2塁側自由席 07/2003

(日記のようなもの)


(7月31日・木曜・35打席目)


四字熟語の誌名に弱い



tragedy and comedy


■二、三日前の新聞に載っていた、雑誌の広告に目がとまった。『悲劇喜劇 9月号』と
ある。出版社は早川書房。以前にも誌名を見たことはあるような気がするが、手にとって
みたことはたぶんないかなぁ。公演中の「ハムレット」で野村萬斎さんとも共演されてい
る、色っぽくてユニークな俳優・篠井英介さんのインタビューや、演劇企画集団・THE
ガジラの鐘下辰男さんによる戯曲「アンコントロール」も掲載されているという。どちら
の舞台も見逃してしまったけど、かなり読んでみたい内容だ。ん? なになに、8月7日
発売だって!? ってことは、まだ出ていないわけか。店頭に並ぶ一週間以上も前に、新
創刊でない雑誌の広告を新聞に打つこともあるんですね。ま、それはともかく、『悲劇喜
劇』という四字熟語(熟語じゃないけど)に、思わず目を奪われてしまったわたくしです。


(text and illustration : Yasuhiro Ohkura)



(7月30日・水曜・34打席目)


「道」と名のつくこと、やったことありますか



budo-no-tatsujin


■最近、知人のお子さんが空手を習っているという話をうかがった。どこでですかと聞い
たところ、倉田保昭さんのところです、とのお答え。あのー、うちのわりあいそばに、倉
田保昭さんの道場があるんですよね。僕も前を通るたびにいつもちょっと気になっていま
した。伝説的なドラマ「Gメン75」にレギュラー出演されていたころから、倉田さんと
いえば日本のアクションスターの代名詞のような存在ですもんね。大阪では土曜の夜に放
送してたかなぁ、小学生のとき、毎週「Gメン」を見るの、楽しみにしていましたし、ブ
ルース・リーや倉田さんのアクションのマネをして、学校でよく友達とじゃれあいました。
そんな倉田さんが主催なさっている道場ですから、他とは一線を画しているかもしれない。
かっこいいですよね、空手って。ここんとこ運動不足だし、いい汗をかきたいなぁ。道場
に通った経験はありませんが、カラダを動かすことじたいは、私もともと大好きなんです。



(text and illustration : Yasuhiro Ohkura)


(7月29日・火曜・33打席目)


こういちと、つよしと‥‥



tsuyoshi and Kouichi


■私は保育園の送り迎えにけっこう行っているのですが、そこの月組(年長さんクラス)
の教室で育てられているカブトムシを見せてもらったら、オス二匹は「こういち」「つよ
し」と呼ばれていることがわかった。きっと、男性アイドル二人組からとったんだろう。
見たところ二匹なのに、透明な飼育ケースの側面に「オードリー」という名札が貼られて
いるので、「これ、なに?」とそばにいたKちゃんに聞くと、「まだ生まれていない一匹」
という答え。土の中でまだ幼虫が眠っているのか。しかし、一匹だけ外国名なのは何故?
オードリー・ヘップバーン好きの女の子の影響なのかね。それとも、担任の先生の趣味?

■「こういち」「つよし」とくるなら、いっそのこと、先ごろ「つよし」くんとコラボレ
ーション本『ずーっといっしょ。』を刊行された小説家の方から、名前をいただいて「し
ずか」としたらどうか。作家の先生は男性で、カブトムシはメスのようですけどね。あれっ、
カブトムシって、土に潜っている幼虫の段階で、性別が判断できるものなんやろうか。




(text and illustration : Yasuhiro Ohkura)

(7月28日・月曜・32打席目)


ベースボールの新入団選手、発表!



