長身で痩せた彼は、軍隊用の作業衣の下にイスラムの伝統服シャルワール・カミーズ(だぶだぶのズボンに長いシャツ)をまとい、砂漠の寒さに立ち向かうためにスカーフを巻いていた。傍らにはAK-47襲撃用ライフルが立てかけられている。一言一言に神を讃えながら、アラビア語で話す彼の口調は穏やかだった。だが、アメリカを非難するたびに彼は語気を荒げた。アメリカが彼を葬ろうとして以来初めてのものとなる、この4時間にわたるインタビューの間中、そういった場面が何度となく訪れた。

昨年8月7日、アフリカ二ケ所でアメリカ大使館を狙った爆弾テロが起こり、224名の人名が奪われた事件で、その首謀者とみなされ告発されているサウジアラビア人資金提供者オサマ・ビンラディンは、大使館爆破の約2週間後にアフガニスタン南部の彼の活動拠点に対して行われたアメリカのミサイル攻撃を逃れた。それ以来数カ月間、ビンラディンは、自分を受け入れているタリバン軍の指示を尊重し、公式声明を避けてきた。アフガニスタンのほぼ全土を掌握しているタリバン軍の指導層は明らかに、芽生えつつある諸外国との関係をこじれさせたくなかったためであろう。だが、彼らは、イラクに対するアメリカの爆撃により、ビンラディンに話をさせても不利になることはなくなったと判断したようだ。亡命者の身であるビンラディン自身も、大使館爆破事件との関与と、そして癌で余命いくばくもないという噂を自らの言葉で否定したがっていた。

そういった経緯の中、ビンラディンは、TIME誌やABCニュースだけでなくパキスタンのTHE NEWSにも寄稿し、人脈の厚いジャーナリスト、ラヒムッラー・ユスフザイをアフガニスタン・ヘルマンド州の野営キャンプ地に呼び寄せた。彼の活動拠点に対するアメリカのミサイル攻撃以来、ビンラディンは絶えず居場所を変えており、所在地が突き止められるのを恐れて衛星電話の使用は避けている。夜遅く行われたユスフザイとの話し合いの間、アメリカが「国家の第一の敵」と呼ぶこの男は、喉と腰の痛みを認めたものの、見たところ健康そうであった。彼は頻繁にカップに口をやり、喉を潤していた。ユスフザイのビデオカメラは、彼が杖の助けを借りて歩いているところを捕らえたが、その場面は護衛の者に消去させられた。以下、インタビューの抜粋から。

タイム:二件の米大使館爆破の首謀者はあなたか?

オサマ・ビンラディン:「アメリカとイスラエルに対するジハード(聖戦)のための国際イスラム戦線」が出したファトワ(イスラムの勅令)は非常に明確なものだ。それはイスラムの民に、聖地解放のためのジハードの続行を呼びかけたものだ。この呼びかけにムハンマド(モハメット)の民が応えたということだ。アルアクサ寺院や聖カーバ寺院(中東のイスラム寺院)の解放を目的とした、ユダヤ人とアメリカ人に対するジハードを扇動することが犯罪だというのなら、歴史そのものに証言席に立ってもらい、私が犯罪者であると証言してもらおう。我々の職務は扇動することだ、そしてアラーの恩寵によって我々はそれを行い、ある人達がそれに応えたというだけだ。

タイム:あなたは、爆破事件で逮捕された者達を知っているのか?

ビンラディン:私が知るところは、命をかけて神の喜びを得ようとした者達は、真に偉大な男達だということだ。彼らはイスラムの民から恥辱を取り除いてくれた。我々は彼らに最高の敬意を表する。

