(40)2000/09/10



『PSYCHEDELIA AT ABBEY ROAD 1965〜69』

 VARIOUS ARTISTS
 英EMI◎7243 496912 2 3 1998


 1960年代後半のブリティッシュ・ロック界に吹き荒れた
 サイケデリック・ムーブメントのEMI音源によるコンピ。
 あのアビーロード・スタジオで録音されたサイケの集大成。



■名盤『MY GENERATION』が教えてくれた英国サイケの味。

 1977年やったか、東芝レコードは『必殺のブリティッシュ・ロック』なる仰々しいタイトルのシリーズを発売したったいねぇ。

 クォターマス、サード・イヤー・バンド、シド・バレット、プリティ・シングス、クリス・スペディング、ケヴィン・エアーズなんちメンツ見たら解るとおり、1960年代後半から70年代初頭の、もぉ〜“渋渋”のメンツを再発したシリーズやったけど。

 さて、わてはそのシリーズではほとんどアルバムを買わんやったけど、唯一買ったのが、そのシリーズのダイジェストとも言うべきコンピュレーション盤『MY GENERATION』(日 東芝●EMS-80860 1977 写真下)

 このアルバムを買ったのは、もともとB面トップに入ったヤードバーズ「幻の10年」が目当てやったのが、他のサイケな曲の方に気が惹かれてアルバム自体が好きになってしまって。このアルバムはサイケ有り、R&Bありと、60年代後半のEMI音源のややメジャーからマイナーを混ぜた名盤でしたにゃ。

 先のヤードバーズ以外では、ロッド・スチュワート、トニー・リバース、トゥモロー(S・ハウ在籍)、ジ・アクション、テリー・リード、アートウッズ(J・ロード在籍)、ダウンライナーズ・セクト、ザ、ロコモーティブ(C・ウッド在籍)、ザ・ショットガン・エクスプレス、ラブ・スカルプチャー(D・エドマンズ在籍)などなど豪華どころを揃えたラインナップ。

 たしかに曲自体は玉石混淆、雑多ではあったけんども、MY GENERATIONというタイトル通り、あのスィンギング・ロンドンの時代の熱気が伝わってくる、そげな盤でありんした。

 さてこのアルバムの中で最も気に入ったのが、トゥモローの「MY WHITE BICYCLE」(1967)。間違いなくジミ・ヘンドリックスの「ARE YOU EXPERIENCED?」の影響をもろに受けて作られたような作品。とはいえ、これはもう英国サイケの名作中の名作と太鼓判ですばいね。

 高校生のわてはサイケ臭ぷんぷんのこの曲を聴いて、初めて“JOURNEY TO THE CENTER OF THE MIND”への扉を開かれましたですにゃ。

 というわけで、同じEMI音源のサイケばかりを集めたコンピュレーションが、その『MY GENERATION』から21年後に再度届けられた訳であります。  


■“目玉”は意外にも、非サイケの某バンドだったりする^^;

 さて、この『PSYCHEDELIA AT ABBEY ROAD 1965〜69』なのじゃが、全22曲収録のお得盤でありんす。

 曲では、先のトゥモローの「MY WHITE BICYCLE」が当然ながら2曲目に再収録されている。単独アルバムでは1999年にリマスター&未収録曲入りの決定盤が発売(『TOMORROW featuring Keith West』 英EMI◎7243 498819 2 1 写真左)されて、ファンを喜ばした。

 「MY WHITE BICYCLE」は逆回転のハイハットの音に、スティーブ・ハウのシタール風ギターが絡む、もろサイケデリックな造り。プロデューサーは、本CD解説に“PSYCHEDELIC SOUND WIZARD”と敬意を奉られるマーク・ワーツ。何度聴いても素晴らしい出来。

 盤一曲目はドノバンの大ヒット作「SUNSHINE SUPERMAN」(1965)。これも名作ですにゃ〜。とにかく曲もアレンジも最高。ダルなムードがたまらんです・・・とクレジットを見ると、プロデューサーは後のロンドン・ポップの大商人=ミッキー・モスト。このキャッチーな音造り、さすがモスト、と感心っす。

 あと、ホリーズやプリティ・シングスが、シタールぶりぶりの正調サイケを聴かせてくれたり、ザ・ノクターンズなるグループが、あのフィフス・ディメンションの「CARPET MAN」をほぼオリジナルまんまの状態で聴かせるというお茶目を見せたり、なかなか楽しめる盤である。(ん〜ん。「CARPET MAN」を聴いていたら、またフィフス・ディメンションを聴きたくなってしまった^^;)

 『MY GENERATION』とのダブリでは、トゥモローの他には、ザ・モールズ「WE ARE THE MOLE」、ロコモーティブ「MR.ARMEGEDON」と少な目。この「MR.ARMEGEDON」もサイケ云々はともかく名曲。ワウワウを効かせたハモンド・オルガンに、単純なフレーズながら不思議さを醸すブラス・セクションが響きわたる、異常に耳に残る曲。おすすめです。

 さてこの盤の最大の目玉は、これである!

 同盤3曲目に収められたTHE N'BETWEENSなるグループの「DELIGHTED TO SEE YOU」(1967・未発表)。わてにとっては、この曲が盤最大の“目玉”になりましたにゃ。そのTHE N'BETWEENSだが、左がその写真なのである。

 これは70年代前半にトップ・グループとなるあのSLADEである。写真は1967年にロンドンに出てきたばかりの姿だった。スキンヘッドにイメチェンする以前の若き日のSLADEの勇姿・・・。前列のドン・パウエルとノーディ・ホルダーの終始一貫変わらぬ“おやぢ顔”、対して後列デイブ・ヒルとジミー・リーの“童顔”を見つけた時は、思わず涙が出たじょ(T_T)。

 曲は、サイケというより、ビートルズ風のコーラスとメロディが印象的なポップな作品。友人に聴かせると「まるでバブルガム・ロックだ」という感想が返ってきた。作詞作曲が他の作家なのが残念だが、SLADEの貴重な記録であることには変わりはない。


■さすが大企業EMI作品。ちと大人しいか^^;。

 この盤、中身の濃いコンピとは言え、比べるのも変な話だが、同時期のアメリカン・サイケと聴き比べると、ちと全体的に大人しいのら。

 やはりイギリスでは最大手のEMIという血筋の良さか、また環境の整ったアビーロード・スタジオという好条件下が逆に災いしたのか、はたまた紳士の国ゆえか(爆)。アメリカのガレージ系と比べると、極めて“品が良い”のである。

 アメリカは国土が広い分、昔から各地でインディー・レーベルの活動が盛んであり、地方ならではの過激な表現がほとばしっていた。そこがやはりイギリスとは土壌の違いかな、と思ったりもする。

 そこが、過激音が好きなわてとしては、いまひとつ食い足りないところではある。

 まぁ、EMIはあのセックス・ピストルズを抱えきれずに「EMI」なる皮肉な唄を奉られた会社だから、しゃーないか(苦笑)

 パンク誕生の影に、先の『NUGGETS』や、キャプテン・ビーフハート、MC5、ストゥージス、ニューヨーク・ドールズらのアメリカのアグレッシブな連中が大きな影響を与えていたことを考えると、「大人しさ」故にイギリス・サイケの後代への影響は小さかったと思える。

 やはり、60年代という時代に咲いた徒花ってところかな、イギリスのサイケは^^;

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