「6月の花嫁」1



 6月。

 日本では梅雨前線が停滞する時期。
 雨が降り続き、厚い雲が空を覆い尽くし、太陽が姿を現すことは少ない。
 じめじめとした湿気は気分も下降気味にする。
 祝日もない、正しくおめでたい事にはとんと無関係な、向かない月。

 「6月の花嫁」の幻想は日本ではありえなかった。
 それは6月が過ごしやすい国でのこと。
 と、いうことで関係者は機上の人となった。


 広い敷地を持つリゾートホテル。
 敷地面積はおよそディズニーランド1つ分くらいであろうか。門から木々など緑多くに囲まれた道を抜けるとそのホテルは現れる。
 佇むホテルはヨーロッパ調のお城のような外観で全体的にレンガ色であり所々に緑の蔦が巻き付いている。宮殿のような佇まいで真ん中に本館があり回廊を挟んで両サイドに別館がある。敷地の奧にはこれまた別棟があり、プライベートルームとして丸ごと1つの屋敷を貸す事もある。
 敷地には湖もあれば、森もあり、散歩するだけで森林浴を楽しむことができる。
 ホテル内にはプールやショップ、生活する全てのものが揃っていた。

 ここは会員制の、会員以外立ち入り禁止の全くのプライベートスペースだ。
 そこに出入りするのはもっぱら著名人や大富豪、王族だけだった。
 会員になるには、もちろん法外な金額がかかるが、誰でもなれる訳ではなく会員の紹介であり、ホテルからも認められなければならなかった。

 それだけの、居住空間とサービスがそこにはあった。
 一流のサービスは心地よい程の優しい雰囲気をくれる。
 まるで我が家にいるようにリラックスできるのだ。





 ここは敷地にある別棟の館の部屋の一室である。華美でない調度品は一級品ばかりで囲まれていて、部屋の中央にある飴色のテーブルも椅子も目に優しい色で輝いていた。

 「新ちゃん、すっごく綺麗ね………」

 うっとりと有希子は自慢の息子を見上げた。

 そこには、真っ白のウェディングドレスに身を包んだ花嫁がいた。
 漆黒の髪を小さく結って根元に百合が一輪飾られそこからオーガンジーのロングベールが流れる。耳元と開いた首にはアンティークデザインのサファイアを使用したイアリングとネックレス。

 優美な肢体を包むドレスはハートシェイプの胸元のラインに、首周りを大きく開けて繊細なレースが覆い、肘から袖口にかけてパゴダスリープが美しい。
 ウエストはきゅっと絞られアクセントにオーガンジーでできたコサージュが飾られ、Aラインに流れるイタリアンレースは光の加減で反射して見える刺繍が施されていた。淡いブルーが一番下にあるけれど、それを幾重にも真っ白のレースが包んでいるため光の反射で一瞬だけ青白く輝く。

 後ろ姿は長くレースに縁取られた扇形のトレーンが大層優雅である。
 手に持ったブーケは大輪の百合、カサブランカと白薔薇のティネケでまとめた清楚でありながら上品な華やかさをもつキャスケード。

 花嫁は伏せていた瞼をゆっくりと開いた。
 そこから現れた瞳は晴れ渡った空の蒼の如く煌めいていた。

 「母さん………」

 新一は小さな声で有希子を窘める。
 ウェディングドレス姿を誉められても嬉しくもない。今更有希子に逆らおうとはおもわないけれど、だからといって、ありがとうとは返せなかった。

 「何よ?だって本当に綺麗なんだもん。さすが私の息子よ。このウェディングドレスだって親しいデザイナーに依頼したけど新ちゃんにぴったりだし………。このネックレスとイヤリングは私がかつて使った物なの。容姿が似てるから新ちゃんのためにあつらえたみたいでしょう?」

