そもそもトルコのオイルレスリングは、650年前のオスマントルコ帝国の進攻において、戦中のトルコ兵士の余興として始まったようです。
エディルネは鬱蒼とした森林に通る川のほとりに位置し、エディルネの郊外約2キロ、その川が二つに分かれるところに、競技が開催されるKirkpinar(クルクプナル)があります。
いくつもの泉が湧き出る美しい土地で、進攻に疲れた兵士たちの休息の場となったことは想像に難くありません。
実際にKirkpinarとは、kirk(40の)pinar(泉)という意味です。
ちなみに、トルコで40という数字は、九十九里浜の九十九のようなもので、「とにかくたくさんの」というニュアンスがあります。
トルコのことわざに「1杯のコーヒーが40年の(kirk yil)思い出になる」というのがありますが、ここでの40年は「生涯」と訳されます。
話が横道にそれましたが、この地で兵士たちは暇つぶしに取っ組み合いを始めました。
日の出とともに始め、日が暮れるまでやっていたそうです。
夜通し戦っても勝負がつかず、ついには力尽きて死んでしまった兵士がいるといわれ、彼らの埋葬地から湧き出た泉がKirkpinarの地名の由来であるという伝説があります。
のちに、大会として、総当たりで初代チャンピオンが出現したときから、毎年のレスリングコンテストは開かれています。
1999年度の大会は第638回です。
19世紀の終わり頃、バルカン戦争ですでに敵軍がこの地に迫っていたため大会を開催できない期間があったわけで、だから650よりいくらか少ない数字になっています。
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