(56)2003/08/14
『Fanfare In the Garden
an Essential Logic Collection』

Essential Logic
加 KILL ROCK STARS◎KRS-399 2003


1970年代終盤から80年代初頭へ。
POST PUNK期のラフトレードを飾った
エッセンシャル・ロジックのアンソロジー。
ローラ・ロジックにやはり注目の一枚。
■名コンピ『Clear Cut』でも注目だったローラ・ロジック。

1981年に徳間ジャパンから発売された英国ラフトレード所属のアーティストを中心としたコンピ『Clear Cut』(RTL-5).。これは現在でも評価が高いアルバムのようだ。この稿を書くためにネットで検索をかけたら、取り上げている多くの方の意見がそうだった。もちろん、わても同様やったんである。

このアルバムはラフトレードと契約した徳間が、単独アルバム発売組とは別にガイド的な感じで同時発売したものだったが、その内容の濃さで傑作と言われるほどに粒が揃っていた。

その中でわてが最も愛聴したのは、元もとファンだったThe Red Crayolaの「Born In Flames」に、The Raincoats「In Love」、Delta5「You」、Robert Wyatt「At Last I Am Free」など。そして今回の主役であるEssential Logic「Music Is A Better Noise」(1981)だ。

まずタイトルが気に入った。“音楽は、よりマシな雑音”? いいロジックだと今でもわての座右の銘ですばい、この言葉は(爆)。当時も今も、よりマシな雑音というか、文字どおりノイズが好きなわてではありますばってん。

このコンピ内でわての気を惹きまくった「Music Is A Better Noise」でのEssential Logicの演奏は、ノイズどころか結構端正な演奏で整序されたイメージがあった。しかし、最も特徴的だったのはボーカルとサックスを担当していたローラ・ロジックの歌声だったのである。

これが、ぬぅあんとも不思議な声質なのだ。か細いながらも、透明感があって微妙に揺れるヴィブラート。存在感がある。『Clear Cut』にローラの写真は無く、どんな顔をしているか不明だったが、まずローラの声が、そしてサックスの歪んだ音が耳にこびり付いて離れなくなってしもうた。

その後、若干音楽の嗜好も変わってしまったために、Essential Logicのアルバムを買うことは無かったけど、この「Music Is A Better Noise」と「Born In Flames」は長く聴き続けていた。

■それから22年後に還ってきた、ローラのアンソロジー。

それから22年後、初めて巡り会うことになったローラ・ロジックの御尊顔が右である。結構、幼い感じの風貌。わては“逢えて”うれしかった。

雑誌『レコードコレクターズ』8月号をペラペラとめくっていたら、海外盤のコーナーに懐かしい名前を見つけた。Essential Logicのアンソロジーが発売になっていたのである。それがこのアルバム。

レーベルはカナダのKILL ROCK STARS。さっそく筑前の輸入盤店に問い合わせるが無ひ。そこでamazonへ。

CD化なった「Music Is A Better Noise」と「Born In Flames」を聴き直す。リマスタリングのせいか、音の粒立ちはいい。ローラ・ロジックのボーカルは、やはり独特の“美しさ”で迫ってくる。

ライナーを見ると「Born In Flames」のボーカルはローラ。しかし『Clear Cut』のライナーにそれはメイヨ・トンプソンとあって長年わての謎だったが、疑問が氷解する。だって、どう聴いても声質が違っていてトンプソンのハズが無いと思っていたのら。ま、どちらにしろ、この曲は名曲。ローラの声は美しいとまで思ふ。

◇   ◇   ◇

CD2枚組のこのコレクションだが、1枚目はラフトレードから出たアルバム『Beat Rhythm News』(1979)と『Pedigree Charm』(1982)からなり、2枚目はその後の80年代および90年代の作品や未発表テイクなどからなっている。

デビューシングルの「Aerosol Burns」は、インドの旋律(のよーにわてはイメージしたけど(爆))のような、ローラを象徴する奇妙なボーカルから始まるアップテンポの曲。あの当時を彷彿とさせるパンク的縦ノリに、思わず(T_T)。バックでモゴモゴと蠢くサックスの音が気持ちいい。

「Quality Crayon Wax O.K.」は、前半のダンスビートとして申し分の無いノリから、後半のサックス群の怒濤の咆吼へと展開して、現代音楽というかミニマルミュージック風にケリが付けられる当時らしい作品。ホーンのアレンジがなんともいい出来だ。傑作!

「The Order From」「Shabby Abbott」では、サックスの絡み方から見て、ローラの原点にRoxy Musicの影響を感じたりするのだが、詳しいバイオを知らないので確証はない。たとえそうであっても、Post Punk的Roxy Music解釈・再構成はとても成功していると思った。

10曲目にある「Music Is A Better Noise」。やはりデビューから3年の年月を経た曲なだけに、CDを冒頭から聴き進んでこれに当たると、その洗練度がさらに際立ってくる。といっても、妙に小綺麗になったという意味ではなく、演奏やボーカルが研ぎすまされて澄んでいる、というか。イントロのサックスのリフやオブリガード、ローラの美しいボーカル、どこを切っても名曲なのだと、しみじみ。

これが録音された81〜82年の時期は、ローラのボーカルにしても演奏のスタイルにしても、より静謐にタイトになった感じがする。

例えばインストナンバー「Tame The Neighbors」でのサックスとバンドのアンサンブルにしても、より構成が緻密になって展開の面白さが際立っている。わてはこの曲にCaptain Beefheartを重ね合わせてしまった。

タイトル曲「Fanfare In The Garden」や「Brute Fury」は、ローラの声の美しさが堪能できる曲。間奏でのエコーが効いたサックスの音がなんとも気持ちいい。後者は、まるで古い中国歌謡曲のような旋律に聞こえた。ローラの声が不思議な美しさを醸す曲だ、これは。

CD2では、ファンクの影響などもモロに窺えるが、驚いたのはSlapp Happyが演奏しているのかと思ったくらいに瓜二つな演奏スタイルのナンバーがあったこと。わてはマジにあの3人がやっているのかと思った(@_@;)。結構Slapp HappyやSparksあたりの影響も受けているのかもしれない。

やはり際立っているのは「Born In Flames」。メイヨ・トンプソンとのコラボだけど、トンプソンは不思議な人だ。こういうメロディアスな曲もしっかりとぶち込んでくれる。やはりローラのボーカルは、フェミニズムに関して歌ったというこの曲の主旨を含めて、最上の状況を創っていると思える。素晴らしい曲である。

■ローラ・ロジックは美しい、ひたすら。

というわけで、ローラ・ロジックの声について中心に見たけんども、やはりかつて感じた彼女の声質への印象は今回のアンソロジーという形で通して見ても、変わらない。とても魅力的なのだ。美しさ・・・と何度も書くけど、ひたすら美しいと思ふ。

ダグマー・クラウゼを結構聴いていたんじゃないかな、ローラは。同質の美を感じて仕方がない。Slapp Happyファンの方々にもお勧めやと思いますばい。

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