ユキコさんの事件簿1

2001年

 

義父の死

前日まで普通に庭仕事をしていた、93歳の義父が突然亡くなった。余りのあっけなさに周囲は呆然。しかし、義母ユキコさんの錯乱ぶりを前にして、義父の死のショックはどこかへふっ飛んでしまった。おとうちゃんを捜しに行く、と言って外へどんどん歩いて行ってしまうので、あわてて追いかける。連れ戻そうとしても凄い力ではねのける。仕方がないので諦めるまで私も後ろをついて歩く。

 


 

夫の死を忘れてしまうユキコさん

ユキコさんは何度も何度も何度も「おとうちゃんがいない」と言いに来る。
「亡くなったんですよ」と教えてあげると「えっ、いつ死んだの?」と目を丸くする。「2ヶ月前です。この間お骨をお墓に納めましたよね」「知らなかった。全然知らなかった」とつぶやきながら母屋へ帰って行く。でもまたすぐにおとうちゃんがいないと言いに来る。

 

 

 

食パンと卵

ユキコさんは、一人で買い物に行くと、必ず食パンと卵1ケースを買ってくる。一日に何回も出かけては食パンと卵を買ってくる。母屋の冷蔵庫は食パンと卵でいっぱい。入り切らなくなると「買い過ぎちゃったからもらってちょうだい」と持ってくる。

既に、我が家の棚にはユキコさんからもらった食パンと卵が売るほどあるんですけどね。