☆彡夜想曲(ノクターン)☆彡

 

真夜中のあかりを消した部屋の中で、、、

 

不思議なほど目の冴えた僕は、ふっと窓の外に視線を向ける。

空はまるで絵の具で塗りつぶしたかような完璧なまでの濃い藍色、、、妖しいくらいに青く光る月だけがさみしそうにそこにいる。

月からはなたれた青白い光が、、、部屋の床にひとすじのラインを作り出している。

 

僕はゆっくりとその淡いラインをたどる。

“ すう ” っと月の世界へと吸い込まれるかのような錯覚を覚える。

僕を包み込むやわらかい光が心地いい。

 

いつのまにか、、、静寂に包まれていた部屋に、静かな旋律(メロディー)が流れ始めている。

“ やさしい夜想曲(ノクターン) ”

クリスタルのように透明な音色が、ひっそりと寝静まった現実(うつつ)の世界に神秘的に響きわたる。

 

やさしいその音色が、、、僕をおだやかな眠りに誘う。

 

うすれゆく意識の中で、、、月が奏でる旋律がささやく。

 

“ おやすみなさい…。”

 

そして、、、僕は静かな眠りの世界へと旅立つ。

 

1999. 7.1 Witten by Kanon