2nd baby and father


■えー、私ごとで恐縮ですが(というか、ほとんどいつも私ごとばかりですが)、実は昨
日の朝、わが家に新メンバーが加入したので、発表させていただきます。体重3278グ
ラム、身長52センチ、性別は男、名前は未定。まだデビュー2日目なので、どんなキャ
ラクターなのか、特技、趣味、好きな食べ物、好みのタイプなど、ほとんどわかりません。
情報が不足していますが、いずれにしろ、わが「ベースボール」にとっては、待望の新人。
今後の動きや成長ぶりをじっくり、ゆっくり、末長〜く見守っていこうと思っております。


(text and illustration : Yasuhiro Ohkura)



(7月27日・日曜・31打席目)


どようのウッシッシ



うなぎうし


■下北沢南口に「野田岩」という、鰻を食べさせる老舗がある。ここの味は僕はかなり高
いレベルにあると思っているのだが、それよりも毎年決まって営業しない日がある。「土
用の丑(どようのうし)の日」である。いつからそうなのか知らないが、少なくとも僕が
野田岩を知った十年ちょっと前からずっと「土用の丑」の周辺は休業のように思う。現に
今年も7月26日〜28日までお休み。「土用の丑」をはさんで、三日間お店を開けない
というわけだ。お店の方にきちんと理由を聞いたことはないけど、「ふだんはほとんど鰻
を食べないのに、「土用の丑」だからってとつぜん食そうとする、にわか鰻ファンが嫌い
なのではないのではないか、と僕はにらんでいる。真偽のほどはともかく、ひねくれ者の
僕は、「土用の丑」の本日、うっかり間違えたふりして、夕食に「牛」を腹いっぱい食っ
てやろうかと企んでいる。実行したところで、たんに牛肉好きの男にしか見られないか。

(text and illustration : Yasuhiro Ohkura)



(7月26日土曜・30打席目)


前と後ろじゃ大違い




■大阪に住む母親から、メールが届いた。

 今日 パソコン講座に行って来ました。
 パソコンを動かす基本操作で、マウスを使う練習でした。トランプゲームのソリテイ
 アで遊びながら マウスの操作練習をしました。
 次回は、文字入力です。ローマ字入力をするとの事で、
 ローマ字の宿題です。がんばります。

■それで思い出したのが数年前、成田エクスプレスの車中でのこと。
外国人のビジネスマンらしき、かっこいい男性が、ノートパソコンをカタカタやっている
ので、飛行場に着くまでの間も仕事をしなくちゃいけないのか、忙しいんだなぁと感心。
ところがトイレに発とうと、その人の脇を通り過ぎたとき、僕の勘違いと判明。その男性
は、コンピュータのトランプゲームに興じていただけでした。なんのこっちゃ。えらい真
剣な表情してノートPCに向かってたから、企画書などのビジネス書類でもまとめてはる
んやろなあ、と思ってしもたがな。スーツ姿もきまっていたし、いかにもエリート、とい
う雰囲気を醸しだしていたので、勝手に引っかかってしまいました。スーツ着て、電車の
中でキーボード叩いてたら、ふつう仕事してると思うわな。パソコンのトランプゲーム、
純粋に遊びとして使っている人、今どれくらいいるんやろ。僕もやったことはあります。

trump-businessman-illustration




(7月25日・29打席目) 2003年


打者のためか、投手のためか、観客のためか




bunt-hitter


■このところ、メジャーリーグ・ベースボールをテレビで見る機会が多く、日本のプロ野
球は結果をチェックするくらいになっていた。その野球界に新たな問題が持ち上がってい
るという。原因は「飛ぶボール」の存在らしい。セ・リーグでは、巨人・中日・横浜が
「飛ぶボール」と呼ばれる公認球を使用し、パ・リーグでは全球団が用いているそうだ。
今季から「飛ぶボール」に変えた横浜での影響は顕著だ。本拠地・横浜スタジアムでは、
一昨年85本、昨年82本の本塁打が出たが、ことしはまだ38試合しか終わっていない
のにすでに131本が飛びかったとのこと。「本塁打が増えればゲームが盛り上がる」と
ベイスターズ関係者は話しているようだが、そういった考えが主流になれば(もう、なり
かかっているのかもしれない)、メーカー間の開発競争を激化させ、「えっ、というくら
い飛ぶボール」が生み出されるのではないか。そして、その先にあるのは…。『ドカベン』
に登場した怪力選手、賀間(がま)のように、プッシュバントした打球が外野フェンスを
超える、という事件が起こるかもしれない。ま、そこまではないにしても、もっと飛ぶボ
ール、もっともっと飛ぶボール、と強い刺激を求め、エスカレートしていくのではないか。


