもラジオから聞いていて、実にアメリカらしいごちゃまぜな音楽を始めました。例えばRed Hot Chilli PeppersとかFaith No MoreなどはFUNKなグルーブを出しています。彼等をどういうジャンルとも言えません。彼等は彼等の音楽でしかあり得ないし。ですが、最大のオルタナと呼ばれたものは、グランジでしょう。ですが、日本ぐらいなもので、アメリカあたりではパンクとか言われたりしてます。この後、Kornなども登場し、こっちの数の方がメジャーでは多くなってきました。で、最近はHeavy Musicなどと呼ばれるようになってきました。これですと、メタルもハードコアも何でもありですし。

ガンズ・アンド・ローゼス Gun'n'Roses:俺の中で、パンクもメタルもロック全般も垣根がなくなった原因です。メジャーデビューしたばかりの頃の"Welcome to the Jungle"をはじめて聞き、痺れて、すぐにレコード(当時)を買いに走りました。それだけインパクトが強かったのです。さすがにアメリカ出身バンド。影響されたバンドを紹介されたとき、パンク、メタル、ロックなどで、俺もそこからパンクを聞くようになったわけです。だから、俺にとって忘れられないバンドであるわけ。今ではすっかり音沙汰なし。ボーカルのW・アクセル・ローズが全員首にしたとか。どうなっているんだい!

様式美:正統派のメタルを称えるときに使う表現。イントロありの、コーラスありの、ギターソロありの、必ず展開は決まっています。で、ハイトーンのボーカルが必要です。そういうお決まりどおりであれば、様式美として、メタル界では賞賛されています。Deep Purple系、Judas Priest系のバンドをそう呼んでいるため、それがおきまりになっている口があります。悪くはないのです。ですが、昔、Metallicaなどが登場したときに、ボロクソ言われたのはよくないことだと思っています。いろいろあった方はシーンは盛り上がるでしょ。

皆さんのご意見と間違いの御指摘をお待ちしております。

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