(52)2002/11/23
『Our music is red - with purple flashes』

THE CREATION
日MSI◎MSIF-3591 1998


1960年代・イギリスのモッズバンドのひとつ。
本国ではまったく日の目を見なかったが、
後々まで信者を増加させ続ける強力な演奏が魅力。
■さすがに『Nuggets II』でオープニングの、破壊力。

昨年買った、有名なライノのコンピレーション第2弾『NuggetsII』(写真左下)。このCD4枚組にはイギリスやその連邦国を中心に、中南米や日本まで含めて、1960年代のある種稚拙だが、それ故に個性的で凶暴な楽曲群が詰まっている。

わてがずっと聴き続けて来て、その中で現在最も入れ込んでいるのが、この4枚組・全109曲ある中で、堂々1枚目の冒頭を飾るTHE CREATION「Making Time」であります。

CREATIONは、このセットの中で他に2曲も取り上げられるなど、注目度が高い存在だが、この曲、さすがに大コンピの冠を取るだけのデキである。

とにかく、ギターのカッティングの歯切れの良さ。そしてどうやって弾いているのか解らないが、「キュキュキュキュキュキュ」という摩擦音、全体的にギターの音がド分厚いのだ。

そしてソロ。どーしてこんな騒音がギターから弾け出すのか? グワン!グワン!と体が左右に揺れまくってしまった。鉄の暴風ならぬ、「ギターの暴風」に降参した。かっこええ、この曲。

もうどーしようもなく、「Making Time」は傑作である。曲も良いが、エディ・フィリップスのギターが素晴らしくノイジーでアグレッシブ、その凶暴さ加減がタマラン!!

4枚セットを一通り聴いてみたが、やはりこの1曲に惹かれて、リプレイ一本の日々であった。が、先日ショップに行くと、単独盤があったので購入してみた。欲しかったっ。

■ヴァイオリン・ボウ奏法の元祖だったエディ・フィリップス。

当CDの解説を見て驚いた。なるほど、ヴァイオリンの弓で弾いて、あの騒音を出していたんだなと。当然、わてらのようなオールドファンが思い出すのは、ジミー・ペイジ。日本盤襷にも「ジミー・ペイジに多大な影響を与えた・・・」との釣書があった。

確かに奏法をパクるのはペイジらしいとは言え、方向性はまったく逆だよなぁ。

ペイジのは、ヤードバーズのNYアンダースン・シアターにおけるさよならコンサートでの「I'm confused」とかZepの1stとかで聴いてはいたけど、キレイ過ぎるっていうか。

ペイジについては、奏法自体をマネしても、基本精神が別なところにあるような気がする。やはりペイジは商人である、という昔のML「HE SAID SHE SAID」風結論(^_^;)

オリジナル奏者のエディとは、これまた雲泥の差なのだ。ここまでフリーキーな表現を、西欧古典音楽楽器の弓を使ってヤルこと自体に彼らの主張があったと見るが、如何か?

現代美術、POPな世界がとても好きだったらしい。

ステージでアクション・ペインティングをやるというパフォーマンスを展開していたらしいし、このCDのジャケもジャクスン・ポロックの「ドリッピング」風の背景である。特にエディの破壊力あるギターに漂う衝動性や偶発性には、その辺りが強く影響しているだろうな。まさにアクション・プレイイング。

何はともあれ、エディ・フィリップス、素晴らしいギタリストである。う゛やぁ〜おりんの弓が欲しくなっちゃったじょぉ〜。

■過激表現を極める名演の数々を堪能する・・・。

先の『NuggetsII』とこの盤とのダブリは、3曲。それぞれの冒頭を占める「Making Time」、2ndシングル「Painter Man」のB面「Biff Bang Pow」、そして「How Does It Feel To Feel」。

一通り聴いてみると、『NuggetsII』未収録の作品もエディの暴風音が炸裂している名演の数々が目白押しであった。

当時はThe Whoのマネっ子と言われたらしいが、確かに1stのB面「Try And Stop Me」や先の「Biff Bang Pow」などは、その影響が窺える。両曲ともモッズらしい味わいで、エディのギターのカッティングは鋭く気持ちいい。腕は確かである。

とはいえ、「Making Time」や「Painter Man」、「Nightmares」「How Does It Feel To Feel」で展開されるギターの暴音はもう、独得の世界だ。特に「Painter Man」のギコギゴと鳴り響くトーシロ・ヴァイオリニストぶり。これを騒音と感じるか、気ん持ちイイ〜と感じるか、リスナーに二者択一を迫ってくる。もちろん、わては後者。

ノイズそのもののブレンド具合の差を試験薬的に教えてくれるのが、「How Does It Feel To Feel」のアメリカ・イギリスそれぞれのヴァージョン違い。リミックス次第でどー変わるかの見本として、ぜひお聴き比べいただきたい。

『NuggetsII』の選択、そして日本でCREATIONについて触れていらっしゃるサイト管理者の方のご意見も拝見したが、やはりハウリングや弓のノイズが、脳髄にキンキンに冷やしたビールの様に凍みるUSヴァージョンにトドメであろう。ノイズぶりぶりでこれまた傑作。

やはりこのバンド、ギターが暴風でなくちゃ魅力がない。

◇   ◇   ◇

というわけで、エディ・フィリップスというギタリスト、かつてニューウェイブ好きで騒音派だった諸兄にもお勧めの人であります。

いやぁ〜、音が気持ちエエ。そしてエディさん、カッコええ。とにかくわて、ベタ惚れのプレイヤーでやんす。また聴こ・・・「Making Time!」

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