参考文献:朝日新聞 夕刊 (2003年7月24日 17面[スポーツ面]の記事「快音の陰に飛ぶボール」)

(text and illustration : Yasuhiro Ohkura)



(7月24日・28打席目)


二人のタケシ




azumatakeshi-nishitakeshi


■あんなー、駅のこっちにあずまたけし君の豪邸、向こう側に
にしたけし君の邸宅があんねん。

昔、用があって池袋に通ってたとき、思いついたネタです
(ま、ネタというほどでもないんですけど)。

池袋って西口に「東ではじまる百貨店」があり、東口に「西ではじまる百貨店」がある
ことを、関西出身の僕は長いこと知らなかったんですよ。
そのことに気づいたとき、小躍りしましたね。
姓は「東」と「西」やから、似てるというか正反対。名はまったく同じ「たけし」。

「こんばんは、あずまたけしです」
「こんばんは、にしたけしです」
「二人あわせて、Wたけしです」(ないない、そんなん)

漫才コンビでも、下の名前がいっしょというパターンは、普通あらへんあらへん。

西口に「東武」、東口に「西武」。 ただの偶然なのかもしれませんけど、不思議なケースやなぁ。
いったい、どういうことなんでしょう。
最初に両方のトップが話しあって、土地をかえごとしたら良かったんちゃうかな。
そんな簡単にいかんのやろうけど。


(text and illustration : Yasuhiro Ohkura)



(7月23日・27打席目)


むてすしそうゆ?




■保育園へ娘を送りに行く途中、意味不明の日本語が目に飛び込んできた。

「むてすしそうゆ?」なんじゃそりゃ???





謎はすぐにとけました。

上に英語で“STEP20”と書いてありゃ、
その下の文字も左から右へ読むもんだと、ふつう思いがな。

よくトラックの側面などに、右から左へ読ませる文字が書いてあるけど、
あれって、なんなんでしょうね。車輌に先頭から文字をはじめる、
という決まりを昔だれかが作ったのかな。
それとも、右から左に文字が流れていた時代の名残だろうか。
ほんと、変な慣習だと思いません?

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(絵と文 大倉恭弘/Yasuhiro Ohkura)



7月22日 「商標登録って、なんでもあり!?」


tigers-Tshirt

■時事通信・発の興味深い記事が、ヤフー!ジャパンのトピックスで目にとまりました。
「阪神優勝」のロゴをすでに商標登録している男性が千葉にいて、阪神球団と係争中だと
いう。そのため、「阪神優勝」というロゴを用いた関連グッズを、阪神タイガースじたい
が扱えなくなってしまう可能性もあり、球団側は「そりゃ、えらいこっちゃ。あかんがな」
となったそうだ。千葉の人は、2001年に特許庁に申請し、使用が認められているそう
だけど、申請した時点は、まさか近いうちに優勝するとは思っていなかったんじゃないだ
ろうか。それはともかく、実際にはまだ「優勝する」と決まったわけではないですよねぇ。

■で、なんとなく商標を気にして、イラストでは「U勝」とし、西暦も思いっきりおまけ
して「20003」年としてみたんですけど、どないでしょう。なんとなくマンU(マン
チェスター・ユナイテッド)を連想してしまうのは、私だけですか。それより、1800
年も先の優勝を今から記念されても、熱狂的な虎キチでさえアホらしいだけですよね、き
っと。そのころまで阪神タイガースは…いやプロ野球そのものは、存続してるんやろうか。

(絵と文 大倉恭弘/Yasuhiro Ohkura)



7月21日 「二人の唇」

■ローリングストーンズの唇マークを見ると、しばしば僕はオバケのQ太郎を思い出し
てきたのですが、冗談半分で組み合わせてみたら、うまくマッチングしないことが判明。
ほんとは合体させることじたい、いけないんでしょうけど、ここはひとつ見逃してくだ
さいな。ま、それはともかく、今回やってみて、唇マークもオバQもデザイン的によく
できていることを再認識。ところでストーンズの唇マークって、誰が考えたんだろう?

