基本的な事柄:色と明暗

野鳥を識別するとき写真を見て「尾の茶色はもっと赤味が強いはず」とか「薄いはず」などと色合いで判断されているのを見かけます. また,「この個体の背の色は暗いからオオセグロカモメ」との表現もよくみられます.
 写真の色合いや明暗で種,亜種を判断することは可能でしょうか.特定の条件下では可能ですが,ほとんどの場合不可能です.
下の2枚の写真は同一個体を同じカメラで7分の時間差で撮影したものです.カモメの足の色は左が淡い黄色,右がオレンジがかった黄色になっています. 同じ物体でも照射する光の分光特性の違いによって異なった色に見えます. また,ディジタルカメラは人が感じる色に合わせるよう色温度補正をしますのでさらに色合いが変化します.
 背の明暗に注目すると左の写真の背は右のものより暗く写っています.これは各々の背を照射する光の強度が違うからです.

 

同じ方向を向いていたら背の明暗は判断できると思っておられる方がいますが,これも一概には言えません.
 2羽のカモメが写った右の写真は手前がセグロカモメ,後ろがモンゴルカモメです. 文献(*2)によればセグロカモメの背はモンゴルカモメの背より濃いのですが写真ではモンゴルカモメの背が暗く写っています. 晴天の直射日光が照射する環境では物体を照射する光の強度は方向によって7万ルックスから5千ルックスの範囲で変化します(長崎県橘湾沿岸での実測値). したがって,晴天の日は背の濃度を推測するのは不可能です. また,自動露出で写真を撮ると背景の明暗によって被写体の明暗が変化します. 岸壁の白い壁や波打ち際の白い波などがあると暗く, 黒い岩礁などがあると明るく写ります.
下の2枚の写真は数秒の時間差で撮影したものです.左の写真は右の写真に比べて背景の白く泡立った波の影響でカモメと岩礁が暗く写っています.
色合,背の濃さは特別な照明環境以外では判断してはいけません.詳しくはこちらをご覧ください.

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