Stair to Seven
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 女の子の黄色い長靴の横を走り抜ける。
 トラックが水しぶきを上げて近づいてきたとき、猫は一瞬立ち止まった。
 彼は、次の瞬間にはそこから消えていた。

 これで、7度目だ、と彼は思った。
 自分の名前も忘れてしまった。どうせ人間たちが勝手につけた名前だった。

 気持ちのよい空間。暖かく、軟らかい。
 彼は喉を鳴らして、目を細める。

 ここが一番いいや。

 だいたい、どうすればここへ戻ってこられるのか、わかってきた。7回も同じ目に遭ったからだ。ここは周囲に誰もいない。それが、また気持ちが良い。他の者がいるなんてこと自体、居心地が悪いのだ。

 彼は、そのまま、久しぶりに、本当に眠りについた。




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