(3)1999/08/07



『Let's Ondo Again』'78 Original Master
 Niagara Fallin' Stars
 日Sony◎SRCL3502 1978(Reissue 1996)
 大滝詠一師プロデュースによる、音頭物の集大成盤。
 洋楽の受容と模倣、そして和との融合から始まった日本オ リジナルソング史の金字塔。



■大滝詠一師の音頭物は、日本の財産である!

 大滝詠一師には最初まったくと言っていいほど関心がなかった。アメリカンポップスからの影響を上手い具合に日本ナイズさせた曲を作るな、程度の気の留め方でしかなかったのである。CMソングのヒットも、わてにとっては遠い世界のこと。「興味ねぇ〜なぁ(-。-)y-゚゚゚」

 ところがこの“うつけ者”の蒙が拓かれたのは、1982年のこと。『Niagara Fall Stars』(日Sony◎32DH506/1986 左画像) の元となるLP『Niagara Fall Stars』(1981)を、兄貴の頼みで録音した時である。当時私が社員として務めていた大手某電器量販店のオーディオ売場で売り物のLPを黙って使い、展示のプレーヤーとカセットデッキでテープに放り込んだ・・・。

 さて、兄貴の命令で入れたのだが、ハマったのは私のほうだった。オーディオ売場に流れる音頭の響き・・・上司からキツイお咎めを受けた。そりゃそうだ、オーディオ売場は音を売るところ、デモも高音質のクラシックかジャズが相場である。そこに音頭とはね(今考えると冷や汗もの(#^_^#))

 というわけで、想い出話はこれくらいにして、表題の『Let's Ondo Again』。これは日本オリジナルソング史上、特筆すべき名作なのだ。

 オリジナルは78年の発表、先の81年のLPではパピラポパ大野氏によるリミックス版が収録されていた。わてが聞いたのは、この81年版が先。78年のオリジナル版は96年に両方のヴァージョンが入ったこのCDで初めて耳にした。
 原曲はツイストの王様、チャビー・チェッカーの大ヒット曲「Let's Twist Again」だが、それと大滝師自作の「ナイアガラ音頭」を組み合わせたもの。曲誕生の裏話はライナーに詳しい。

 両バージョンを聞き比べると曲の深化の具合に驚くのである。特にイントロの楽器入れ替えのもたらした意味は深い、いや深すぎる。それぞれの「Let's Ondo Again」のイントロは下記のような構成になっている。

■78年バージョン:
オーケストラ(軍艦マーチ風メロ)→ギター(お座敷音楽風囃子)→キーボード(明治期軍楽隊風メロ)→スティールギター(ハワイアン)

■81年バージョン:
オーケストラ(軍艦マーチ風メロ)→三味線(お座敷音楽風囃子)→(明治期軍楽隊風メロ)→スティールギター(ハワイアン)


 わてが凄いと思っているのは、江戸〜明治〜大正〜昭和戦前期までの日本の洋楽受容の歴史を俯瞰的に再認識させるかのような、このメロディーの選択。三味線から軍艦マーチまで、幕末から現代までの日本ポピュラー音楽史を一気にこのイントロ部分に圧縮している。
 そして、81年版では、不明瞭だったギター・キーボードのパートを三味線と笛にリプレイスして、その意図をさらに明確にしているのだ。イントロ部分だけでも、81年版の方に軍配が上がる。

 コーラスに入ると、イントロの歴史的俯瞰を踏まえて1960年代の「Let's Twist Again」のパロディーが展開される。「ナイアガラ音頭」ナイズした歌詞が爆笑を誘う。ボーカルは布谷文夫、名唱である。合いの手、三味の音締めも美しく、East Meets Westのオリジナルソング、その一つの頂点がここに示されている。隙のないアレンジ・・・非の打ち所がない作品とはこういうものを言うのであろう・・・と断言したい。

 表題曲の他にも「アンアン小唄」「禁煙音頭」「呆阿怒哀声音頭」など名曲揃いだが、これらの与えた影響は決して小さくない(と、信じている(笑))。東西融合の“正しいお付き合いの仕方”は、それ以後の日本のポピュラーの底流にマグマのように流れているし、少し以前ではフードゥー・フシミなどにその“噴火”をみたのだが。現在では・・・・・・、淋しい限りなのら( ̄▽ ̄;;

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