negaposi-panda


(絵と文 大倉恭弘/Yasuhiro Ohkura)



7月20日 「パンダの白黒バランス」


negaposi-panda


■うちの娘が持っているパンダのぬいぐるみを眺めていたら、白と黒のスペースを入れ
かえたらどうなるんだろう、という疑問が芽生え、絵にしてみた。で、結果どうでして
ん、と聞かれてもきちんと分析してみたわけではないので困るんだけど、白と黒の位置
とか面積とかカタチとかいろいろな要素が偶然、見事に組み合わさったことによって、
パンダを今のような人気者になったんじゃないのかな。もちろん、パンダは人間が生み
出したものじゃないだろうから、白と黒のバランスが自然に、奇跡的に、うまくいった
のだろう。でもまあ、人好きのするデザインに生まれたおかげで、捕まえられて動物園
へ連れてこられ、柵のなかで暮らすはめになってしまった、ともいえるかもしれない。
だから、パンダ自身にとっては、グッドでなく「バッドデザイン賞」かもしれません。

■身のまわりや街なかの、かわいいとか美しいとか素晴らしいとか感じているものって、
意外と偶然の産物だったり、計算外のところで生まれたものが少なくなのかもしれんな
ぁ。世の中のさまざまなものをネガポチ反転させたり、色を置き換えたり、その色が
占めているスペースを入れ替えたりすると、印象がどう変わるのか試してみたくなった。

(絵と文 大倉恭弘/Yasuhiro Ohkura)



7月19日 「ライオンと善悪」


violence-lion


■築地駅のホームで電車を待っているとき、「暴力団追放」という文字が大きく入った
ポスターを発見。それを見ていたら、なんだかおかしい気持ちになった。メッセージそ
のものに異論はないのだが、問題はビジュアルに用いられているライオンの写真だった。
このライオンは暴力団の象徴なのか、警察をイメージ化したものか、どっちなんだろう。
「ライオン=暴力団」ということであれば、ライオンを悪者と決めつけすぎじゃないか
という気がするし、「ライオン=警察」というつもりだとしたら、べつにライオンって
みんなを守ってくれる、ありがたい存在ではないのではないか、という疑問が生じる。
■あのー、僕としては、別にケチをつけたいんじゃないんです。ライオンって(暴力団か
警察か)どっちの意味なの? すぐに判断できなかったぶん、よけい気になってしまい、
強く脳裏に焼きついたのかもしれない。…というように、気にならせることじたいが目的
でライオンを使ったのだとしたら、このポスターってすごいのかも、と感じました。

■野生動物好きのシンガーソングライター大貫妙子さんなら、ライオンの行動に善も悪も
ないわよ、とおっしゃるかもしれない。たしかに、ライオンは善悪を区別して生きている
わけではないだろう。周囲を気にして良いことをするのも、見つからないように悪いこと
をするのも、わざと悪ぶるのも、結局のところ、そんなしち面倒くさいことをするのは、
われわれ人間だけ。いろんなことを考えさせてくれる、警視庁のポスターでありました。

(絵と文 大倉恭弘/Yasuhiro Ohkura)



7月18日 「ジョン・ノレン・センス」


john-noren

■ジョン・レノンに関する記事がヤフー!トピックスに出ていて、その記事を読んでいたら
「レノン」と「のれん」は似ているんだなぁ、とバカバカしいことを考えてしまった。で、
出てきたのが、上のビジュアル。だからどうってことはまったくないです、すんまへん。

(絵と文 大倉恭弘/Yasuhiro Ohkura)



7月17日 「傷だらけのグルミット」


injured-gromit

■娘がかわいがっているグルミットのぬいぐるみ。その傷み具合がひどい。保育園へ行くと
きや休日に外出する際、手に持っていることが多いのだが、大切な宝物なのに、地面に顔を
バンバン打ちつけたり、電車の窓にコツコツぶつけたりするため、グルミットの鼻を覆って
いた黒いゴムのようなコーティングらしきものがほとんど剥げ落ちてしまい、痛々しい。保
育園仲間のKさんがご夫婦で動物病院を運営されているので、治療の相談をしてみようかな。

