(22)1999/11/20



『LET ME OFF UP TOWN』
 Anita O'day With Gene Krupa Orch.
 米 COLUMBIA/LEGACY ◎ CK-65625 1999
 白人女性ジャズボーカル界で人気の高いアニタ・オデイの
 ジーン・クルーパ楽団(1941〜1945)時代の録音集。
 黒人トランペッターのロイ・エルドリッジとの掛け合いが
 ブラックなフィーリングを醸す“COOL”な快唱の数々。



■美しいアニタに“ほの字”・・・というイコノロジー。

 アニタ・オデイは、わてのアイドルなのである。

 彼女は1919年生まれ、現在80歳なのである。・・・と言っても、もちろん80の婆ぁ様に熱を上げているわけでは、断じてない(フケ専やないちゅーの)。1942年?に奇跡的に残された芳紀21歳の美しいアニタの“聖像”にぞっこん、なのである。

 アニタの美しいお姿と言えば、日本の古株ジャズファンには、1959年に公開された映画『真夏の夜のジャズ』(HERALD LD SRLD-1973)が一番有名らしい。当時39歳の、なんともまぁ〜アニタの熟れきった大人の容姿を堪能できるのである。・・・もちろん、わてもじっくりと拝んでいる(爆)。

 さて、21歳というアニタの女性として最も美しい季節を記録した聖像とは、「SOUNDIES」フィルムである。時折ご紹介しているが、1940年代前半に流行したフィルムと音がセットになったジュークボックスみたいな機械のための映像なのだ。

 アニタはこのSOUNDIES用フィルムに、わてが知っている範囲で2曲を残している。当時ジーン・クルーパ楽団に在籍していたアニタは、同バンドの代表曲である「Let Me Off Up Town(1941)」、それと「Thanks For The Boogie Ride(同)」で素晴らしいボーカルとお姿を披露する。

 特に後者では曲の中盤、車のイラストの小道具を手にアニタがステージに登場、それを警官姿の男性ダンサーが交通違反で停止させるという見立てで、ダンスシーンが挿入される。

 キップを切られそうになると、アニタがフレアのスカートを手でひらひらさせて警官の気を惹く・・・というところからアニタが手を取り合ってダンスとなるのだが。そのスカートひらひらのアニタが、なんともまぁ〜色っぽいんである(#^_^#)。

 この色気・・・他の白人女性ボーカリストには感じない、何かがある


■アニタとロイの掛け合いがもたらしたブラックネスの濃さ。

 さて、その何か、なのだが・・・。アニタとの最初の遭遇は、先の「Let Me Off Up Town」をSOUNDIESフィルム集『スウィング・スター・オン・パレード 第3集 ビッグバンドのスターたち』(BGM LD BVLP-47)を7年ほど前に買って見たときだった。

 これがまぁ〜、白人バンドらしからぬ、なんとも黒人的なフィーリングにあふれたいい演奏と歌だった、のである。

 当時ジーン・クルーパ(左画像の右)楽団には、黒人トランペッターの名手ロイ・エルドリッジが招かれており、ひと味違うソロを披露していた。そして「Let Me Off Up Town」「Thanks For The Boogie Ride」両曲で聴けるアニタとロイのボーカルの掛け合いも同楽団の大きな売り物だったという。

 アニタのボーカル・スタイルには「COOL」「HIP」などの形容が与えられることが多いし、あとで御紹介する別CDのライナーにも同様な記述が見える。

 しかし、ビリー・ホリデイやエラ・フィッツジェラルドなど比較すると、COOLに聞こえながらもそのCOOLさにブラックさを感じる、という逆説的な印象をアニタには覚えてしまうのだ。特にロイが絡んだ先の2曲は、とても白人バンドとは思えない“ねちっこさ”が漂う。

 先のLD集に収められた他の白人スィングバンドのほとんどが、リサイクルショップでさえ引き取らないだろう、現在ではまったくガラクタ以下に風化している。その中でアニタとロイ、そしてクルーパ楽団の演奏は今でも充分聴くに堪えるクォリティを保っている。(ま、白人で聴けるのはスタン・ケントンとスパイク・ジョーンズくらいか)

 これはやはり、アニタのCOOLなブラックさとロイの濃厚なブラックさがうまく誘発しあった結果ではないか?というのがわての結論である。  


■大同大異!・・・COLUMBIA盤とPAVILION盤の比較検討。

 さて、アニタのクルーパ楽団時代の録音はなかなかCDを見つけられなかったが、1996年に英PAVILIONから『Let Me Off Up Town』(◎TPZ-1046 左画像)が発売されて、やっとわても入手できた。

 長らくそのPAVILION盤を愛聴していたのだが、今年になってアメリカから発売になったのが、今回のテーマとして掲げたCOLUMBIA盤の『Let Me Off Up Town』である。まずジャケットの良さに惹かれて、曲のダブリも気にせず購入と相成ったのだが・・・

 う〜〜〜ん。比較していただくとわかるけど、そりゃCOLUMBIA盤のジャケットの方がいいのよねぇ〜〜。曲がほとんど同じだろうとなんだろうと、懲りずに買ってしまうところが“”たる所以なのである。

 さて。後発の今回のCOLUMBIA盤は、先のPAVILION盤とはジャケット以外にも大きな差がある。それは・・・

●COLUMBIA盤では18曲収録。PAVILION盤の22曲と比較して大幅減
(SONY(発売元)のケチ!)
●COLUMBIA盤には、PAVILION盤にない「Barrelhouse Bessie From Basin Street」を収録。
●COLUMBIA盤では、格段に音質が向上。
●「Thanks For The Boogie Ride」がなぜか別テイク。
●曲順がPAVILION盤ではディスコグラフィカル・オーダー(録音順)。しかしCOLUMBIA盤はバラバラ。

(これはマイナス点)

 この中でも最大の喜びは、今回のCOLUMBIA盤で音質が格段に向上したこと。さすがに「デジタル・リマスター」とシールを貼っているだけあって、音の粒立ちがくっきりすっきりと良くなった。バンド・アンサンブルの細かいところまで聞き取れる。

 そして最大の謎は「Thanks For The Boogie Ride」の別テイク。どちらのライナーにも“CO 31802-2”と2ndテイクを表す同じマトリックス番号が記載されている。なのに、明らかにロイのトランペット・ソロが違っていて別テイクなのだ。ライナーは誤植なのか?

 お勧めとすれば、やはりCOLUMBIA盤か。音質優先!だね。さらにCOLUMBIA盤では、PAVILION盤に入っていた間抜けな白人男性ボーカルの曲が削除されてるから、相対的にアニタ度が高まって満足、ということも言える。

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 と、まぁ、いろいろと書いてきたが、アニタは美しいのである。好き好き!
(結局、これが結論( ̄▽ ̄;;)



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