第67話「ふたりのピノコ」
 

 単行本収録時に初出時の「緑柱石」から改題され、同時に構成を中心にいくつかの書き換えが行われている。

 単行本に収められている「ふたりのピノコ」ではロミの死をきっかけに青年医師(「ふたりのピノコ」では工場の依頼を受けた保健医だが「緑柱石」では工場の専属医)が工場を告発する決意を固めるが、「緑柱石」ではロミの死は最後に描かれ、公害への怒りが余韻に残る。「ふたりのピノコ」の終わり方が公害へ立ち向かう意志が感じられる点においてこの書き換えは読後感が違う。またピノコの顔はロミをモデルに作ったという設定は単行本収録時の書き換えの際に付け加えられたもので、「緑柱石」ではそのような記述はない。