「 天蓬へ。 誕生日プレゼントありがとう。」 天蓬から誕生日プレゼントだといって、小包が届いた。 小さな小箱が厳重に包装された中から現れたのは、オルゴールだった。 蓋を開けると中はビロードが敷き詰められている小さな空間があるだけ。だから、ほんの少しの小物しか入らないだろう………。 きっと女性ならアクセサリー、指輪とかピアスとか入れるだろうと思う。 外観はレンガ色と飴色の中間の風合いで縁取りは上品な金。 後ろにネジを巻く突起があってくるくると巻く。 やがて、そこからメロディが流れ出した。 When you wish upon a star Makes no difference who you are Anything your heart desires Will come to you If your heart is in your dream No request is too extreme When you wish upon a star As dreamers do 星に願いをかければ、あなたが誰だって関係なく、 心の願いはなんでも叶えられるでしょう あなたの心が夢をみているのなら、どんな願いごとだって、大きすぎることはない。 さあ、夢みる人のように、星に祈ってごらんなさい 「When You Wish Upon a Star」〜「星に願いを」〜だ。 有名な映画音楽。ディズニー「ピノキオ」の主題歌。 部屋に響く音色はオルゴールが紡ぐ優しい音。 (気持ちいい………) 金蝉はそのオルゴールを手で持ちながら目を閉じる。 そして、その音色に聞き入る。 (これを聞いていると眠くなるな………) そして落ち着く。 オルゴールの音とかって、リラクゼーション効果があるって本当だな。 金蝉は瞳を開けてふんわりと微笑んだ。 もしその場に天蓬がいたならば、見惚れるだろう微笑み。そして、自分がそれを与えることができたと喜ぶに違いなかった。が、残念なことに彼はここにはいない………。 金蝉はそのまま部屋を突っ切りベットに乗り上げる。そして、枕元にオルゴールを持ってきて、横になると再び目を閉じた。 耳元に聞こえる柔らかで綺麗な音色に身を任せる。 やがて訪れる穏やかな睡魔。 水の中にいるみたいで、ふわふわと浮く身体。 大きな腕に包まれているように感じる。 金蝉はそのまま意識を手放した。 「 ………安眠をありがとう。 宝石箱にもなるオルゴールには以前お前にもらった紫水晶を入れてある。 お前、あまり、無理するなよ。 身体が資本なんだから………。 研究もいいけれど、ちゃんと睡眠は取った方がいい。 俺は、最近は以前よりずっと体調もいいから、心配するな。 毎回、毎回熱出していないか聞くのはどうかと思うぞ? 心配性過ぎる。 それでは、また。 なあ、天蓬。 そして、お前は何を願う? 金蝉 」 When You Wish Upon a Star? END 高級なオルゴールという言葉を与えて下さった みのり様に密やかに捧げます。 春流。 |