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インドネシアの首都ジャカルタ北部の商業地区で22日、記事中の賭博場をめぐるいざこざからイスラム教徒とキリスト教徒アンボン人との間に争いが発生。この時、近くのモスクが破壊されたことに激怒したイスラム教徒千人以上がキリスト教徒を襲撃し、この賭博場と計7つのキリスト教会に火を放った。この騒ぎで6人のキリスト教徒が殺害され、さらに焼けたビルから8人の遺体が見つかった。治安部隊が出動し鎮圧にあたったが、夕方になっても騒ぎは収まらず商店の略奪へと発展し、暴動の様相を呈した。

もともと、地元の経済を仕切るキリスト教系華人に対してはイスラム系住民の反発は強く、また、スハルト前政権とつながりを持ち、経済的に潤っていた華人に対する不満や憎悪がうっ積し、それが爆発したと見られる。

記事中にもあるように、これまでもインドネシア全土でリンチ虐殺事件や不可解な殺人事件が多数発生し、中部ジャワなどの地方都市で教会が焼き打ちされる事件はあったが、首都ジャカルタでの教会の焼き打ちは十数年ぶりで、これほどの宗教的な抗争は極めて異例なことである。スハルト大統領の退陣を余儀なくさせた今年5月のジャカルタ暴動などのように、これまでも華人が標的となることは多々あったが、今回はその憎悪の対象が華人を中心としたキリスト教徒全体に及んでおり、危険な宗教対立の様相を帯び始めている。

また、今回の件も含め一連の暴動や虐殺事件では、軍内部の強行派やスハルトの取り巻きが民主化と軍の改革を阻むため、民衆の対立と恐怖をあおり社会を混乱に陥れようと裏で糸を引いているとの噂がたえない。