Stair to Seven
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 彼女は、出かけようとして玄関まで来る。昨日からの雨がまだ止まない。
 買ってもらったばかりの黄色い長靴を履こうとしてびっくりする。
「ママー!」彼女は大声で叫ぶ。
 返事がないので台所に駆け戻った。夕飯の支度をしている母の背中を見上げる。
「ママ! 私の長靴、ポッコがかじっちゃった!」彼女は訴える。
「まあ、本当?」母は驚いて、一緒に玄関まで来てくれた。
 片方の長靴に穴が開いている。母はもう一度、「まあ!」と声を上げた。
 二人は外に飛び出していく。雨は小降りである。
 ポッコは庭の片隅に座っていた。耳を下げ、尾を下げている。貧相な犬だ。
「ポッコ!」母は厳しい声で彼の名を叫ぶ。
 ポッコは地面に口を近づけ、口を開けて変な声を出した。
「あ! ママ、ポッコが・・」彼女は目を逸らす。
「もう、なんでも食べるからよ!」母は呆れた声で言った。



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