願い (城之内克也)
 

「質問です。貴方にとって大切な人は誰ですか?」
「え、静香。たった一人の妹だぜ。俺静香のためなら何だってする」

「では、貴方にとって大切な物は何ですか?」
「真紅眼黒竜のカードだな。俺の魂のカードだから。誰にも譲れないんだ」

「貴方には親友と呼べる人はいますか?また、誰ですか?」
「おう、いるぜ。武藤遊戯。俺と違って純粋でまっとうな人間なんだ。それにデュエルが滅茶苦茶強いんだぜ。尊敬してる。それ以外でも本田は中学の時からの付き合いだし。いつものメンバーは大切な仲間だな」

「貴方のこれは、という特技は何ですか?売りでもいいですが」
「デュエル、とは言えないから、バイト経験?大概のものはやってるぜ。あとは料理かな。小さい頃から作ってるから、豪勢なものは作れないけど家庭料理なら何でもできるぜ。それから早起き?新聞配達長いから」
「すごいですね」
「そうでもないぜ」
 
「貴方の好きな食べ物は何ですか?」
「甘い物から辛い物まで何でも好きだ。食い物は粗末にしちゃいけないぜ。残すなんて以ての外だ」

 にこりと笑う。
 
「それでは、好きな人は?恋人はいますか?」
「え?それは、さ。えっと、いるけど。……どっかのバカ社長」
「バカ社長ですか?名前は?」
「えーっ」
「この世界に社長が何人いると思いますか?バカ社長だけではわかりませんよ」
「だから、それは……。……海馬」

 小さな声で囁く。

「どこが、好きですか?」
「どこって、そんな。そんな、恥ずかしいこと言えるかっ……」

 顔を真っ赤にして叫ぶ城之内。

(可愛い。あんまり虐めると機嫌が悪くなるからここら辺で止めておきましょう)
 
「では、一つだけ願いが叶うなら何を願いますか?」
「願い?本当に叶うのか?……もしかしたら叶う願いなんてないな」

 きっぱり。

「どうしてですか?」
「俺、そういう風に仮定するの嫌い。……それに、静香の目が治ったから、もういいんだ。何もない」
「ありがとうございました」

(しんみりしちゃうわ。いい子だなあ……)



                                                    END




 願い (海馬瀬人)
 

「質問です。貴方にとって大切な人は誰ですか?」
「モクバだ。それから犬」
「……犬は人ではないと思いますが」
「人語を話す犬だ。毛並みも良い。一応ヒトに分類されるぞ」
「……」

「では、貴方にとって大切な物は何ですか?」
「青眼の白龍だな」

「貴方には親友と呼べる人はいますか?また、誰ですか?」
「親友?そんな偽善甚だしい奴はいない。必要ないな」

「貴方のこれは、という特技は何ですか?売りでもいいですが」
「会社経営。技術開発。デュエル。俺に不可能はないな。全てだ」
 
「貴方の好きな食べ物は何ですか?」
「別にない。ああ、犬が作る物は何でも旨いぞ」
「例えば?」
「この間はケーキを焼いていた。モクバと一緒に食べた。その前はカレーと肉じゃがだったな」

「それでは、好きな人は?恋人はいますか?」
「犬だ」
「だから、ヒトでですねえ」
「城之内だ。あれには、そういう名前が付いている」
「犬扱いなのに、恋人なんですか?」
「立派に恋人だ。俺を見上げる大きな目だとか柔らかい髪だとか抱き心地のいい身体とか、気に入っている。……馬鹿な所も可愛いぞ」

 にやりと笑う。

「そ、そうですか」
「やらんぞ」
「滅相もない」

(さりげな〜く、惚けるんじゃないわよ。一人者には辛いわ)

「一つだけ願いが叶うなら何を願いますか?」
「俺はやりたい事は全て自分で叶えているし、欲しいものは全て手に入れている。誰かに叶えて貰うなど願い下げだ」
「あ、ありがとうございました」
 
(この社長、人類じゃない……)




                                                    END



 願い(海馬モクバ)

 
「質問です。貴方にとって大切な人は誰ですか?」
「兄さまと城之内だぜ。俺にとっての大切な大切な家族だ」

「では、貴方にとって大切な物は何ですか?」
「うーんと、この間兄さまと城之内から誕生日プレゼントにってもらった写真立て。それには三人で映った記念写真が入ってる。一緒にアルバムももらってさ、それには俺や兄さまや城之内の写真がたくさん入っているんだぜ。これからどんどん増えると思うと嬉しくなる」

「貴方には親友と呼べる人はいますか?また、誰ですか?」
「親友?まだ、いないなあ……。ちょっと想像できないけど」

「貴方のこれは、という特技は何ですか?売りでもいいですが」
「海馬コーポレーションの副社長をやっているくらいだから、副社長業務かな。最近のゲーム業界のリサーチ分析なんかが得意だ」
 
「貴方の好きな食べ物は何ですか?」
「城之内の作ってくる料理全部。お菓子とかすっごく旨いんだぜ。この間アップルパイ焼いてくれた。林檎の酸味と甘みが絶妙でさ、熱々のパイに冷たいアイスクリームをかけて食べたんだ。また作ってくれるって言ってた」

「それでは、好きな人は?恋人はいますか?」
「好きな人は兄さま。そして城之内。恋人はいない。俺、まだ小学生だぜ?」

「一つだけ願いが叶うなら何を願いますか?」
「兄さまと城之内がいてくれれば何もいらない。ずっとこの幸せが続けばいい」
「そうですか。叶うといいですね」
「ああ。叶うさ!俺も出来る限り協力してるしな」
「ありがとうございました」


(あの人類外生物な社長の弟にしては、まともだ……)

 


                                                    END



 
 

ブラウザでお戻り下さい