『三本指の男』
(1947-東横:B&W-82m.)


監督:松田定次 脚本:比佐芳武
出演:片岡千恵蔵、原節子、宮口精二、杉村春子

長らく観たかった一作。いったいどんな映画になるんだろうか、とはらはらしながらも結構オーソドックスな、と思わせて、なんか実は凄い事になっていた。
この原作は誰もが一度は読んでいよう有名なお話。英国でクリスティーを映画化すると誰もが犯人は知っているから後は配役の楽しみ、というのと同様である。


まぁ、ここでは何と言っても千恵蔵が金田一耕助を演じるという世にも意表をついたキャストがあるのだから。彼の演じた金田一は計6本にもなる。脚本はすべてが比佐芳武によるもの。これがたいした人物で、原作と映画作品は別のもの、を頑固に守り通した人であった。この作品でも原作を知れば知るほどあっと驚かされる趣向がいっぱい。よくもまぁ、と私も苦笑しながら観ていました。しかしそれにしても三本指の男....(言って良いですか?どうやって3本指になったんだぁ)!
お話と関係無い部分では、原節子の魅力をそのまま活かしたなんかほのぼのムードの作品であるのが特徴か。でも原節子ってこのようなスーツ姿になるとイングリッド・バーグマンを思わす共通項がある。背が高くて肩幅なんかもしっかりあるのがそうなのかな。これはわざわざ東宝からの他社越境出演である。

また、杉村春子、宮口精二の文学座面々の出演もあり。考えてみりゃ凄いキャストだな。真面目に作ろうとしていたのかな(それでこのオチかい!)宮口精二なんてすごく若いのに後年と声がそのまま同じなのがおかしかった(当然なんですけど)。これが磯川警部役ですか........うーむ.......なんか違う......
かつては横溝映画化作品はずーっとこの調子(日本式風光明媚田舎ハードボイルド探偵物)だったらしい。ATGの『本陣殺人事件』が出来た時は横溝正史も嬉しかっただろうな。


これも珍品の部類なんだろうか。

なお、題名を『本陣殺人事件』とできなかったのは当時の占領軍の指示だという.......