 新一は鏡に映った自分と隣に映る有希子を見る。
 そこには親子というより、姉妹かと思うほど酷似した姿があった。有希子はとてもこんな大きな息子がいると思えないほど外見も中身も若い。今日は水色のシンプルなドレスに身を包んでいる。

 そして、一番似ているのは瞳の色。
 澄んだ空を思わせる、蒼くて神秘的な魅惑の瞳。その瞳で世界中の男性を虜にした、と言われる魔性の煌めき。それは天使もかくやと言われ、その天使さえも堕ちると例えられた極上のサファイアである。その瞳にあわせて有希子が己の結婚式の時にあつらえた気品あふれるアンティークデザインのサファイアのイヤリングとネックレスが窓から差し込む光に当たり鏡の中で瞬いていた。

 「これでも、サムシングにならって揃えたのよ?何か古い物、新しい物、借りた物、蒼い物。このアクセサリーが古くて借りた物で蒼い物、ウェディングドレスが新しくてちょっと蒼い物、そして今日はめる指輪が新しい物………」

 有希子は自分より高い目線にある新一ににっこりと微笑む。

 「私は何より貴方の幸せを願っているのよ?」
 「母さん………」

 新一は有希子の思いに胸が締め付けられる。
 『サムシング』とは4つのサムシングを身につけると幸せになれるとの習わしから来ている。このサムシングはもともと母や祖母が愛用していたアクセサリー類のことを差し、花嫁が母や祖母にあやかっていつまでも幸福でいられるようにとの願いが込められていたのだ。

 「ありがとう………」

 新一は感謝を込めて、有希子に思いを伝える。
 一言でしか、いいようがない。

 「あのね、いつもでも新ちゃんは私の子供なの。それはこれからも変わらないわ。何があっても、どこにいても、私は新ちゃんの母親で貴方の幸せと笑顔を祈っているの。それだけは忘れないでね?」

 有希子は新一の頬に手を伸ばす。そっと撫でてふわりと笑う。
 その指を新一は上からなぞって、同じように微笑んだ。

 「うん。俺も母さんと父さんの健康と幸せを祈ってる」

 幸せの形は親子でも違うけれど、それでも貴方の幸せが楽しくて彩られたものでありすようにと有希子は思う。





 「失礼します。用意はできた?」

 コンコンと扉を叩く音がして扉が内側に開いた。
 そこに現れたのは今日のもう一人の主役である新郎。
 けれど、新郎である快斗は言葉を失った。
 なぜなら、目の前にある花嫁は夢のように美しかったから………。

 「快斗?」

 桜色の唇から自分の名を呼ばれると、快斗ははっとして、意識を取り戻した。
 快斗を見つめて首を傾げる姿がとても可憐で快斗は顔がにやけそうになるのを押さえた。

 「新一、すごく綺麗だ」
 「………馬鹿」

 感嘆の瞳で自分を見る快斗に新一は頬を染めた。
 なぜなら、そういう快斗もこの上なく格好よかったから。
 純白のマオカラーのジャケットにワイドウイングのドレスシャツ。アスコットタイでふんわりと結んだ首もとがとても上品だ。
白いジャケットのインナーには光沢のある織物でできたベストが光の加減でグレーに見える。袖口から見えるシャツにはエメラルドグリーンのカフスボタンが覗いている。
 普段着慣れているせいなのか、彼が持つ雰囲気がそうさせるのか、正装が身体に馴染んでいるようだ。

 「新一?」

 快斗は新一に近付いた。
 隣に立つ有希子が快斗に「綺麗で見とれちゃうでしょう?」と微笑むので、快斗も同じように微笑んで、「有希子さんの趣味がいいんですね」と誉めた。

 「そうでしょう?自信作なの。でも、もとがいいから何でも似合うわね」

 うふふと微笑んで、有希子は隣に並んだ新郎新婦を眺めた。
 夢のように、美貌な一対である。
 有希子はうっとりと見ていたが、やがて、はっと気付いたように口に手を当てて、テーブルに用意してあった花をもってきて新一にほら、と渡した。

