不良解析業務のポイント集
                   2002年10月11日 
<< ポイントA>>

-  回路図を参照しながら、プローブできるポイントは時間の許す限りプローブし、回路およびデバイスの理解に努める。 
結果はなるべく記録し知識の集積に努めること。不良解析の作業を単なる繰り返しの作業にするかしないかは解析者の力量に依存する。

-  不良モードが推定できたならば、その推定が正しいかどうか、実験できるならば(サンプルの入手が可能ならば)実験すること。
[例、EOS/ESD]

-   ディプロセスの方法は、成功、失敗に関わらず克明に記録し、失敗からも大いに学ぶこと。  プロセスが異なれば使用する薬品も異なり処理温度や時間も異なる。種々の文献や例をみて多くの事を実験し、如何に経験を積むかで解析エンジニアとしてのキャリアの差がつく。

-   解析しているデバイスの基本的な機能、プロセス、特性(AC/DC)等の理解に努めること。 例:ブロックダイヤグラムを見ておおよその機能がわかるようにすること。理解できなければFAEがいるので大いに利用すること。

-   より正確で、より簡単な解析手法がほかにないかどうか常に考えよ。

-   「知は力なり」、解析方法、ウエファープロセス、パッケージングプロセス、解析機器の原理等についての知識は多ければ多いほど良い。そして、それが経験を通して確認できればその知識が本物になる。

-   今の自分の解析能力レベルを常に確認しておくこと、つまり、自分に不足している能力を常に明確にしておくこと。

-   解析レポートの現在の品質(Quality)レベルが理想的な解析レポートの品質レベルから見て何%ぐらいかを常に認識しておくこと。そして、なぜ、100%のレベルにできないかの理由(ハードウエアーリミテッド?、ソフトウエアーリミテッド? 自分の経験不足?)をよく認識しておき、その解決に努力する(自分でできることと、他人を動かさなければならない こととある)こと。

-  外資系企業であろうとなかろうと、キャリア向上にとって外国語は知識を吸収する際の強力な武器である。 英語が苦手な場合はまず英語を物にする 2〜3年計画を作り地道に努力すること。 「物にする」とは読み、書き、聞き、話すことが一応できる事を言う。 そのあとは必要に応じて、他の外国語に挑戦したらなお良い。

-   社内の他部署とのコミュニケーションはできるだけ多くして、耳から入る技術的な知識の吸収に努めること。

-   競合メーカーのプロセスおよびパッケージがらみの情報には常に敏感であること。これらの変化は解析手法の変化を必然的にもたらす。

-   将来要求される解析レベルの理解に努めること。 営業部/FAEが何を売ろうとしているか、その量と、種類を経時的に把握しておくこと。

-   技術がらみの情報で本社にフィードバックできる事がないかどうかを常に心がけること。 例:新しい解析機器の紹介、研究報告、新パッケージ等々。

-   対策(corrective action)を顧客がどう実行に移したかのフォローアップに注意を払い、二度と同じ不良が返ってこないように努力すること。

-   解析機器の精度限界/適用限界を常に把握しておき、将来要求される解析機器を把握しておくこと。 また、現在必要だが、市場にはまだ存在していない場合は、解析機器メーカーと協力して、その実現に努力すること。

-   外観目視検査で発見した不良でも必ずプローブをして電気的に確認する習慣をつけること。

-   カーブトレーサーの電圧・電流は最小値から徐々に上げるように努め解析中にオーバーストレスを与えないよう注意する。

-   ESD対策は必ず行う。(ワイヤーストラップ/静電気対策済みスモックを着る)

-   電気的プローブで確認した不良が客先で発見された不良モードと同一であるかどうかを必ず確認し、異なる場合はそれを報告書に記すこと。

-   テスターでの不良パラメター(DC/できればACも)は必ずベンチでカーブトレーサー等で再度確認すること。

-   パッケージのデキャップ後に電気的特性がデキャップ前と変わっていないことを確認しておくこと。特に、リーケージ、ダイアタッチからくる銀のデンドドライトによる短絡等。

-   カーブトレーサーで電気プローブする時は顕微鏡の照明を消して行うこと。(光励起された電子-正孔に注意する)