クロジ Schoeniclus variabilis variabilis
ウタクロジ S. v. musicus

@クロジvariabilis(♂)夏羽,北海道,2006年6月17日

Aクロジvariabilis(♂)冬羽,長崎市,2013年3月19日

Bクロジvariabilis(♀),小城公園,2011年1月25日

Cクロジvariabilis(♂若鳥),長崎市,2011年04月5日

Dウタクロジmusicus(♂),長崎市,2011年4月13日

Eウタクロジmusicus(♀),長崎市,2011年4月13日

和名:クロジ 種名:Schoeniclus variabilis 
英名:Grey Bunting  全長:14-17cm
 日本鳥学会の鳥類目録第7版には種クロジSchoeniclus variabilisは1種しか 記載されていませんが海外の文献には2亜種記録されているものがあります(*1,*2).これらの 文献に記載されている繁殖地と越冬地を下の表に記載しています.いずれも日本列島近辺の固有種のようです. 両亜種とも中部日本以南は冬鳥として記載されています.
Schoeniclus variabilis
亜種名繁殖地/生息地移動地
variabilis樺太,南千島列島,北および中央日本日本中央部から琉球列島
musicus南カムチャッカ中央および南日本

 私が所有している日本の図鑑に記載されている図または写真はvariabilisのみです.♂は夏羽は全体が濃い灰色,冬羽は濃い青灰色になります. 写真@は6月北海道で撮影したvariabilis♂です.Aは長崎市で3月に撮影したvariabilis♂の冬羽です.これらは文献(1,4,5)の 図,写真と一致します.
 variabilis♀の夏羽,冬羽については日本語のどの図鑑にも記載されていません.写真Bがvariabilis♀で文献(1,3,4,5)と一致しています.また写真Cは variabilis♂の若鳥です.これも文献(1,4,5,6,7)と一致します.
 写真D,Eは2011年の4月13日に長崎市の川原大池で撮影したクロジです.番と思われる2羽が神社横で採餌していました. DはAとよく似ていますが白い過眼線(目の前にはありません)があり,腰から尾の付け根までが濃い褐色です.Eは体全体が褐色味を帯びた 灰色で胸には黒褐色の縦斑,肩羽および雨覆の斑も黒褐色です.また腰から尾にかけてはDと同じく濃い褐色です.これらの写真は私が所有している日本語の 図鑑には記載されていません.variabilisの変異体とするより亜種musicusの♂,♀と判断するのが妥当でしょう..
参考文献
  1. Birds of East Asia, Mark Brazil, 2009, Christopher Helm, London
  2. The Howard and Mooore Complete Checklist of the Birds of the World vol.2 4th edition,       E C Dickinson & L Christides, 2014, Aves Press, Eastbourne UK (日本鳥学会の分類は受け入れられないとの記載あり, 以下の文献を参照
    Stepanyan, L.S., 1990. Conspectus of the ornithological fauna of the USSR.
    V.E. Sokolov (Ed.). 1‐727. Moscow Nauka, Moscow [in Russian]. )
  3. Illustrated Checklist of the Bird of the World vol.2, Josep del Hoyo & Nigel J. Collar, 2016, Lynx, Barcelona
  4. フィールドガイド日本の野鳥 増補改訂版,高野伸二,2008,日本野鳥の会,東京
  5. 日本の野鳥,叶内拓哉,安部直哉,上田秀雄,2011,山と渓谷社,東京
  6. 日本の野鳥550山野の鳥 増補改訂版,五百沢日丸,山形則男,吉野俊幸,2004,文一総合出版,東京
  7. 日本の野鳥650,真木広造,大西敏一,五百澤日丸,2014,平凡社,東京