 「ブートニアよ。快斗君につけてあげて?」

 それは花嫁の仕事である。
 ブーケにあわせたカサブランカのブートニアは白いリボンで結ばれていた。それを新一は受け取って、快斗のジャケットのポケットにそっとさす。
 そんな仕草を見下ろす快斗はこのまま花嫁を抱きしめたくなる。さすがに憚られたが、誰もいなかったら実行に移していただろう。

 「これでいいか?」

 新一は快斗を見上げた。

 「うん、ありがとう」

 新一の綺麗な瞳を見て快斗は目を和ませた。
 そんな二人を見守っていた有希子は壁にかかった時計を見た。時刻はもうすぐそこまで迫っていた。

 「準備完了よ。それでは快斗君お願いね」
 「お任せ下さい。お母様」
 快斗は片目を瞑ってみせた。





 広大な敷地に小さな教会があった。
 周りを木々に囲まれて、まるで隠されるようにあるひっそりとした空間。
 少しゴシック様式が取り入れられた教会の窓には「薔薇窓」と呼ばれる中心から16枚に広がり、まるで花びらのような美しさを形作るステンドグラスがはめ込まれていた。
 そのステンドグラスが埋め込めれた窓からは色とりどりの光が反射して、美しい幻想の光を床に落としていた。正面に架けられた十字架はひっそりと佇み、マリア像が見つめている。

 祭壇には牧師が静かに立っていた。茶色の髪に穏やかな緑の瞳が印象的な初老の男性は目尻の皺を寄せながら、真剣な眼差しで入り口を見つめていた。

 純白の新郎は祭壇に向かって右側に立ち、入り口を向いていた。
 右側の参列者は快斗の母親美佐子と家族同然の寺井。
 左側の参列者は大切な新一の主治医兼、運命共同体の宮野志保と幼き頃からの友達兼保護者阿笠博士。それぞれが入り口の扉を見つめる。

 やがて、がたんと扉が大きく開き一瞬外に目映い光に皆、目を細めた。


 Ave Maria gratia plena
 Dominus tecum
 Benedicta tu in mulieribus,
 Et benedictus fructus ventris tui
 Jesus Christus.
 Sancta Maria, mater Dei
 Ora pro nobs  


 パイプオルガンの音色にあわせ、一人の女性が朗々と美しいソプラノで歌い出した。
 そんな荘厳な雰囲気の中を、美しい純白のドレスの新婦が父親に付き添われ入場してくる。
 ゆっくりと、ゆっくりとバージンロードを進む。

 Peccatoribus nunc,
 Et in hora mortis nostrae,
 Amen.
 
 新一が近くまで来ると、快斗は歩み寄り優作から引き受ける。
 新一は快斗の腕に軽く掴まり、祭壇に並ぶ。
 その両脇に媒酌人代わりのため、快斗の横に優作、新一の横に有希子が並んだ。

 『これよりカイト・クロバとシンイチ・クドウ両名の結婚の儀を執り行います』

 牧師は静かに告げて、式を進める。

 『これより聖書をお読みいたします』

 何度も読み込んだような、けれど大切にされている聖書を開くと、一度目の前の二人を見つめて頷くと、再び聖書に目を落として語り出す。

 『 愛がなければ何の役にも立ちません。
   愛は寛容であり、愛は親切です。また愛は妬みません。
   愛は自慢せず、高慢になりません。
   礼儀に反することをせず、自分の利益を求めず怒らず、
   人のした悪を思わず、不正を喜ばずに心理を喜びます。
   全てを我慢し全てを信じ、全てを期待し、全てを耐え忍びます。
   愛は決して耐えることがありません。
   こういう訳でいつまでも残るものは信仰と希望と愛です。
   その中で一番優れているのは愛です。
   愛を求めなさい………』