(絵と文 大倉恭弘/Yasuhiro Ohkura)



7月16日 「表紙のラフはでたらめだけど」


cajacajagoo

■書こうと思って忘れていたこと。先週「アエラ」を見たら、表紙にt.A.T.u.(タトゥー)
の二人が映っていて、坂田栄一郎さんの撮影による写真じたいは素晴らしいものなのです
が、気になったのは、アエラってテレビ朝日と同じグループ企業でしょ、という点。つい
このあいだ、t.A.T.u.が番組途中で出演をすっぽかした「ミュージックステーション」って、
テレ朝の看板番組のひとつ。そのことで局として激怒してたんだから、もうt.A.T.u.を使わ
なければよさそうなもんなのに、関連会社が発行している週刊誌の表紙に起用する、という
のはどうなんでしょう。それとも、テレ朝と朝日新聞社は別人格だから無関係、ということ
ですか。
■まあ、僕が目くじらをたててもしょうがないんだけど、ちょっと気になったもんでして。
番組出演よりも前に、雑誌の表紙撮影をすませていた、のかもしれません。すでに次号が発
売されている今、あえて問題にするのもなんだけど。でも、アエラの「表紙の人=t.A.T.u.」
という事実を目にして、驚いたり、疑問に思った人間は、僕の他にもいるんじゃないかな。

(絵と文 大倉恭弘/Yasuhiro Ohkura)



7月15日 「カジャカジャグーとカジャグーグー」

cajacajagoo

■うちの近くにある楽器屋の前を通るたび、ついつい目を引きつけられる印刷物がある。
ポリシックスのミニアルバム「カジャカジャグー」のポスターだ。アルバム名はもちろん、
かつてニューウェーブシーンを沸かせたカジャグーグーをもじったものであろうが、わか
っちゃいるけど反応してしまうんですわ、わたくし。同バンドがとくべつ好きだったわけ
ではないけど、ニューウェーブというジャンルそのものが嫌いではなかったし、僕自身、
いわゆるニューウェーブといえる系バンドをやっていたことがあるから、なんでしょう。
■ま、僕の過去はともかく、カジャグーグーって、ウナギイヌを巨大化させたみたいな、
犬のような愛嬌のある生き物が出てくるドイツ映画『ネバー・エンディング・ストーリー』
のテーマ曲を演奏し、歌っていたんじゃなかったかな。な〜んて、わかる人には世代がわ
かるエピソードでござんした。ああ、書いてるうちになんだか懐かしい気分になってきた。

……とここまで入力して、念のためにと調べてみたら、同曲はリード・ボーカルのリマー
ルがグループ脱退後、スマッシュヒットさせたもの。謎の生物は、ファルコンという名の
竜。たんにドイツ映画でなく、西ドイツとイギリスの合作ファンタジー映画でした。って、
West Germanyという国は、もうありませんよね。五輪になると、西ドイツも強かったけ
ど、国をあげて選手を育成していた東ドイツは優秀な人材が、ほんと山ほどいたよなぁ。

(絵と文 大倉恭弘/Yasuhiro Ohkura)


7月14日 「いわゆる、フィッシュへんに青ですね」


sakanahen-blue

■長嶋茂雄さんの有名なセリフ。
「サバって漢字はどう書きましたっけ?
そうでした、そうでした。魚ヘンにブルーでしたね」

■以前、編集・企画にたずさわった『改訂最終版 年がら年中長嶋茂雄』という書籍に掲
載させてもらった言葉。その本は日めくりカレンダーとしても使えるようになっているの
ですが、海の日のページにこのセリフを使わせていただいたためか、七月二十日が近づく
と自然に、この名文句が脳裏に浮かびあがってきます。
■さすがの長嶋氏でも、「フィッシュへんに青ですね」とは、たぶんおっしゃっていない
でしょうけど、それはともかく、冗談なしでミスターの「突き抜けた言語センス」が大好
きだ。尊敬している、といってもいい。野球だけでなく、ことばの天才でもある御方でし
ょう。もしも「私にとっての、声に出して読みたい日本語」を選ぶとすれば、氏のセリフ
は絶対にはずせませんね。

