(36)2000/07/10



『SISTER ROSETTA THARPE』
 Complete Recorded Works
 In Chronological Order
 Volume3(1946〜1947)

 SISTER ROSETTA THARPE
 オーストリアDocument◎DOCD-5607 1998


 ギターを持った渡り尼、シスター・ロゼッタ・サープ、
 脂ののりきったコンプリート第3弾。
 コンボを従えたノリノリのゴスペルが快感。



■サープはコンボ演奏がいちばん素晴らしいのだ。

 シスター・ロゼッタ・サープについては以前書いたけんども、今回はそのコンプリートシリーズの第3弾「1946〜1947」。サム・プライス・トリオを従えたコンボ演奏および女性ゴスペル・シンガー、マリー・ナイトとのデュエットが中心となっている。

 このコンボ演奏とデュエットが、サープの中では最も好き。いい出来である。

マリー・ナイト(左)とサープ。
レス・ポール(ゴールドトップ?、シングルコイル)の
最初期のモデルを手にするサープのお姿。
カッコイイとしか言いようがない(T_T)

 好みの問題ではあるが、わては初期のカントリーブルース・スタイルの弾き語りよりも、サム・プライス・トリオ(p,sb,dr)がバックに付いたこの盤の演奏群の方が、断然ノリがよくジャンプ感覚があふれまくりで、マストだと思っているっす。 

 曲では、オムニバス『The Gospel Sound Of Spirit Feel』にも収録された「Cain't No Grave Hold My Body Down」、ナイトとのデュエットでビルボードのチャートにもランクされた大ヒット「Up Above My Head I Hear Music In The Air(頭上高く楽の音ひびく)」、そしてスタンダード「Didn't It Rain」が最上の出来。

 これら3曲はもちろん他の曲にしても、どこかR&B的なムードが漂っていて体がウキウキしてくる。VOL.1からVOL.3へ、ギター弾き語り→ジャズ・オーケストラ→コンボと演奏の形態が変化しながら、サープのスタイルが時代とちゃんとリンクしているのが分かる。聖と俗の境界線を自由に行き来しているかのようなサープ、その音楽の生命力は強靱である。  


■大道芸的な迫力が凄い、サープのギター・ソロ。

 わてがサープに御執心なのは、甲高くシャウトする声質とともに、ギターソロのなんとも素朴な、力強さ溢れるフレージングも大きな理由ざんす。

 あまりブルーノートは使われず、どこか明るい感じがする音選び。単弦の場合は素早くスケールを上下し、コード分解の和音を力強くかき鳴らす・・・というサープの基本スタイル。どの曲でも同様の展開なのだが、これが“サープ節”ともいうべき唯一無二のムードを持っている。

 日本でいえば、津軽じょんがら節のあの三味線のアタックの強さを連想してしまった。通行人の耳を惹き足を止めさせるために生まれた津軽三味線の強力なフレージングと、迷える魂をがっちりとつかんで天上へと導くサープのギターの力強さになぜか同質のものを感じてしまうのら。

 もともとサープのスタイルは、大道で声を張り上げギターをかき鳴らし、道行く人を留め浄財をいただく“エヴァンジュリスト”の系譜を引いている人。まさに街頭での“つかみ”が出来るかどうかで日々の糧が決まったという芸の厳しさ、その伝統がサープのパワフルな歌とギターに脈打っていると思う。

 ブルース〜ジャズ(スウィング)〜R&B〜ロックという黒人大衆音楽の流れにしっかり歩調を合わせられるサープの順応力の高さ。これも“エヴァンジュリスト”という原点のなせる技かもしれないにゃ。


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