日本は特異な対策を取っています. 世界の国々はその国の人口に対応した検査数で日々検査をしていますが,日本は検査をしない方策をとっています.
なぜか,理由は簡単です.大量に検査をすると多くの感染者が見つかります.大量の感染者が見つかると医療崩壊が起き現在病院で入院中の方々が重篤化し,目に見えて死者が増加します.
日本はドイツのように医療体制を整えることはできないからです.
日本では昨年9月から流行っているインフルエンザで今年1月20〜26日に医療機関を受診した患者数の推計が46万人です.全国で警報レベルの保険地域は44都道府県で150ヶ所,
入院患者数は1,074人となっています.
厚生労働省報道資料
また全国の感染症病床は1,848(2018年2月)です.医療施設動態調査
従って高熱37.5℃以上が3日以上,2週間以内に渡航歴がある人のみ検査をする方式を採用しました.一般のインフルエンザと区別するためです.しかしここで問題があります,検査を開始時点より2週間以上前に感染者がいると海外渡航歴が
ない人も新型コロナウイルスに感染します.COVID-19の症状は普通のインフルエンザと同じ症状です.
6月6日の日本のデータを表11.に示します.人口126.5百万,検査数331,447人,検査率0.25%,感染者17,103人,感染率5.5%,死者914人,死亡率5.3%,当日の患者1,110人,患者増減-75人,検査数3,985人,感染者39人です.
検査を始めてから3か月経過しています.この間1万人以上を検査したのは4月19日の1日だけで,5月1日から6月5日まで1日の平均検査数は4,192人です.日本と同じ人口で検査率が1%以下で感染者,死者が少ない国があります.死亡率1%以下の国
エチオピアです.エチオピア(人口114.7百万人)は5月25日の時点で検査率0.1%,感染者655人,感染率0.8%,
患者491人,死者5人です.検査を始めた時期に感染者が少ないとエチオピアと同等の結果がでるはずです.
しかし,日本の場合は検査を始めた時期にすでに多くの感染者がいて6月6日現在感染者17,103人,死者914人となっています.
国 | 人口[百万人] | 累計 | 6月6日 | 検査数[人] | 検査率[%] | 感染者[人] | 感染率[%] | 死者[人] | 死亡率[%] | 患者[人] | 患者増減 | 検査数 | 感染者数 |
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日本 | 126.5 | 311,447 | 0.25 | 17,103 | 5.5 | 914 | 5.3 | 1,110 | -75 | 3,985 | 39 |
日本の2019年の死者は137.6万人と推計されています.平均すると毎日3,770人の 方が亡くなられています.COVID-19による死者が1千人以下であれば百万人以上の死者に埋没して見えなくなります.過去50年(1970~2019年)に遡って厚生省の人口動態を調べました.50年で前年より死者が4万人以上増加した 年が6回あります.これらの年を外した46年の平均増加数は8,128人,標準偏差15,911人です.6年の死亡者の内訳を 厚生省の死亡別に見た年次推移などで調べた結果が表12です. 何れの年も表2に記載しているインフルエンザで重篤化し易い持病の死者が前年度より増加してその総和が表12の病死の人数です.重症化し易い人たちの値は調べていませんが6年のうち4年はインフルエンザ,2年は震災とインフルエンザによる死者の増加と推測できます. 従って新型コロナウイルスによる死者は来年になって2020年の統計が出るまで分かりません.
西暦 | 年号 | 死者 | 増加死者 | 病死 | 災害死 | 災害 |
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1988 | 昭和63 | 793,014 | 41,842 | 36,671 | - | - |
1995 | 平成7 | 922,139 | 46,206 | 23,573 | 6,434 | 阪神淡路大震災 |
1999 | 11 | 982,031 | 45,547 | 34,607 | - | - |
2005 | 17 | 1,083,796 | 55,149 | 41,323 | - | - |
2010 | 22 | 1,197,012 | 55,147 | 51,073 | - | - |
2011 | 23 | 1,253,066 | 56,054 | 23,099 | 19,225 | 東日本大震災 |
人口動態を調べた結果,新型コロナウイルスより重大なことに気が付きました. ここ数年毎年日本の人口が減少していることは新聞などの情報で知っていました. 報道では戦後の団塊の世代が70歳を過ぎ死者が多いからとの解説です. しかし,死者が増加しているだけでなく,出生者が減少しています(表13). 1993年から2013年の20年間に出生者の減少は158,466人ですが,直近の2015年から2019年の5年間で165,816人と大幅に減少しています. 子供を産めるのは20-40歳の女性です.この世代の人口が減少し,出生率が低下すると加速度的に出生数が減少します.直近5年間の出生率の減少を使って将来の 出生者を試算すると1973年には209万人だった出生者が2年後には80万人を割り込み,2030年47万人,2040年27万人,2057年0人,人口77百万人で絶滅確定国となります. .日本は日本のイヌワシと同じ絶滅危惧国です.
日本の出生者 | 1973 | 1983 | 1993 | 2003 | 2013 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 |
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出生者 | 2,091,983 | 1,508,687 | 1,188,282 | 1,123,610 | 1,029,816 | 1,005,677 | 976,978 | 946,065 | 918,400 | 864,000 |
差異 | - | -583,296 | -320,405 | -64,672 | -93,794 | -24,139 | -28,699 | -30,913 | -27,665 | -54,400 |