モルッカチョウゲンボウ
Falco moluccensis
Spotted Kestrel
2021年10月12日に中央干拓地で小さなチョウゲンボウを観察しました(写真1).大きさからヒメチョウゲンボウFalco naumanniと思いその数日後 爪を撮りましたが黒色でした.種F. tinnunculsにはチョウゲンボウF. t. interstictusを含み12亜種いますのでこのうちのどれかと思い 調べましたが該当する亜種を見つけることができませんでした.
写真1 2021年10月12日
10月21日,アカアシチョウゲンボウの情報で現地に着くと電線に3羽同じ大きさのチョウゲンボウ類が止まっていて, 数人の観察者が写真を撮っていました.バッタを見つけて畑に降りるのですが,2羽はアカアシチョウゲンボウF. amurensis.あとの1羽はチョウゲンボウ類です. 12日に観察した個体と同じと思い写真を撮りました(写真2).
写真2 左上はアカアシチョウゲンボウ♀若鳥 2021年10月21日
翼長はアカアシチョウゲンボウとほぼ同じです. アカアシチョウゲンボウの全長,翼長は28-30,63-71[cm]です.
チョウゲンボウ類14種でこの値に一番近い種はモルッカチョウゲンボウ(和名はIOCの鳥名リストに記載されています)F. moluccensisで26-32,59-71[cm]です.
種F. tinnunculsは31-37,66-78[cm]です.
モルッカチョウゲンボウはインドネシアに生息しています.文献1,2に記載されています.種F. tinnunculsによく似ているが上面はより暗色で黒い斑が多い.
♂♀よく似ていて♂はめすより上面の斑が少なく灰色の尾羽に帯模様は無い.♂は種F. tinnunculsの♂のような灰色の頭ではなくめすとほゞ同じです.
下の写真4枚に観察個体,チョウゲンボウの上面を示します.背および翼の斑の数は写真左の個体がチョウゲンボウより多く翼の斑はチョウゲンボウは帯状なのに対し丸味を帯びています.
左:モルッカチョウゲンボウmoluccensis 右:チョウゲンボウF. t. interstictus
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モルッカチョウゲンボウの成鳥の尾羽は♂♀とも青灰色です.この個体は胴体近くは青灰色ですが先端に向かって淡い茶色です.
若鳥と考えられます.モルッカチョウゲンボウには2亜種記録されていますmoluccensis,microbalia.microbaliaは
より小さく,頬がより灰色と書かれています.本個体はアカアシチョウゲンボウに近い大きさなのでmicrobaliaと判断しました.
インドネシアのタカが日本に来るはずはないと思われる方が多いと思いますが.アカハラダカ,ツミも冬季はインドネシアまで移動しています.
参考文献1に記載されています.
参考文献
1. Birds of the Indonesian Archipelago, 2016, ISBN:978-84-941892-6-5
2. Birds of the Philippines, 2020, 978-84-16728-32-9