第1話「医者はどこだ!」

 

 この時点で300人治していて、天才的な外科医だが無免許であることが作品中で示される。

  ブラックジャックを「悪魔の手先」とののしった仕立屋が最後は「あの先生はきっと天使だね」と言い、最後に救いが用意されている。読み切りとして描かれた第一話にして既に物語の基本パターンが現れている。このほか現時点で見られるブラックジャック的な物は、

1.依頼人からの多額の報酬(金額は明示されていない)

2.弱者に対しての施し

3.優しい母親と悪役の父親

等が挙げられる。掲載誌の編集長は第三話の時点で連載化を決定した。

 この年の8月、版権・出版等を扱う虫プロ商事株式会社が、11月には制作部門の株式会社虫プロダクションが倒産し、手塚氏は作家活動に専念する事になる(社長の座は1971年6月に降りている)。手塚治虫氏、11月3日で45歳の年であった。