ことばの宝箱☆ 〜秋のお歌編 〜



” 秋 ” 。。。ちょっとさみしい気分になってしまう季節ですが、和歌の世界では”紅葉””虫の音””お月見 ”などなど、たくさんの風情のあることがありますね(*^^*)これを期にみなさんもしみじみと”来る秋”を味わってみてはいかがですか?


 

心なき 身にもあはれは 知られけり 鴫立つ沢の 秋の夕暮れ

 

- 西行 -     

これは、、、源平の合戦が終わり、鎌倉殿がその力を極めつつあるころに、焼け落ちた東大寺再建の歓進(資金援助などの)の為、西行が奥州藤原秀衡を訪れる途中、鎌倉の近くを通った時に、”鎌倉殿が鴫が飛び立っていく秋の夕暮れを見て、涙をはらはらと流しながらその景色に感動している”という幻影を見てふっとつぶやいたお歌のようです(^-^)それまで西行は鎌倉殿の”理法の的確さ、正しさ、不動さ”に実効の力を認めてはいたものも、その反面”勝利・成功”しか見ない”心なき身の持ち主”的な感情をもっていたようなのですが、この幻影を見、そして実際に本人と話をしたことで、鎌倉殿も”あわれの心”を持ちあわせていて、、、それを忘れている時期はあっても必ず”真の理(ことわり)”を取り戻すであろうと、改めて鎌倉殿を自分の生涯の中で最もすぐれた人物の一人であるということを認識したとのこと。(参考文献 辻邦生 - 西行花伝 - )

”あわれを感じる心”は、めまぐるしい毎日に追われていると時として忘れられがちですが、心の奥底にもでこの心を持ち合わせている限り、自分を動かす大きな力になってくれるのかもしれませんね☆彡

 

 風ふけば 落つるもみじば水清み 散らさぬかげさへ 底にみえつつ

 

− 凡河内躬恒 −


風がはらはらと散らした紅葉は水に漂い、澄んだ水にはまだ散っていない紅葉の影がうつってとってもきれい(*^^*)そんな気持ちを率直に詠んだお歌です☆彡秋の紅葉は春とはちがったにぎわいがありますねぇ♪

 

 

しらつゆに風の吹きしく 秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける


− 文屋朝康 −

 

秋の野の草むら一面に散りばめられた白露、、、風が吹くとまるで水晶のようにきらきらと散りきらめく。。。秋気がしみじみと感じられると同時に、露の美しさに思わず心ひかれてしまいますねぇ(*^^*)☆彡一説に、作者は野の露よりも水晶への執着があって。。。ともいわれていますが、ここでは素直に額面とおりの”清らかさ””麗しさ”から取り上げてみました♪



白玉の歯にしみとほる秋の夜の 酒は静かに 飲むべかりけり

 

− 若山牧水 −

 

” 何かよい秋のお歌はない? ” ときいた時に、お友達が紹介してくれたお歌(*^^*) にぎやかにみんなでわいわいと飲むお酒もよいけれど 。。。たまにはしみじみと一人でお酒を味わうのも一興ですね☆彡ちょっと大人の雰囲気を感じます♪みなさんもたまにはそんなお酒もいかがですか?

 

 

秋風に たなびく雲の絶えまより もれ出づる月の 影のさやけさ

− 左京大夫顕輔 −


夜空に秋風が吹きわたる中、雲のすきまから明るい月の光がひとすじさっとこぼれて。。。とってもわかりやすいお歌だけれど、なぜか心ひかれてしまうお歌です(*^^*)日ごろ都会で生活をしていると感じられることのない風情でちょっと残念ですが。。。たまには日常をはなれて秋を感じに旅にでてみるのもいいですね☆彡それにしても。。。やっぱり月の光っていいですねぇ♪

 

むらさめの露もまだひぬ まきの葉に 霧たちのぼる 秋の夕暮れ

 

− 寂蓮法師 −

 

ぱらぱらっと雨が降った後、槙の葉の露もまだかわいていないのに、、、あたりには霧がたちこめて、うっすらと木立を包んでいる。静寂深い秋の夕暮れだなぁ。。。
まるで日本画のような色彩を想像させるお歌です(*^^*)季節としては秋から冬への移り変わりっぽいのですが。。。たまにはこういったちょっと地味だけど、落ち着きのあるお歌の味わいも格別です☆彡