 聖書の中の、コリントの使徒への手紙1の13章にある有名な『愛の賛歌』と呼ばれる名句である。教会内に響きわたる声は聞いている聴衆の心に落ちてくる威力がある。例え、キリスト教の信者でなくても、素晴らしい言葉は胸に、心にちゃんと届くのだ。
 それは人種でも宗教でも性別でも何ものも関係がない。

 『ただいまより、お二人に結婚の誓約を取り交わして頂きます。ご参列の皆様も証人としてご起立下さい』

 静かに見守る参列者は起立した。そして、二人を優しげに見つめる。

 『聖書に手をのせて下さい』

 牧師は聖書を目の前に差しだし、二人にその上に手を乗せるように則す。快斗も新一も軽く手を置いた。
 それに頷くと、快斗と新一を真剣な瞳で見つめる。

 『あなたはこの者と結婚し、神の定めに従って夫婦になろうとしています。あなたはその健やかなる時も病める時も、喜びの時も、悲しみの時も、富める時も、貧しい時も、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命の限り、堅く節操を守ることを誓いますか?』

 「誓います」
 「誓います」

 荘厳な雰囲気の中、響きわたる小さな声。
 けれどそれは誓約の証。

 『誓約の証として指輪の交換をして頂きます』

 牧師は満足げに微笑むと、指輪の入った小さなビロードの箱を開けて快斗の前に差し出した。
 快斗は頷いて、布に小さく収まった指輪を摘む。
 その間に、新一はブーケと真っ白の手袋を外して有希子に預ける。

 Amazing grace, how sweet the sound
 That saved a wretch like me,

 そっと歌い出す女性の声は天上高くまで響き渡る。

 I once was lost, but now am found,
 Was blind, but now I see.


 快斗は新一の左手を取り薬指に銀色に輝く結婚指輪をはめる。プラチナで流麗な形をした中央にサファイアが、周りにメレダイヤモンドを埋め込まれた指輪。
 今度は新一が快斗の左手を取り、薬指に同じデザインでサファイアにメレのブルーダイヤモンドが入ったものをはめる。

' Twas grace that taught my heart to fear,
 And grace my fears relieved.
 How precious did that grace appear
 The hour I first believed.

 そして、快斗は新一をおおうベールをゆっくりと上げた。それを則すように新一も軽く屈む。
 遮るものは何もなくて、ただ見つめる瞳と瞳。互い姿がその瞳に映っているのが確認できる距離にある。快斗は両手を新一の華奢な肩に置くと引き寄せるようにして顔を近づけた。
 新一はそっと目を閉じる。
 瞼を閉じて触れるだけの誓いの口付け。
 その瞬間は永遠。

 Through many dangers, toils and snares,
 I have already come.
' Tis grace hath brought me safe thus far,
 And grace will lead me home.


 見守るのは新一の両親、工藤優作と有希子。
 快斗の母親の黒羽美佐子と寺井。
 宮野志保と阿笠博士。

 人数にすれば、ほんのわずかであるが大切な大切な人たちだ。家族と家族同然の人だけに囲まれて二人は式を上げた。

 『それでは聖歌隊によります祝歌がございますので、ご参列の皆様はご着席下さい』


 There is beauty all around When there's love at home;
 There is joy in ev'ry sound When there's love at home.
 Peace and plenty here abide,Smiling sweet on ev'ry side.
 Time doth softly, sweetly glide When there's love at home.
 Love at home, love at home;
 Time doth softly, sweetly glide When there's love at home.


 牧師は厳かに祝祷を述べる。

 In the cottage there is joy When there's love at home;
 Hate and envy ne'er annoy When there's love at home.
 Roses bloom beneath our feet; All the earth's a garden sweet,
 Making life a bliss complete When there's love at home.
 Love at home, love at home;
 Making life a bliss complete When there's love at home.