(text and illustration by Yasuhiro Ohkura)



7月13日「忍法鉄だるまを受けてみよ」


tetsudaruma


■少し前から「鉄だるま」というものがわが家で活躍している。茄子(なす)を漬ける際、
鮮やかな紫色を出すのにいい、と人から薦められてその存在を知ったのだが、この鉄だる
まをやかんに入れて湯を沸かし、これを飲めば、鉄だるまから浸み出た鉄分を補給するこ
とができるらしい。とこう聞けば、なんか嘘くさい印象を持つかもしれないが、これが、
やってみるとたしかに「あっ、鉄分が入っている、という味がする。といっても、この湯
でコーヒーを淹れたからって、まずくなるという感じはない。麦茶ではないけれど、黒豆
茶をつくるときにも、この鉄だるまをやかんに入れて沸騰させ、煮出している。このとこ
ろ、茄子を漬けていないけれど、湯に溶けだした鉄分を摂取することで、わが家の三人の
体内の「鉄度(てつど)」が上がっている、と信じている。この商品の正式名称、買った
ときに付いてきた用紙を見ると、たんに「鉄だるま」ではなく、「南部鉄器 健康鉄だる
ま 福ちゃん」となっている。余談だけど、「忍法鉄だるま」と書くと途端に、山田風太
郎さんの忍法帖に登場する、くのいち忍者が用いる必殺技に思えてくる(のは僕だけか)。

(文と絵 大倉恭弘)



7月11日「まげつかみって?」


magetsukami


■横綱の朝青龍が、相手のまげを故意につかむ禁じ手を犯したということで、反則負けを
喫した。反則負けなんて、まるでプロレスだ。まげをつかんだ相手が同じモンゴル出身の
先輩力士・旭鷲山だというのも、余計に「イカン!」と思わせる要因。映画『ピーウィー
の大冒険』に登場する自転車のハンドルみたいに、引っ張ったらスポッと取れる「まげ」
をつけておいたらよかったのに。まげが抜けたら、朝青龍はどんな反応をしただろう。

(文と絵 大倉恭弘)



7月10日「しっとり肌の、てるてる坊主」

teriteru-bozu

■昨夜、娘とてるてる坊主をこさえた。あまりにもひさしぶりだったので、どうやって作
るんだったか思い出すところからはじめた。正統な方法があるのか定かではないが、結局、
ティッシュペーパーをくしゃくしゃっとまるめたものを頭部の芯にし、それをまた別のテ
ィッシュペーパーでくるみ、麻ひもで首もとを結わえることにした。
■で、できあがった、という段になって気づいたのは、頭のてっぺんにひもを通すか、下
部(スカートの裾のような位置)を少し重くしないと、てるてる坊主が横に向いてしまう
こと。バランスを修正しようかなと迷ったが、急激に眠くなってきたので、横向きのまま
物干しざおに洗濯ばさみでパコッと留め、床についてしまった。
■朝になって、てるてる坊主はしっとり濡れていた。外は、たいした降りじゃないけど、
明らかな雨模様。きょう夕方からの保育園の「夏祭り」は、雨のなかで行うことになるの
だろうか。あの、中途半端なてるてる坊主がいけなかったのか。それとも、この時期は昔
から雨が多いし、仕方がないのか。ま、天候をてるてる坊主でなんとかしようなんて、ム
シが良すぎるかね。こういう日は雨はイヤなものだと決めつけず、「雨に唄えば(Singin'
in therain♪)」でも歌い踊って、雨天そのものを楽しめばいいのかもしれない。
■幼い子どもたちは、長靴をはくことも傘をさすことも楽しいと、とらえている。そのポジ
ティブな姿勢を、大人も見習わなくちゃいかんな。天候なんて、たかが人間にはどうしよう
もないんだから雨でも雷でも雪でも曇りでも、前向きに受け止めたほうがいい。ほんと、子
どもは人生を謳歌する天才だ。
■努力してもどうしようもないことは、いったん素直に受け入れ(諦めるのではなく)、そ
のうえで最良の方法を探る。大雨のなかでサッカーの試合のように、自分だけでなく、相手
も仲間もみんなも同じ条件なんだ、と思えば、楽しむ術がみえてくる。なんだか大げさな話
になってしまったけど、要するに、雨でも晴れでも、結局は「気の持ちよう」ってことか。

