YASUHARA Co.,Ltd. T981-00075 / Canon 50mm f:1.8
実は最初に安原一式が届いたのは先月末になる。ところがこの機体にはシンクロ接点不良があった。
また、距離計二重像のわずかな上下ずれも気になったので修理あるいは交換を依頼したところ、別の
機体が届けられた。こちらはシンクロ接点不良こそないものの距離計二重像上下ずれは最初のものより大きく、
また、ブライトフレームのずれ、上部カバー変型などの不良があって、再返品した。
というわけで今日届いたこれは私にとって三台目の機体である。
三千人以上の予約者が供給を待ち焦がれている中、三台も手にしたユーザーは他にいないに違いない(←莫迦)。
安原製作所のページで供給状況をみると 4 月末の40 台弱からほとんど変わっていなかったのが、また少しずつ増えているようだ。
使用感については既にいろいろなカメラ雑誌などに書かれているが、私なりの感想を改めて述べてみよう。
ライカスクリューマウントのクラシックカメラはキヤノン7などの例外を除いてファインダー倍率が低い。 また、ブライトフレーム付のものも少ないので、この仕様は嬉しい。 パララックス自動補正式のブライトフレームが遠距離域で左側のラインが見えなくなるとか、 アルバダ式でもないのにフレアがかって見えるなどが難点ではある。 キヤノネットなどの昔のレンジファインダー付コンパクト機より見え味が若干劣るのは残念だ。
フレームは 50mm 専用である。欲を言えば変倍で 28〜85mm くらいをカバーしてくれると嬉しかったのだが、 切り替えなしで各種のフレームが出たままになるよりは潔い。距離計の二重像はもう少し分離がよいと嬉しい。 これは距離計の窓に黄色いシートフィルターでも被せてみようと考えている。M 型ライカのような明確なエッジではない。
Vessa-L もそうだが、やはり露出計内蔵は嬉しい。 ただしファインダー内の LED 表示は視度差のためにただでさえ見えにくい上、 LED 部分の背景にマスク処理されていないので明るいところでは判別が困難なくらいになる。 Bessa-L と同じくシャッター半押しでオンになる。Pentax M シリーズのようにその状態を保持して貰えると良かったと思う。 巻き上げていないと露出計が動作しないのは親切なのかもしれない。
Bessa-L ではつかえてしまうロシア製の MP-2 20mm や Jupiter 35mm などが問題なく装着できる。 これは開発時からインターネットで情報を募っていた成果だ。私もこの2本について情報提供した。
ダイキャスト製のボディはやはり結構な重さがある。ボディの横幅は Bessa-L と変わらないが、 ファインダー部分の背が高いこともあって大きく感じる。 私はこのカメラを L マウントレンズ用の常用機として気軽な普段使いにしたいので、本当なら軽いほうが嬉しい。 もし、Bessa-L が距離計付きで一式とさほど変わらない値段であれば、そちらを選ぶだろう。 シャッターボタンや巻き上げなどの操作感は今一つスムースでない。 巻き上げが多少重い感じがするのはギア連動で通常と逆回転となった巻き戻しノブも関係していると思う。 ギア連動が避けられないのであれば、キヤノンの F1 のようにクラッチで巻き上げ時にフリーにできなかっただろうか。
安原製作所の WWW ページを見ると、一式の他に二式や Lマウントレンズの表示がある。その実体は今だ謎であるが、近いうちに発表と思われるので目が 離せない。コシナからは新しいレンズが発売され、 AE や距離計付のボディも期待されており、楽しみは増すばかりだ。
某カメラ関係掲示板の情報によると一式が既に中古市場に流れて、結構な値で取引されているらしい。 一式は限定生産品ではないのでプレミアが付くようなものとは思えないが、なかなか進まない供給を待ちきれない ファン心理もわからなくはない。私なぞは開発段階で勝手なリクエストを出したりしたに過ぎないが、それでも なんだか自分も参加したという意識があるので簡単に手放せるものではない。
田中長徳氏の「チョートクのカメラジャーナル」誌77号で安原一式が特集されている。
氏は予約申し込みをしているものの中古市場で二台の一式を入手したとのこと。このなかで
「一式はもともと、高度の趣味のカメラである。・・・・シロウト衆が手を出すようなモノではない。」
というような記述があるが、私はこの説に反対だ。
コシナからも各種Lマウントレンズが供給され、ロシアものの安価なレンズもそう珍しいものでなくなった現在、
一眼レフでない距離計連動機として安原一式はもっとも手軽なカメラである。今は供給が間に合っていないものの、
申し込みさえすれば誰でも入手することができるのだ。
それはともかく、古いレンズの使いこなしはなかなか難しい。現代の普通のレンズのつもりでいると半逆光でも
フレアやゴーストで悩まされることになる。まぁ、これがいやなら近年になって各社から発売されたLマウント
レンズやライカの高価なレンズを使えばいいのだが。
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