タイム:だが、逮捕者全員、あなたとつながりがあると言われているが。

ビンラディン:ワディ・エルハジは、神の導きによりアフガン難民の救済活動の道を共に歩んだ同胞だ。私は今でも彼のことを覚えている。だが、長い間会ってもいなければ連絡もない。彼はアメリカの主張とは何の関係もない。モハマド・ラシド・アロウハリに関して言えば、我々が聞かされているのは、サウジアラビア人でナジド地方出身ということだ。マムドウ・サリムは、聖なるコーランを暗記している敬虔な男だ。彼はいかなるジハード組織にも加わったことはない。真相は、アメリカ、特にCIAが、アフガニスタンのイスラム聖戦に加わった者を片っ端から逮捕することで、リヤド、ナイロビ、ダルエスサラーム、ケープタウン、カンパラで起こった事件や、願わくば他の場所で今後起こる事件の自分達の不手際を隠ぺいしようと願ったということだ。我々は、(逮捕された者達の)苦境が終わることを神に祈っている。また、彼らの容疑が晴れることを確信している。

タイム:もしジハードの標的がアメリカ人だというのであれば、アフリカ人の死をどのように正当化するつもりか?

ビンラディン:その質問は、爆破事件を起こしたのが私だということを前提としている。私が答えられるのは、民族の敵に対して立ち上がる同胞の気持ちは理解できるということだ。もしアメリカ人を攻撃すること以外に、彼らを撃退することができないということが明白になれば、たとえイスラム教徒の殺害を伴うものであっても、それはイスラムの下で許される。

タイム:米軍とイギリス軍による12月のイラク攻撃に対するあなたの反応は?

ビンラディン:この恥知らずな攻撃がはっきりと示した事がある。それは、イギリスやアメリカがイスラエルとユダヤ人が利するように行動し、ユダヤ人が再びイスラム世界を分断させ、それを自らの支配下に置き、その富の残りを略奪しようとするのに手を貸しているということだ。それは疑いようのないことだ。この攻撃を実行した戦力の大部分は、自らの主権を手放してしまったある一部の湾岸諸国から出撃されたものだ。ムハンマドが生まれ、神が彼にコーランを啓示したこの地のいたる所を、今では異教徒達が歩き回っている。この状況は深刻だ。支配者達は力をなくしてしまった。イスラム教徒は自らの義務を遂行すべきなのだ。この地域の支配者達は、されるがままに自国の侵略を受け入れてしまったからだ。これらの国はイスラムのものであり、彼ら支配者達のものではない。

タイム:アメリカとしては今後、あなたのどんな行動を覚悟すればよいのか?

ビンラディン:盗みを働く目的で他国に侵入する者は、泥棒、犯罪者、強盗、いかなる者であれ、いつ殺されても仕方のない立場に置かれていると考えるのが当然だ。米軍が、何であれ、私一個人に何らかの事を覚悟するというのは、非常に浅はかな考え方を反映したものだ。イスラム教徒全体が怒っているのだ。アメリカ国民は、イスラム世界に対して自分達が働く悪事に見合ったお返しを、イスラム世界から受けることを覚悟すればよい。

タイム:あなたが化学兵器や核兵器を入手しようとしているとアメリカは言っている。もし手に入れたら、どのようにそれらを使うつもりか?

ビンラディン:イスラム教徒防衛のための武器の獲得は、宗教義務である。もし、そういった武器が本当に手に入れられたのであれば、それを神に感謝するばかりだ。それに、たとえそのような武器を私が手に入れようとしているのだとしても、それは義務を遂行しているということにすぎない。もし、異教徒達がイスラム教徒に危害を及ばすのを、そういった武器が防いでくれるのなら、それを手に入れようとしない方がイスラム教徒にとって罪だ。

タイム:あなたの活動拠点に対するアメリカの空爆がどのようなものだったか、説明して下さい。

ビンラディン:アメリカの爆撃は、世界を支配しているのがジャングルさながらの無法であることをはっきりと見せつけてくれた。あの残酷で恥知らずな攻撃は、多くのイスラム教徒民間人を殺した。物質的なダメージについて言えば、最小限のものだ。神の恵みにより、ミサイルはたいした効果をあげなかった。この攻撃は、アメリカ軍の士気が陰りを見せていることの証明だ。兵士達はあまりにも臆病で怯えきって、イスラムの若者達と直接向かい合って戦う勇気がないのだ。

タイム:アメリカはあなたの組織への資金流入を阻止しようとしているが、それは成功しているか?

