第28話「指」 

 

 「指」では、間久部禄郎は多指症で6本指であったが、医大時代のブラックジャックが切除している。このとき、作品中で「○○○○人の祖先は6本指‥」なる表現があり、このため単行本に未収録になったと思われる。

 「指」ではブラックジャック爆殺は間久部のサシガネである事が明確にされている。また、ブラックジャックは証拠の指を提出しただけで逮捕後の間久部には会っていない。言ってみれば、友情と裏切り、その報復の話である。

 一方、連載終了近くになって「指」から改作された第227話「刻印」では、爆殺の主犯は読者の判断に委ねられている。また、指の骨にサインをした意図等、ブラックジャックの間久部に対する感情は非常に微妙なタッチで描かれている。最後に牢屋の中で間久部は、再会の時に取れと言われても取ろうとしなかったサングラスを「おれを信じてくれ」という言葉とともに外し、ブラックジャックに素顔を見せる。

 その他にも細かいセリフの修正が行われ、差別問題をクリヤーし、さらに物語としての深みを格段に増す改作を行っている。