第46話「恐怖菌」

 

 単行本収録時に初出時の「死に神の化身」から改題され、同時にいくつかの書き換えが行われている。

 単行本に収録されている「恐怖菌」では戦略物資輸送船での細菌兵器による感染症であるが、「死に神の化身」では原子力船の事故による放射能症であり、つじつまを合わせるためにセリフや絵が書き換えられている。また作品中の原子力船の名前は実在の原子力船を想起させる物である。第209話「落下物」でも放射能による病気が扱われ単行本未収録となっている。

 「死に神の化身」の中の原子力船は「四週間前」「住民の反対を押し切って航海に出発」し「沖合で原子炉から放射能灰が多量にもれたことがわかり」「どこの港もぜんぜん受け付けないまま」「洋上をただよっていた」とされており、掲載誌の発売日が9月30日であることを鑑みると、放射能の量以外は当時実際に起きた事故がモデルにされていたことが分かる。

 単行本では「恐怖菌」は新書判第17巻に収録されていて、それ以前に発行された巻にドクター・キリコの登場するエピソードが収められているが、連載時では本作品でドクター・キリコが初登場する。ブラックジャックとドクター・キリコは互いにその存在を知ってはいたが、この時が初対面である。