(文と絵 大倉恭弘)



7月9日「ディランとYAKUZA」

■ボブ・ディランが、日本の内科医で作家の佐賀純一さんの著作から、自作の曲の歌詞に
無断借用をしたのではないかという「疑惑」が、とウォールストリート・ジャーナル紙が
伝えたという。僕はそのことを、ヤフー・ニュース経由の共同通信の記事で知った。
■同紙によれば、ディラン氏が2001年に発表したアルバム『ラブ・アンド・セフト』に
収録した数曲に、佐賀氏の著作『浅草博徒一代記』の英語版『やくざの告白』からの借用
があるとのこと。そのことに最初に気づいたのは、在日アメリカ人の方らしい。
■これに対し、作家の佐賀さんが憤り、不満を訴えているのかと思ったら、「非常に名誉
なこと」と話し、訴える気はまったくないそうだ。著作権や知的所有権がどうのこうのと
いった「権利を守る・奪う」ことについての報道を近頃よく目にするが、佐賀氏の太っ腹
な応対に、ほのぼのとしてしまった。佐賀さん、ボブ・ディランのファンなのかな。

dylan


「ボブ・ディランちゅうか、キース・リチャーズっぽくなってしもたかな。
というより、松田優作さんに似てるようにも思える(なんで一人だけ「さん」付けやねん)」

(文と絵 大倉恭弘)



7月8日「ロートレックとレアチーズケーキ」



shirotae

■赤坂のサントリー美術館で「ポスター芸術の巨匠たち ―ロートレックからウォーホルへ―」
という展覧会を鑑賞。今さらロートレックか、という気持ちがないわけではなかったが、作品集
を通じてでなく、実物を目の前すると、やはり歴史に残る名作だけあって圧倒される。大胆かつ
繊細に仕上げられていて、極めて完成度が高い。他にミュシャ、A.M.カッサンドル、シャガール、
ミロ、チャールズ・マッキントッシュ、カンディンスキー、ジャン・コクトー、ヨーゼフ・マリ
ア・オルブリヒ、サヴィニャック、ウォーホルなど数多くの作家のリトグラフやオフセット印刷
によるポスターを見る。個人的な好き嫌いももちろんあるが、そういう感情を超え、いずれにも
共通していえるのは、最後までこだわり抜き、時間をかけて、ていねいに作っているんだろうな、
と思えた点。ひとつのことにじっくり取り組むことは今、あらゆる場所で減っているのではない
か。なんでもかんでも、速くできればそれで良し、ということないはずですよね。

■これを書きながら、ひとつ思い出した。会場にふたりで来ていて五十歳代くらいの男たちが、
とつぜん「ほら、デヴィッドだよ、デヴィッド」と大声で言いはじめたから、なにごとかと彼ら
が指差す方向を確認するとデヴィッド・ホックニー作ののポスターが数枚。あの、おじさんたち
って、もしかしてホックニーの知り合い? まるで、友達を呼び捨てにするような口調だった。

■帰りがけ、赤坂の「しろたえ」という店でレアチーズケーキを購入。あっさりして上品な味わ
いは変わっていない。先ほどのポスターのように、妥協を許さぬ作り手がいてこその美味だろう。
■そのつもりは別になかったのに、文字を入力しているうち、妙にまじめな内容になってしまっ
た。シリアスがいけないということは断じてないが、なんだか照れくさいなぁ。

(文と絵 大倉恭弘)