ビンラディン:神の恩寵により、私のアメリカに対する攻撃はもう10年以上にもなる。そのことはアメリカがよく分かっていることだ。アメリカは、ソマリアでの米兵殺害の責任は全面的に私にあると主張している。確かに、米兵が殺されたことは、我々とすれば非常に喜ばしいことだ。これが成し遂げられたのは、神の恩寵と、そしてソマリアの同胞の中から現れたムジャヒディンや、それ以前にアフガニスタンにいた他のアラブムジャヒディンの尽力によるものだ。アメリカはそれ以来、我々に対する経済封鎖を強め、私を逮捕しようとしてきた。だが、未だ成功していない。この経済封鎖で我々はそれほど困ってはいない。我々は神に報われるだろう。

タイム:もしタリバンがあなたにアフガニスタンを去るように求めたら、どうするつもりか?

ビンラディン:そのような事は予見していない。我々は、この地を追い出されることはないだろうと思っている。我々の旅が神のお導きくださるものとなるよう、我々は神に祈っている。

タイム:このままアフガニスタンにとどまれば、さらに多くの攻撃を受けると思うか?

ビンラディン:アフガニスタンに攻撃が加えられるとしたら、それはいかなるものであれ、個人を標的としたものではないだろう。個人的にオサマ・ビンラディンを狙ったものではないと言うことだ。アフガニスタン自体が、イスラムの旗を掲げたため、十字軍とユダヤ人の連合軍の標的となったというのが本当のところだ。アフガニスタンは爆撃されるだろうと我々は思っている。もっとも、彼ら非イスラム教徒達は、オサマがそこにいるから爆撃するのだと言うだろうが。だからこそ我々は、街や村のイスラム教徒に危害が及ばないよう遠く離れ、同胞と共にこの山中に暮らしているのだ。

タイム:あなたのイスラムのメッセージは影響力があると思うか?

ビンラディン:アメリカやその支持者達、そして彼らと協調しているユダヤ人によって世界が被っている不公正を取り払うため、変革の風が吹いたのだ。最近、インドネシアで起こっている出来事に目を向けてみるがよい。そこでは、30年もの間、国を支配した独裁者スハルトが、権力の座から投げ出されたではないか。メディアは、彼が支配している間、彼を最高の大統領と呼び、賛美した。残念なことに、アラブ諸国のメディアも近頃、同じような事をしている。だが、それも変わるだろう。神と予言者(マホメット)に背き、神と予言者により信託された民を裏切った罪深き独裁者達が、スハルトと同じような運命をたどる日も、そう遠くはないだろう。

タイム:だが、あなたが唱えるような暴力には賛同しないイスラム教徒は多いが。

ビンラディン:我々は自分達の宗教を十分に理解すべきだ。闘争はイスラム教とシャリーア(イスラム法)の重要な一要素なのだ。神とその予言者を愛し、この宗教を愛するものならば、それを否定する事はできない。自分達の宗教のちょっとした教義ですら、それを否定すれば、イスラム教では誰であれ最も重大な罪を犯したことになるのだ。異教徒に共感を示す者達、たとえばパレスチナのPLOやいわゆるパレスチナ自治政府などは、今まで何十年もの間、自分達の権利のいくらかでも取り戻そうと努力してきた。彼らは武器を置き、いわゆる「暴力」を放棄して平和的な交渉に努めた。その結果、ユダヤ人達は彼らに何をくれた?自分達の権利のわずか1パーセントすら与えてくれなかったではないか。

タイム:世界唯一の超大国アメリカが、あなたのことを国家の第一の敵と呼んでいる。そのことに懸念はないか?

ビンラディン:アメリカを打倒することは宗教的な義務である。そして我々は神のお力によりそれが報われることを願っている。我々を第一の敵と呼ぼうが、第二の敵と呼ぼうが、そんなことで我々は困ったりなどはしない。イスラムの民はその義務を遂行するだろうとオサマ・ビンラディンは確信している。アメリカという名のいわゆる超大国の架空の伝説に、イスラム教徒が終止符を打てる日が来ることを私は堅く信じている。