(55)2003/07/07
『THE CHRONOLOGICAL
JOE MORRIS 1946-1949』

Joe Morris featuring Johnny Griffin
仏 CLASSICS◎5057 2003


1940年代のジャズ〜R&Bの変遷を
垣間見させるジョー・モリスの初期作品集。
咆吼するジョニー・グリフィンの
ブローテナーが素晴らしい。
■やっと出てくれたか! ブローテナー好きにタマラン1枚。

1979年に日本WPから出たアトランティック・レーベルの初期、ロッキンジャズ系の音源を集めたコンピュレーション『ロッキン&ジャンピン』は、傑作だった。特に、ライオネル・ハンプトン楽団でトランペッターをやっていたジョー・モリスと彼のオーケストラの作品は、極めつけだった。

中でもジョー・モリスのバンドの看板スターだった、テナーサックスのジョニー・グリフィンのゴリゴリのブローにはぶっ飛んだ。モリスがハンプトンの元を離れて自分のバンドを組織したのが1946年、その時グリフィンはまだ18歳であったという。

まぁ、10代の若さで、野卑なまでに劣情をブリブリに刺激するかのような、荒々しいテナーをブローしまくっていたとは、凄い。当時の黒人の若い子たちの憧れでもあったというブローテナーのプレイヤー。グリフィンはある種アイドルでもあったんだろうなぁ。

ブローテナー好きはもちろん、ジャズからR&Bへの変遷を追っかける意味でも、まさに黒人大衆芸能&音楽の塊であるこの盤は、タマラン世界ですばい。

さて、このジョー・モリス楽団のリイシューやけんども、わてが知ってる範囲では1980年代のはじめにスウェーデンのサキソフォノグラフからグリフィンをフューチャーした同音源がLP化されたが、わては入手ならず(悔しかったぜ)。

最近、あるレコード屋さんを覗いていたら、この盤があった。うれしかったねぇ、ほんと。もちろん即買い。20年来の宿願を果たす機会が転がり込んできたとは、縁起が良か。さすがにリイシューでは定評あるフランスのクラシックスさんがやってくれました。モリスの独立後からアトランティック以後の1949年までの音源を録音順に、一気に収録してくれたとは、まじに(T_T)。

■熱いじぇ、グリフィンのブロー。和むじぇ、モリスのボーカル。

肝心の中身だが、冒頭でも書いた様に、ジョニー・グリフィンの豪快にブローするテナー、これがまず注目。それにしても、グリフィンがコキまくるこの馬のイナナキのような、サックスの軋み加減、燃えますなぁ〜。

時折チャーリー・パーカーのフレーズを薬味代わりに入れたりというお遊びもあるが、基本は破壊力抜群のブローが魅力なのでありまする。

1946年マナー・レーベルでの初録音「Fly Mister Fly」。曲調はスモールコンボということもあってバップに近いムードだが、グリフィンのノリの良いフレーズはもうR&Bの臭いがプンプンなのである。当時の黒人聴衆がこれを聴きながら飛び跳ねていたんだろうね。

アトランティック時代では、「The Spider」、「Weasel Walk」や「Boogie Woogie March」での、サックスも捩れろ!とばかりの音の軋み具合が豪快! やっぱテナーはブロー&ホンクでなけりゃ、って感じですにゃ〜。グリフィン、ひたすら熱いわ!

同じくアトランティック音源では、バップ色が顕著な作品もあるが、よりR&B色が強まってくるのが解る。1947年録音の「Low Groovin'」、独自のダンスステップがくっついていたと予想される「The Applejack」などでは、バンドアンサンブルのリフが主体で、よりロッキン度が高い出来だ。さすがにアーメット・アーティガンは目利き、というべきか。

さて、グリフィンと並んで、もう一つのお楽しみだが、それはジョー・モリスのボーカルぬぅあんである。

モリスのボーカル曲は、先の『ロッキン&ジャンピン』にも収録されたわての大のお気に入りの一曲「Wow」に始まり、この盤全26曲中で10曲を数える。

まぁ、それだけ売りでもあったんだろうけど、このモリスの声、これがなかなか味があって楽しめる、和めるのだ。

たしかに左写真でも解るけど、モリスさん、憎めない人って感じがする。ボーカルのスタイルも、上手いシンガーではないけど、味わいがあるんだにゃ〜、これが。

バップスキャット風、というか叫びボーカルの「Wow」のノリが極めつけだが、同じくスキャットのフレーズをまんまタイトルにしたような「Bam-A-Lam-A-Lam」での癒し具合もエエ感じ。モリスさん、ほんにいい味出してますよ。

1949年になるとブルース調の切々としたスタイルも出てくるが、わてはやはりバックバンドとの掛け合いを交えたバップ調のボーカル曲に軍配ですにゃ。

またルイ・ジョーダンと同名曲で、おなじ様な掛け声が入る「Beans And Cornbread」だが、作者はモリス自身。これっていったい? この曲ではモリスのボーカルと共に、グリフィンのテナーも吠えまくっている。

■俗だからこそ、いい! 大衆さ横溢のロッキンジャズの魅力。

というわけで、ジョー・モリスのこの盤、クラシックス・レーベルの「ブルース&リズム・シリーズ」という企画の最新盤として登場した。このシリーズは、他には有名どころのブルースシンガーやギタリスト、R&Bのミュージシャンが顔を揃えている。

そういう意味ではこのジョー・モリスの位置付けも解ろうというもの。ライオネル・ハンプトンはジャズの正史にもしっかりと鎮座しているが、モリスは表だって取り上げられることは少ないだろう。確かに正史からすれば、俗である。

しかし、ハンプトンがイリノイ・ジャケーのテナーによって「Flying Home」で爆発させた黒人大衆との息の合わせ方、それをしっかりとモリスが受け継ぎ、また拡大発展させたという印象がわてにはする。野卑なノリ一発! それが魅力だ。

俗なロッキンジャズ・・・だからこそ素晴らしい! 

とことん大衆的なムードをぷんぷんと発散させているこの盤、本当にこれは傑作ですばい。

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