 二人を祝福する天高い歌声に見送られて二人は扉に歩いていった。





 「おめでとう!!新一」
 「おめでとうございます!ぼっちゃま」

 二人は阿笠と寺井から口ぐちにお祝いの言葉をかけられた。それに二人はありがとう、と返す。

 「私、泣けちゃったわ………」
 「………有希子」

 そっとハンカチで涙を拭う有希子を優作が肩を抱いて微笑んだ。そして、新一を見つめて真摯な眼差しで告げる。

 「新一、幸せにおなり」
 「うん、父さんもね」

 言葉少ない、でも伝わってくる思いに新一も微笑み返す。
 ありがとう、と。

 「母さん?」

 快斗の母親、美佐子が二人の前に立った。彼女も有希子同様にいつまでも若々しい。最愛の夫に先立たれたというのに、そんな苦労も見せずいつも明るく笑う笑顔しか快斗は見たことがなかった。
 美佐子は真っ直ぐな瞳で二人を見上げた。

 「快斗、おめでとう。そして新一君、快斗をよろしくお願いします」

 美佐子が頭を下げた。

 「母さん………」
 「美佐子さん、こちらこそよろしくお願いします」

 新一は美佐子に微笑むと頭を下げた。
 以前にも逢ったことはあるけれど、それでもこの場で伝えなければならない。
 前回話した時に、快斗でいいかしら?と聞かれた。その言葉の裏にはKIDだけれど、探偵の貴方はいいの?と推測できた。だから新一は快斗がいいのだと、はっきりと告げた。すると美佐子は快斗を選んでくれてありがとう、と微笑んだのだ。その時に感じた気持ちは変わらず新一の胸にあって………。

 「ありがとうございます」

 そんなありふれた言葉でしか言い表せないけれど、新一は美佐子に言う。

 「快斗が馬鹿な事したらいつでも言ってね?私が魚もって懲らしめてあげるから」

 美佐子はそう新一に目を細めて笑う。
 新一の気持ちが伝わったのかもしれなかった。
 だから新一も「その時はよろしく」と言って片目を瞑って見せた。

 「おめでとう、工藤君」

 志保がお祝いを言いながら新一の側に寄ってきた。

 「志保………、ありがとう」

 新一は自分にとって大切な少女に心から微笑んだ。そして、ほらと持っていたブーケを志保の手に渡す。

 「え?」

 志保にしては珍しく瞳を見開く。

 「お前以外に渡す人間なんてここにいないだろう?だったら投げる必要もない。それに、俺はお前にもらって欲しい」
 「工藤君………。ありがとう」

 志保ははにかむように笑った。
 カサブランカのブーケは白薔薇が入って大層上品だ。滝のように流れるキャスケード型をしていて、新一のドレスにとても似合っていた。志保はそれを優しく抱きしめる。

 「お前も幸せになれるように………お裾分けみたいなものかもしれないけど………俺は祈ってる」
 「………私だって祈ってるわ」

 いつになく、素直に出てくる言葉だ。本心からの祈り。

 「わかってるさ。だから、これからもよろしくな」
 「ええ。もちろん。私は一生貴方の主治医よ?」

 微笑みあう新一も志保もなんだか泣きたくなる程に、感情が溢れて出している。
 こんな時くらい正直に感情を吐露してもいいのかもしれない。そう互いが思っているせいかもしれなかった。


 Kindly heaven smiles above When there's love at home;
 All the world is filled with love When there's love at home.
 Sweeter sings the brooklet by; Brighter beams the azure sky.
 Oh, there's One who smiles on high When there's love at home.
 Love at home, love at home;
 Oh, there's One who smiles on high When there's love at home.

 Amen.




 「新一」
 「快斗」

 呼び合う声と見つめる瞳。
 向かい合って互いの指を絡ませた。

 「「これからも、よろしくお願いします」」

 声を揃えて言いあうと、二人とも悪戯が成功したような共犯者の微笑みを浮かべる。
 だって、これからは一生の相棒だから。


 隣でいつも笑っていて?
 そんな呪文をかけましょう。
 毎日かければ、それは永遠になるでしょう。




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