7月7日「トイレット・エクスプレス」




■今朝、妙に早く起きてしまったので近所を散歩していたら、一台の自転車が目にとまった。
そこは外国人の方が営むテントのバー。屋根はあるけど、壁はない店だ。トイレもないので、
用を足したくなった客には、駅前の公衆便所までこのチャリンコを自分でこいで行ってもらう
らしい。お客さんにはやさしくないけれど、地球環境にはやさしい店、といえるかもしれない
(って、別にいえないか)。

(文と絵 大倉恭弘)



7月6日「ゴージャラスと海」




■昨日は、ラフォーレ原宿で行われていた「ぴあ通巻1000号記念
希望 / HOPE ----未来は僕等の手の中」というグループ展を見に、家族で出かけた。
午後5時すぎに始まったゴージャラス(松蔭浩之氏と宇治野宗輝氏による
アートとロックのユニット)の派手で激しく、
そしてユニークなパフォーマンスのなかで、松蔭さんが観客の若者たちに向かって
「アートを見に来るのもいいけど、男も女も海へ行けよー!」といったことを
何度も大声で叫んでいた。アハハハハ。たしかに、その通りやわ。
小むずかしそうに腕を組み、僕って(私って)アートがわかる知的でクールな人間だよなぁ、
なんて顔をしながら美術を鑑賞しているよりも、松蔭さんのいうように
「ビーチへ出かけて巨乳の女性を追いかける」ほうが、よっぽど人間的かもしれない
(人間的でなく、動物的というべきか)。

■だけど、あの場に来てた若者の多くは、海へ出かけなさそうな気がする。
で、海へ大喜びで繰り出す人々は残念ながら、アートを味わいにラフォーレへ来ないんだろうな。
というより、展覧会の存在じたい、たぶん知らんのちゃうかなぁ。
■ライブの終盤、松蔭さんが投じたギターのピックが、わが娘のスカートの上に落ちたのでびっくり。
大きめのそのピックは、三辺がかなりボロボロになっていた。

(文と絵 大倉恭弘)



7月5日「バンクーバーと三平」


■2010年の冬季五輪はカナダのバンクーバーで開催されることに
決まったようだ。バンクーバーと聞いて真っ先に思い浮かぶのは、
小学生のころだったか、マンガ『釣りキチ三平』で読んだキング
サーモン・フィッシングの世界大会。主人公の三平三平(みひら
さんぺい)が日本代表として、魚紳(ぎょしん)さんらとバンク
ーバーを訪れ、世界の強者たちと白熱のバトルを繰り広げたはずだ。
おそらく本来、冬季五輪に「釣り」という種目は予定されていない
と思うが、公開競技としてキングサーモン・フィッシングを行って
くれないかな。それがダメなら、ワカサギ釣りでもかまわない。カ
ナダのワカサギは、北海道にいるやつの4倍くらいの体長、めちゃ
くちゃ大きいらしいからなぁ(って、本当のところは知らないけど)。
(文と絵 大倉恭弘)

※『ナンシー関の記憶スケッチアカデミー』(ナンシー関さん編・
著)という本に触発され、資料を見ずに、自分の記憶だけを頼りに
絵を描いてみました。たぶん、似てませんよね。すいませんです。




7月4日「ジャパニーズ・ホワイトハウス」

■近くに「まっしろ家」という名のコインランドリーがあり、
このあいだ、そこの前を歩いていた若いカップルのうち、
男の子が「あっ、まっしろか、って読むのかな。おもしろい名前だね」といい、
それを聞いた女の子は「そうね」と笑っていました。
あのー、「まっしろけ」じゃないのかな、と僕は思うんですけど。

■今朝、娘が中耳炎と診断され、急きょ保育園を欠席。
安静に、といわれましたが、熱もないので横でキャッキャ騒いでいます。
(文と絵 大倉恭弘)


7月3日「175と130の違い」

■175R(イナゴライダー)というバンドが近ごろ人気のようですね。
その名を見て、板尾さんと蔵野(ホンコン)さんのお笑いコンビ「130R」を
思い浮かべたのは、僕だけでしょうか。


(文と絵 大倉恭弘)


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